えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟！兄上に天下を取らせるため尽力します。

4章 三国鼎立

先ずどこを攻めるべきかの話し合い

　義賢たちが長沙城に入城する。魏延が代表して挨拶をして、義賢が頷く。
　魏延「此度の救援に感謝致す」
　義賢「うむ」
　魏延は黄忠と再会を喜び少し会話を交わす。
　黄忠「息災であったか魏延よ。久しいな」
　魏延「黄忠殿！？無事に劉備軍へと合流できたようで何より」
　黄忠「同じのお陰で倅も大きくなったわい」
　黄叙「お久しぶりです魏延殿。その節は母と僕を助けてくださり感謝しています」
　魏延「おお、大きくなられましたな。それにその弓。成程、血は争えませんでしたかな。ハッハッハ」
　黄忠「これ、魏延よ。そう揶揄ってくれるな。むず痒いでは無いか」
　黄叙「まだまだ父上には遠く及びませぬ」
　魏延「焦らずゆっくりと成長なされよ。ところで黄忠殿、その後ろの者たちは？」
　黄忠「そうであったな紹介しておこう。公孫瓚が長子で我が殿の養子、公孫続」
　公孫続「白馬儀従を率いている公孫続と申す。よろしく頼む」
　魏延「劉備殿の養子でしたか。これは失礼をした。魏延と申す。こちらこそ、よろしく頼む」
　黄忠「こちらは、袁術が長子で我が殿の養子、袁燿」
　袁燿「魏延殿の武勇はお聞きしております。袁燿と申します。よろしくお願いします」
　魏延「どのような武勇かは聞かないでおくとしよう。魏延だ。よろしく頼む。それにしても黄忠殿。出世されましたな。劉備殿から養子とはいえ御子息をお預かりしているとは」
　黄忠「関羽殿から借り受けているだけじゃ」
　魏延「成程。では黄忠殿、暫し疲れを癒してくだされ」
　趙範は趙雲と会話を交わす。
　趙雲「趙範、無事で安心した」
　趙範「趙雲殿、救援感謝致す。もう少しで死ぬことを覚悟するところであった」
　樊玉鳳「趙範、縁起でも無いことを言わないで。趙則に会うのはまだ早いわよ」
　趙範「義姉上の申す通りだな。陳応・鮑隆も息災であったか？」
　陳応「この通り、狩人だった俺を取り立ててくれた趙範様の元で培った弓の技術を買っていただき弓隊を引き入らせてもらっております」
　鮑隆「趙範様が無事で良かった。俺も今はこうして1小隊を任されております」
　趙範「お前たちの活躍を元主人として嬉しく思うぞ」
　？？？「叔父上～～～～」
　趙範「うおっ。風鈴か。また、一段と大きくなったな」
　趙風鈴「エヘヘ。桂陽が落ちたって聞いて、めちゃくちゃ心配したんだからね」
　趙範「姪に心配をかけるとは叔父失格だな。この通り、元気だ。安心したか？」
　趙風鈴「うん、母上と父上に無理言って連れてきてもらった甲斐があったよ」
　趙範「趙雲殿・義姉上、姪にも合わせてもらって、感謝する」
　趙雲「気にする必要はない。1年に1度ぐらいしか合わせられなくて申し訳なく思っているぐらいだ」
　樊玉鳳「えぇ。趙則との間の子では無いけど。趙範も喜んでくれてとても嬉しいわ」
　趙範「義姉上の子なら姪だ。兄上も喜んでいるだろう」
　樊玉鳳「そうかしら。また血塗られた道を進む私を喜んで見ているかしら？」
　趙範「それは、どうであろうな。兄上は戦です女子供が傷つく事を一番嫌っておったからな。だが、文句を言う権利は無かろう。義姉上を残して死んだ兄上が悪いのだからな」
　樊玉鳳「そうね。でも、忘れたことは一度もないわ。子龍との今の幸せも大事だけど。趙則と過ごした時間も私にとっては、幸せな時間だったもの」
　趙範「その言葉だけで、充分であろうな。趙雲殿も義姉上も休まれよ。あの化け物たちとの一騎討ちは疲れたであろう」
　趙雲「そうさせてもらおう」
　樊玉鳳「御言葉に甘えるわね」
　趙風鈴「私は叔父上と遊ぶ～」
　趙範「そうかそうか。では、向こうで遊ぼうな」
　趙風鈴「やったー」
　邢道栄は張郃と再会を喜び会話を交わしていた。
　邢道栄「張郃殿、一度ならず二度も命を救われたな」
　張郃「気にするな」
　邢道栄「そうはいかん。張郃殿が居なければ俺の命はあの時、劉賢の野郎に使い捨てにされていたであろう」
　張郃「俺は策に従ったまで」
　邢道栄「頑固なのだな。では、そういうことにしておくとしよう。ところで気になっていたのだが聞いても良いか？」
　張郃「なんだ？」
　邢道栄「男性だよな？」
　張郃「見てわかるだろう。女に見えるか？」
　邢道栄「仕草がたまに」
　張郃「そっそっそんなわけないだろ」
　高覧「何、動揺してんだ。馬鹿」
　邢道栄「叩くのは頂けんな。お前、表に出ろ。この邢道栄が相手になってやる」
　高覧「これが俺と張郃の幼馴染としての普段のやりとりだ。お前こそ、俺の張郃に手を出そうとしやがって許せん。受けて立つ」
　張郃「やめろ。馬鹿ども。これからが大変なのにこんなところで力を消耗するな」
　間に入った張郃に投げ飛ばされる2人。そして、一方その頃、長沙城内では軍師をしている潘濬が義賢・田豊・沮授の3人と共に次に攻めるべき場所について協議していた。
　潘濬「先の救援、感謝致します。ここ長沙で軍師を務めております潘濬と申す。以後、お見知り置きを」
　義賢「劉玄徳が弟、劉義賢だ。全軍の指揮を預かると同様、劉備軍では、軍祭酒を務めている。よろしく頼む」
　田豊「田元皓と申す。劉備軍では軍師を務めておる。よろしく頼む」
　沮授「沮授と申す。同じく劉備軍では軍師を務めている。よろしく頼む」
　潘濬「劉丁殿に田豊殿に沮授殿ですね。よろしくお願いいたします。まずは、仕入れてきた情報を元に話をさせていただきたい。武陵には、先の7将の党首を務める女盗賊の李杏がいる。ここを攻めるのは最後が良いだろう。では、どこを狙うべきか。先ずは零陵を任されている山賊の頭4人を討ち、分断させた後、桂陽を任されている南蛮の一つである零陵蛮れいりょうばんと呼ばれる者たちを討ち。最後に武陵に居座る、 槃瓠バンコを系譜とする蛮夷ばんいの者たちを討つのが良いかと」
　義賢「うむ。ところで気になったのだが槃瓠を系譜とする蛮夷ってなんだ？」
　潘濬「劉丁殿は御存知ではありませんでしたか。では、夏王朝という王朝を作った帝嚳テイコクという人が居たのですが犬戎けんじゅうに侵略され、頭を悩ませた彼は犬戎の呉将軍の首を取った者に娘を与えると言い。勇士を募ったのですが討伐したのが帝嚳という人が飼っていた犬でその名前が槃瓠と言います。そして、その槃瓠と帝嚳の娘との間に産まれた子供たちのことを蛮夷と言うのです」
　義賢「犬と人間の間に子供ができた？さっぱり意味がわからん」
　潘濬「ハハハ。全く、その通りと言いたいところですが。古くよりこの荊州地方に伝わっている伝説でして」
　義賢「わかったわかった。潘濬殿の言う通りに先ずは零陵攻めをしよう」
　潘濬「御理解頂き、感謝します」
　こうして、第一の目標は、山賊の4人の頭が占拠する零陵郡の奪還となったのである。