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第一章:異世界への陥落と聖母の覚醒
異世界への陥落と聖母の覚醒
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1. 守護者の自負と「聖体」のフェロモン
秋月悠真(あきづき ゆうま)は、幼い頃から自らの運命を悟っていた。父は彼が物心つく前に、ある静かな夜、湖に足を踏み入れてこの世を去った。警察は「自殺」と断定したが、悠真はその結論を一度も信じたことはない。父は強く、野心に溢れ、何よりもその傍らにいた絶世の美女——妻である美咲(みさき)を深く愛していたからだ。
母、美咲。彼女は、この残酷な現実世界で生きるには、あまりにも「純粋」で、そしてあまりにも「扇情的」すぎた。 清純そのものの顔立ち、濡れたような瞳。しかしその肢体は、男たちの理性を根こそぎ奪い去る。豊かな胸は歩くたびに波打ち、その重みを支えるしなやかな腰、そして何よりも、子供を産むために誂えられたかのような、大きく円潤な安産型の臀部。彼女の全身からは、無意識のうちに「私は受胎しやすい体質(易孕体質)である」という強烈なフェロモンが放たれていた。
「悠真、準備はできた?」 美咲の鈴を転がすような声が、悠真の思考を現実へと引き戻す。彼女は小さな鞄を肩にかけ、無防備な微笑みを浮かべていた。今日は父の忌日。例年通り、墓参りへと向かう。
悠真はバックパックを背負い直し、中身を再確認した。そこには父がかつて愛した雪梨が入っている。 「ああ、準備できたよ、母さん」 悠真は母の隣を歩きながら、その無防備な横顔を盗み見た。父の死後、多くの男たちが「未亡人の支えになりたい」という偽善の仮面を被って近づいてきた。だが悠真は知っている。彼らの視線は常に母の胸元や臀部に釘付けであり、連れ子の自分を邪魔な「おまけ」としか見ていないことを。
悠真は、そんな有象無象の男たちを人知れず「処理」してきた。ある時は罠に嵌め、ある時はその鋭い洞察力で社会的破滅に追い込んだ。美咲は自分自身の持つ「魔力」に気づいていない。彼女は軟弱で、放っておけばすぐに他人に流されてしまう。だからこそ、悠真という絶対的な守護者が必要なのだ。
2. 皆既日食:異次元への招待状
墓地へ向かうバスの車内、テレビモニターは数年に一度の「皆既日食」のニュースを淡々と報じていた。 「なんだか、不気味な空ね……」 美咲が不安そうに窓の外を見つめる。太陽が月に蝕まれ、昼間だというのに世界はどす黒い影に覆われ始めていた。
墓地に着くと、そこには奇妙な静寂が漂っていた。いつもなら線香の煙が絶えないはずだが、今日に限って他の参拝者の姿が一人も見当たらない。 「お父さん、今年も来ましたよ」 美咲が父の墓石を丁寧に拭い、雪梨を供える。その瞬間、空は完全に光を失った。
しかし、足元だけが異常に輝き始めた。 「……っ!? 母さん、離れるな!」 悠真が叫んだ時にはもう遅かった。二人の足元の石畳には、見たこともない複雑な符文が刻まれた巨大な魔法陣が浮かび上がり、青白い光が炸裂した。 「あぁっ——!」 美咲の悲鳴が耳元で響き、悠真の視界は真っ白な閃光に飲み込まれた。
3. レヴァント帝国:勇者と聖母の称号
「……公主陛下、成功いたしました。召喚されたのは預言通り、母子の二人組でございます」 老いた、だが威厳のある声が静寂を破る。 悠真が意識を取り戻し、強光に焼かれた瞳をゆっくりと開くと、そこは石造りの冷たい広間だった。中世ヨーロッパの城を彷彿とさせる高い天井、壁に掲げられた多数の油灯。
「悠真! 無事なの!?」 隣で倒れていた美咲が、なりふり構わず悠真を抱きしめた。 悠真の顔は、母の豊満な胸の中に埋もれる。そこから漂う懐かしいミルクのような香りが、彼の混乱した脳を一瞬で沈静化させた。 (何が起ころうと、この人だけは死守する……) 悠真は母の腕の中から顔を上げ、正面に立つ者たちを冷徹に観察した。
そこには、騎士団を従えた一人の少女と、執事服を着た老人が立っていた。 少女は「長公主カテリーナ」と名乗った。身長165センチほど、まだ幼さを残しながらも、その瞳には権力者特有の冷酷さが宿っている。彼女の細い腰と慎ましやかな胸は、隣にいる美咲の「成熟した肉体」とあまりにも対照的だった。
「アンナトリア大陸へようこそ。ここは世界最強の国家、レヴァント帝国です」 カテリーナは優雅に会釈した。 「我が国の古き預言に基づき、魔王軍の脅威を退けるため、女神に選ばれた『勇者』と『聖母』を召喚させていただきました。息子が勇者として剣を振るい、母が聖母として奇迹の力で彼を支える……。それが大陸を救う唯一の道なのです」
悠真はあえて感情を殺し、平坦な声で問いかけた。 「……なぜ僕たちが選ばれた? そして、元の世界へ戻る方法はあるのか?」 「魔王を倒し、その核を持ち帰れば、この魔法陣が再び道を開くでしょう。成功の暁には莫大な財宝を約束しますわ」 カテリーナは微笑んだが、その口角の上がり方には、何か「獲物を見定めた」ような卑俗なニュアンスが混じっていた。
4. ステータスの乱数と「聖杯」の呪い
「まずは、お二人の能力を測定しましょう。この大陸の者は皆、自らの情報を脳内で視認できるはずです」 カテリーナに促され、悠真は心の中で「情報(ステータス)」を念じた。すると、目の前に半透明のパネルが浮かび上がる。
種族:人族 称号:??? スキル:???
(文字化けか……? 何も見えない) 悠真が眉を潜める一方で、隣の美咲の情報ははっきりと読み取ることができた。
種族:人族 称号:聖母 スキル:巨大化、急速回復 奇迹:聖杯
カテリーナは「測定石」と呼ばれる巨大な魔石を運ばせてきた。悠真と美咲がその石に手を触れると、大殿全体を飲み込むほどの青い光柱が立ち上がった。 だが、その光の中に浮かび上がった悠真の情報は、彼自身の視覚とは異なっていた。
称号:無 スキル:無
大殿内に、どよめきが走った。 「……勇者の称号がない?」 「ただの一般人が混じったのか? 召喚のミスか?」 大臣たちの視線が、一瞬にして悠真に対する「敬意」から「侮蔑」へと変わる。そしてそれと同時に、隣に立つ美咲への視線が、隠しきれないほどの「飢えた獣」のような色を帯び始めた。
「聖母様……その若々しい肢体、本当にこの少年の母親ですか? とても出産を経験したとは思えないほど瑞々しい……」 一人の大臣が、下卑た笑みを浮かべて美咲の臀部を執拗に眺めながら言った。 「違います! この子は間違いなく私の実の息子です! 石の方が間違っているわ!」 美咲が顔を赤らめ、震える声で悠真を庇う。
その時、天から厳かな、だが同時にひどく不快な「神託」が響き渡った。
『……勇者の召喚には欠陥が生じた。ゆえに、聖母に「聖杯」の力を授ける。聖杯は聖母の感度を極限まで高め、若き男たちの愛を受け入れるほどにその力を増すだろう。帝国の民よ、聖母を抱き、新たな勇者をその胎から産ませよ……』
その瞬間、大殿の空気は完全に「発情」した。
5. 王の冷徹と母の決断
王座に座る、肥満した肉塊のような国王がようやく口を開いた。 「……勇者なき聖母など、ただの苗床に過ぎぬ。聖母を別館へ連れて行け。体調を整え、受胎の準備をさせるのだ」 そして、悠真を一瞥して言い放った。 「そのガラクタは城の外へ放り出せ。帝国の食糧を浪費する価値もない」
「待ってください!」 美咲が絶叫し、悠真の前に立ちはだかった。 「息子を追い出すなら、私も行きます! 勇者だか聖母だか知らないけれど、私はこの子の母親なのよ!」
国王の濁った瞳に、陰湿な光が宿る。 「ほう……ならば、取引といこう。息子を城内に留める代わりに、お前は余の命令にすべて従うか? 調教も、受孕も、一切の拒否を認めぬが」
美咲の身体が激しく震えた。だが、彼女は悠真を救うために、その魂を売り渡す決断をした。 「……ええ。息子を私のそばに置いてくれるなら。私の仆従(下僕)として、常に私の視界に入る場所に置いてくれるなら……何でも、します」
「いいだろう。だが条件がある。調教は常に息子の前で行う。そして、息子自身にもお前の『開発』を手伝わせるのだ。どうだ?」
「……っ……わかりました。お受けします」 美咲は拳を握りしめ、涙を飲んで頷いた。
悠真は、その場に跪きながら、心の底で黒い炎を燃やしていた。 (勇者の力が「無」だと? 測石にすら映らないほど、僕の力は深い闇にあるだけだ。見ていろ、この豚のような国王も、母を汚そうとする貴族たちも……すべて僕が、この手で『虚無』に還してやる)
6. 公館への監禁:歪んだ日常の始まり
黄昏時、悠真と美咲は「公館」へと移送された。そこは一見、華やかな貴族の保養所だが、その実態は厳重に守られた「聖母の牢獄」だった。
「悠真……ごめんね。お母さん、あんな約束しちゃって……」 分かれ際、美咲は泣きながら悠真の額に口づけをした。 「大丈夫だ、母さん。僕を信じて。必ず、ここから連れ出すから」
悠真は公館の裏手にある、粗末な分館に押し込められた。 そこは使用人たちの共同部屋だったが、彼は「聖母の仆従」という特殊な立場ゆえ、狭いながらも個室を与えられた。
深夜、悠真は自らの部屋で瞑想した。 (あの時の感覚……。測石に触れた時、僕の視界には「???」と見えていた。だが、国王たちには「無」に見えた。これは僕の力が、この世界の理(ことわり)を超越している証拠ではないか?)
彼は自分のステータスに意識を集中させた。すると、双眸が突如として闇に染まり、視界が「転移」した。 そこは、美咲が一人で佇む、豪華な寝室だった。 悠真は、母の背後に立っていた。だが、彼には身体がない。ただの意識体(神識)として、母のそばに浮遊しているのだ。
「……あ、母さん……?」 声をかけたが、美咲に反応はない。 悠真は悟った。このスキルは、自分の肉体を離れ、母の周囲数メートル以内を密着して監視するための力なのだと。
窓の外を見つめ、涙を流す美咲。その肩が、未来への恐怖で震えている。 悠真は無力感に歯噛みした。 (今はまだ、見守ることしかできない。だが、この『目』があれば、母を汚そうとする者たちの計画をすべて事前に把握できる……!)
翌朝、悠真は自らの身体を鍛え直すため、裏手の小樹林へ向かった。 「はっ! はあっ!」 数時間の修練。彼は驚くべき事実を発見した。 彼が本気で拳を振るうと、周囲の時間そのものが「遅延」しているように感じるのだ。さらに、軽く放った一撃が、大木を容易く粉砕するほどの衝撃を生み出す。
「……やはり、僕は『無』じゃない。誰も定義できない『特異点』なんだ」
昼食時、悠真は「情報通」と自称する少年、カイルと出会った。 カイルは魔法石を使った盗聴を趣味とする卑屈な下働きだったが、悠真は彼を助けることで、この大陸の「魔法体系」と「勇者伝説」の裏側を少しずつ剥ぎ取り始めた。
「勇者ってのはね、魔法と武術の両方を完璧に使いこなす唯一の存在なんだよ。でも、召喚された後に『消される』勇者も多いっていう噂だぜ」 カイルの話を聞きながら、悠真は冷たく微笑んだ。
(この国は、母という『聖母』を繁殖用の家畜にし、僕という『勇者』を歴史から消そうとしている。ならば、僕は正義の勇者になどならない。……母さんを汚すすべてを焼き尽くす、復讐の修羅になってやる)
悠真の掌には、誰にも見えない「暗黒の魔力」が静かに、だが確実に宿り始めていた。
秋月悠真(あきづき ゆうま)は、幼い頃から自らの運命を悟っていた。父は彼が物心つく前に、ある静かな夜、湖に足を踏み入れてこの世を去った。警察は「自殺」と断定したが、悠真はその結論を一度も信じたことはない。父は強く、野心に溢れ、何よりもその傍らにいた絶世の美女——妻である美咲(みさき)を深く愛していたからだ。
母、美咲。彼女は、この残酷な現実世界で生きるには、あまりにも「純粋」で、そしてあまりにも「扇情的」すぎた。 清純そのものの顔立ち、濡れたような瞳。しかしその肢体は、男たちの理性を根こそぎ奪い去る。豊かな胸は歩くたびに波打ち、その重みを支えるしなやかな腰、そして何よりも、子供を産むために誂えられたかのような、大きく円潤な安産型の臀部。彼女の全身からは、無意識のうちに「私は受胎しやすい体質(易孕体質)である」という強烈なフェロモンが放たれていた。
「悠真、準備はできた?」 美咲の鈴を転がすような声が、悠真の思考を現実へと引き戻す。彼女は小さな鞄を肩にかけ、無防備な微笑みを浮かべていた。今日は父の忌日。例年通り、墓参りへと向かう。
悠真はバックパックを背負い直し、中身を再確認した。そこには父がかつて愛した雪梨が入っている。 「ああ、準備できたよ、母さん」 悠真は母の隣を歩きながら、その無防備な横顔を盗み見た。父の死後、多くの男たちが「未亡人の支えになりたい」という偽善の仮面を被って近づいてきた。だが悠真は知っている。彼らの視線は常に母の胸元や臀部に釘付けであり、連れ子の自分を邪魔な「おまけ」としか見ていないことを。
悠真は、そんな有象無象の男たちを人知れず「処理」してきた。ある時は罠に嵌め、ある時はその鋭い洞察力で社会的破滅に追い込んだ。美咲は自分自身の持つ「魔力」に気づいていない。彼女は軟弱で、放っておけばすぐに他人に流されてしまう。だからこそ、悠真という絶対的な守護者が必要なのだ。
2. 皆既日食:異次元への招待状
墓地へ向かうバスの車内、テレビモニターは数年に一度の「皆既日食」のニュースを淡々と報じていた。 「なんだか、不気味な空ね……」 美咲が不安そうに窓の外を見つめる。太陽が月に蝕まれ、昼間だというのに世界はどす黒い影に覆われ始めていた。
墓地に着くと、そこには奇妙な静寂が漂っていた。いつもなら線香の煙が絶えないはずだが、今日に限って他の参拝者の姿が一人も見当たらない。 「お父さん、今年も来ましたよ」 美咲が父の墓石を丁寧に拭い、雪梨を供える。その瞬間、空は完全に光を失った。
しかし、足元だけが異常に輝き始めた。 「……っ!? 母さん、離れるな!」 悠真が叫んだ時にはもう遅かった。二人の足元の石畳には、見たこともない複雑な符文が刻まれた巨大な魔法陣が浮かび上がり、青白い光が炸裂した。 「あぁっ——!」 美咲の悲鳴が耳元で響き、悠真の視界は真っ白な閃光に飲み込まれた。
3. レヴァント帝国:勇者と聖母の称号
「……公主陛下、成功いたしました。召喚されたのは預言通り、母子の二人組でございます」 老いた、だが威厳のある声が静寂を破る。 悠真が意識を取り戻し、強光に焼かれた瞳をゆっくりと開くと、そこは石造りの冷たい広間だった。中世ヨーロッパの城を彷彿とさせる高い天井、壁に掲げられた多数の油灯。
「悠真! 無事なの!?」 隣で倒れていた美咲が、なりふり構わず悠真を抱きしめた。 悠真の顔は、母の豊満な胸の中に埋もれる。そこから漂う懐かしいミルクのような香りが、彼の混乱した脳を一瞬で沈静化させた。 (何が起ころうと、この人だけは死守する……) 悠真は母の腕の中から顔を上げ、正面に立つ者たちを冷徹に観察した。
そこには、騎士団を従えた一人の少女と、執事服を着た老人が立っていた。 少女は「長公主カテリーナ」と名乗った。身長165センチほど、まだ幼さを残しながらも、その瞳には権力者特有の冷酷さが宿っている。彼女の細い腰と慎ましやかな胸は、隣にいる美咲の「成熟した肉体」とあまりにも対照的だった。
「アンナトリア大陸へようこそ。ここは世界最強の国家、レヴァント帝国です」 カテリーナは優雅に会釈した。 「我が国の古き預言に基づき、魔王軍の脅威を退けるため、女神に選ばれた『勇者』と『聖母』を召喚させていただきました。息子が勇者として剣を振るい、母が聖母として奇迹の力で彼を支える……。それが大陸を救う唯一の道なのです」
悠真はあえて感情を殺し、平坦な声で問いかけた。 「……なぜ僕たちが選ばれた? そして、元の世界へ戻る方法はあるのか?」 「魔王を倒し、その核を持ち帰れば、この魔法陣が再び道を開くでしょう。成功の暁には莫大な財宝を約束しますわ」 カテリーナは微笑んだが、その口角の上がり方には、何か「獲物を見定めた」ような卑俗なニュアンスが混じっていた。
4. ステータスの乱数と「聖杯」の呪い
「まずは、お二人の能力を測定しましょう。この大陸の者は皆、自らの情報を脳内で視認できるはずです」 カテリーナに促され、悠真は心の中で「情報(ステータス)」を念じた。すると、目の前に半透明のパネルが浮かび上がる。
種族:人族 称号:??? スキル:???
(文字化けか……? 何も見えない) 悠真が眉を潜める一方で、隣の美咲の情報ははっきりと読み取ることができた。
種族:人族 称号:聖母 スキル:巨大化、急速回復 奇迹:聖杯
カテリーナは「測定石」と呼ばれる巨大な魔石を運ばせてきた。悠真と美咲がその石に手を触れると、大殿全体を飲み込むほどの青い光柱が立ち上がった。 だが、その光の中に浮かび上がった悠真の情報は、彼自身の視覚とは異なっていた。
称号:無 スキル:無
大殿内に、どよめきが走った。 「……勇者の称号がない?」 「ただの一般人が混じったのか? 召喚のミスか?」 大臣たちの視線が、一瞬にして悠真に対する「敬意」から「侮蔑」へと変わる。そしてそれと同時に、隣に立つ美咲への視線が、隠しきれないほどの「飢えた獣」のような色を帯び始めた。
「聖母様……その若々しい肢体、本当にこの少年の母親ですか? とても出産を経験したとは思えないほど瑞々しい……」 一人の大臣が、下卑た笑みを浮かべて美咲の臀部を執拗に眺めながら言った。 「違います! この子は間違いなく私の実の息子です! 石の方が間違っているわ!」 美咲が顔を赤らめ、震える声で悠真を庇う。
その時、天から厳かな、だが同時にひどく不快な「神託」が響き渡った。
『……勇者の召喚には欠陥が生じた。ゆえに、聖母に「聖杯」の力を授ける。聖杯は聖母の感度を極限まで高め、若き男たちの愛を受け入れるほどにその力を増すだろう。帝国の民よ、聖母を抱き、新たな勇者をその胎から産ませよ……』
その瞬間、大殿の空気は完全に「発情」した。
5. 王の冷徹と母の決断
王座に座る、肥満した肉塊のような国王がようやく口を開いた。 「……勇者なき聖母など、ただの苗床に過ぎぬ。聖母を別館へ連れて行け。体調を整え、受胎の準備をさせるのだ」 そして、悠真を一瞥して言い放った。 「そのガラクタは城の外へ放り出せ。帝国の食糧を浪費する価値もない」
「待ってください!」 美咲が絶叫し、悠真の前に立ちはだかった。 「息子を追い出すなら、私も行きます! 勇者だか聖母だか知らないけれど、私はこの子の母親なのよ!」
国王の濁った瞳に、陰湿な光が宿る。 「ほう……ならば、取引といこう。息子を城内に留める代わりに、お前は余の命令にすべて従うか? 調教も、受孕も、一切の拒否を認めぬが」
美咲の身体が激しく震えた。だが、彼女は悠真を救うために、その魂を売り渡す決断をした。 「……ええ。息子を私のそばに置いてくれるなら。私の仆従(下僕)として、常に私の視界に入る場所に置いてくれるなら……何でも、します」
「いいだろう。だが条件がある。調教は常に息子の前で行う。そして、息子自身にもお前の『開発』を手伝わせるのだ。どうだ?」
「……っ……わかりました。お受けします」 美咲は拳を握りしめ、涙を飲んで頷いた。
悠真は、その場に跪きながら、心の底で黒い炎を燃やしていた。 (勇者の力が「無」だと? 測石にすら映らないほど、僕の力は深い闇にあるだけだ。見ていろ、この豚のような国王も、母を汚そうとする貴族たちも……すべて僕が、この手で『虚無』に還してやる)
6. 公館への監禁:歪んだ日常の始まり
黄昏時、悠真と美咲は「公館」へと移送された。そこは一見、華やかな貴族の保養所だが、その実態は厳重に守られた「聖母の牢獄」だった。
「悠真……ごめんね。お母さん、あんな約束しちゃって……」 分かれ際、美咲は泣きながら悠真の額に口づけをした。 「大丈夫だ、母さん。僕を信じて。必ず、ここから連れ出すから」
悠真は公館の裏手にある、粗末な分館に押し込められた。 そこは使用人たちの共同部屋だったが、彼は「聖母の仆従」という特殊な立場ゆえ、狭いながらも個室を与えられた。
深夜、悠真は自らの部屋で瞑想した。 (あの時の感覚……。測石に触れた時、僕の視界には「???」と見えていた。だが、国王たちには「無」に見えた。これは僕の力が、この世界の理(ことわり)を超越している証拠ではないか?)
彼は自分のステータスに意識を集中させた。すると、双眸が突如として闇に染まり、視界が「転移」した。 そこは、美咲が一人で佇む、豪華な寝室だった。 悠真は、母の背後に立っていた。だが、彼には身体がない。ただの意識体(神識)として、母のそばに浮遊しているのだ。
「……あ、母さん……?」 声をかけたが、美咲に反応はない。 悠真は悟った。このスキルは、自分の肉体を離れ、母の周囲数メートル以内を密着して監視するための力なのだと。
窓の外を見つめ、涙を流す美咲。その肩が、未来への恐怖で震えている。 悠真は無力感に歯噛みした。 (今はまだ、見守ることしかできない。だが、この『目』があれば、母を汚そうとする者たちの計画をすべて事前に把握できる……!)
翌朝、悠真は自らの身体を鍛え直すため、裏手の小樹林へ向かった。 「はっ! はあっ!」 数時間の修練。彼は驚くべき事実を発見した。 彼が本気で拳を振るうと、周囲の時間そのものが「遅延」しているように感じるのだ。さらに、軽く放った一撃が、大木を容易く粉砕するほどの衝撃を生み出す。
「……やはり、僕は『無』じゃない。誰も定義できない『特異点』なんだ」
昼食時、悠真は「情報通」と自称する少年、カイルと出会った。 カイルは魔法石を使った盗聴を趣味とする卑屈な下働きだったが、悠真は彼を助けることで、この大陸の「魔法体系」と「勇者伝説」の裏側を少しずつ剥ぎ取り始めた。
「勇者ってのはね、魔法と武術の両方を完璧に使いこなす唯一の存在なんだよ。でも、召喚された後に『消される』勇者も多いっていう噂だぜ」 カイルの話を聞きながら、悠真は冷たく微笑んだ。
(この国は、母という『聖母』を繁殖用の家畜にし、僕という『勇者』を歴史から消そうとしている。ならば、僕は正義の勇者になどならない。……母さんを汚すすべてを焼き尽くす、復讐の修羅になってやる)
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