1 / 9
0章
プロローグ
しおりを挟む
中学に上がったころからだろうか、私は、人の心の声が聞こえるようになった。
それも気持ちの悪いものだ。
「苦しい。」
「死にたい。」
「もう、いやだ。」
という、苦痛の声。
「殺す。」
「死ね。」
「バカみたい。」
という、攻撃するような声。
人の負の感情が、いつも私の耳に流れ込んだ。
そんな時は、決まって動悸が激しくなり苦しくなる。
健康と言える時は、まだましだが、体調を崩している時は、その声が私をより苦しめようとした。
気を紛らわせるために、ヘッドホンが私には必須になった。
周りの音があまり聞こえないように、音楽を聴き続けた。
ヘッドホンを外すと、爆音のようにその声が私を襲う。
それを考えると、ヘッドホンを外すのが時々怖くなる。
家にいる時も、親が目の前にいると親の苦しそうな声や怒りのようなものが、私を痛めつけた。
親はいつも優しくしてくれるが、心の声では私を攻撃しようとしていることを知っている。
優しそうな顔をして、酷いことを言うのだ。
私は、いつしか親の顔をまともに見れなくなった。
まだ、信頼できる母親に何とかこのことを伝えられたおかげで、学校にも理解してもらえた。
そのため、周りの目はあるが通えていた。
慣れない中学のうちは、ほとんどが保健室登校だった。
保健室の先生がおばあちゃん先生ということもあり、広い視野で私のことを受け入れてくれた。
勉強はできる方だったが、何とかついていくのがやっとだった。
彼女といる時は安心できたが、たまに来る担任たちが勉強を教えに来る時は、あの声が私を襲うのではないかと、不安感に駆られない時はなかった。
あの声に苦しめられ、疲れた時は、長く眠ることにした。
幸い保健室だったため、簡単に休むことができた。
彼女も理解してくれていたので、伝えやすかった。
今でも、ヘッドホンを外すのが怖いが、少し慣れてきた。
そんな私も高校生になる。
親と話し、自由な校風の学校に通うことにした。
私立春雨高等学校。
制服はあるが、個性を生かすことを理念にするこの学校では、頭髪やアクセサリーなどは、基本自由となっている。
ここでなら、少しでも私は溶け込むことができるだろうと思った。
私は、少しの期待とそれを押しのけるように存在する不安感を心に押し殺し、入学式へと向かった。
春の清々しい風と共に流れる人波。
このヘッドホンが外れてしまったら、今にでも倒れてしまうのではないかという恐怖感が強く私を捕らえて離さない。
これは、負の感情を聞いてしまう不幸な私の物語。
長くも短い高校生活。
きっと、いい出会いも悪い出会いもあるだろう。
私も知らないこの場所で、新たな生活を始めよう。
目線は、まだ下を向き続けている。
それも気持ちの悪いものだ。
「苦しい。」
「死にたい。」
「もう、いやだ。」
という、苦痛の声。
「殺す。」
「死ね。」
「バカみたい。」
という、攻撃するような声。
人の負の感情が、いつも私の耳に流れ込んだ。
そんな時は、決まって動悸が激しくなり苦しくなる。
健康と言える時は、まだましだが、体調を崩している時は、その声が私をより苦しめようとした。
気を紛らわせるために、ヘッドホンが私には必須になった。
周りの音があまり聞こえないように、音楽を聴き続けた。
ヘッドホンを外すと、爆音のようにその声が私を襲う。
それを考えると、ヘッドホンを外すのが時々怖くなる。
家にいる時も、親が目の前にいると親の苦しそうな声や怒りのようなものが、私を痛めつけた。
親はいつも優しくしてくれるが、心の声では私を攻撃しようとしていることを知っている。
優しそうな顔をして、酷いことを言うのだ。
私は、いつしか親の顔をまともに見れなくなった。
まだ、信頼できる母親に何とかこのことを伝えられたおかげで、学校にも理解してもらえた。
そのため、周りの目はあるが通えていた。
慣れない中学のうちは、ほとんどが保健室登校だった。
保健室の先生がおばあちゃん先生ということもあり、広い視野で私のことを受け入れてくれた。
勉強はできる方だったが、何とかついていくのがやっとだった。
彼女といる時は安心できたが、たまに来る担任たちが勉強を教えに来る時は、あの声が私を襲うのではないかと、不安感に駆られない時はなかった。
あの声に苦しめられ、疲れた時は、長く眠ることにした。
幸い保健室だったため、簡単に休むことができた。
彼女も理解してくれていたので、伝えやすかった。
今でも、ヘッドホンを外すのが怖いが、少し慣れてきた。
そんな私も高校生になる。
親と話し、自由な校風の学校に通うことにした。
私立春雨高等学校。
制服はあるが、個性を生かすことを理念にするこの学校では、頭髪やアクセサリーなどは、基本自由となっている。
ここでなら、少しでも私は溶け込むことができるだろうと思った。
私は、少しの期待とそれを押しのけるように存在する不安感を心に押し殺し、入学式へと向かった。
春の清々しい風と共に流れる人波。
このヘッドホンが外れてしまったら、今にでも倒れてしまうのではないかという恐怖感が強く私を捕らえて離さない。
これは、負の感情を聞いてしまう不幸な私の物語。
長くも短い高校生活。
きっと、いい出会いも悪い出会いもあるだろう。
私も知らないこの場所で、新たな生活を始めよう。
目線は、まだ下を向き続けている。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる