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二章 大王烏賊編
風俗嬢ミサ
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ミサミサに着ぐるみの手を握られ、王族だと言われてしまった俺。
「アハハ~ミサちゅわん何を言い出すんだい。ラインハック家の僕ちんが知らないわけないじゃないか……ぬわんと!?」
こういう出会い方で無ければ、ゲーム世界では同じく勇者の踏み台にされる仲同士、仲良くしてやろうとも思ったが……現実世界で俺の心を救ってくれた存在を手篭めにしようとしたとあっては、許す訳にはいかんか。
「おい、アイツ王族らしいぜ」
「あ、あぁ。俺のさっきの言葉、不敬罪とかで処罰されたりとかしねぇよな」
「し、知らなかったんだからだ、大丈夫だろ」
「でも、王族に粗末なナニって……俺処されるかも」
「いや、俺らよりもあの貴族の坊ちゃんの方がヤバいだろ。王族に面と向かって愚民って」
「た、確かに」
民衆とは本当に単純な生き物だよな。
得体の知れない着ぐるみを着ただけの中身がオークの俺をミサミサの嘘の言葉を間に受けて、お忍びで来ている王族と認識した途端に手の平返しなのだから。
「ラインハック卿。いやチッターよ」
「ひぃっ!」
いや、名前を呼んだだけでビビり過ぎだろ。
そんなんだから勇者に軽くあしらわれるんだぞ。
「ヤバいって、アイツ貴族のボンボンの名前知ってるって!マジものの王族だって!」
「そ、そうだな。俺らラインハック家のボンボンとしか言ってないもんな……今のうちに謝っておくべきかな?」
「もう遅いって!口は災いの元だったと諦めるしかねぇよ」
「そうかもう遅い……か。俺、もう得体の知れない何かを見ても絶対に無視することにするわ」
「俺も」
まぁその点、民衆より冒険者の方が弁えてるところはあるな。
冒険者は得体の知れない俺を見ても気にするそぶりは見せても無視を決め込んでたからな。
それよりもこの怯えたチッター君をどうするべきか。
「チッターよ。そう怯える必要はない。お互い、ここでは会わなかった事にしよう。周りの皆もそう怯えることはないぞ。先程までの言葉で処したりすることはない。俺はここに居なかった。良いな?」
「は、はひぃ!何処の誰かは存じませぬが寛大な御心に感謝致しまする」
先程までとは打って変わって平身低頭で謝るチッター君。
こういう所も勇者に小物として軽くあしらわれるところだよな。
というか俺がクレアとねんごろにならなかった世界線で、勇者の女になっていたクレアとやっていた場合、勇者の守りによって、酷い目に遭ってたのはチッター君の方なのだが。
「おい、聞いたかさっきの俺の不敬、許してくれるってよ」
「あ、あぁ。これが王族の威光って奴なんだな」
まぁ、これでもう騒ぎ立てられることもないだろう。
というか、本当にここに王族がお忍びで来るのかどうかなんて、少し考えれば分かりそうなものだが。
「ミサミサもこれで許してくれるな?」
「ミサミサ……?は、はい。そういうことですので、ラインハック様のお気持ちは嬉しいのですが」
「も、勿論です!どうぞどうぞ、王族。ではなくて……そ、そちらの着ぐるみの男性とお楽しみください。僕ちんはこれで失礼します」
いうだけ言って、走っていってしまったチッター君。
これが脱兎の如くというやつか。
「あ、あの。ここでは公共の目もありますので、寄って行かれませんか?」
ミサミサが囁くような声で言うので、共に中に入っていく。
というか店のキャストに嫌がらせをするのを追い払うのは、店長やスタッフの役目だと思うが……いや現実世界の『アソコヘGO』も気弱な店長が1人で切り盛りしていてスタッフも居なかったような……成程、そういうところも原作再現みたいな感じか。
「い、いらっしゃいませ。あ、ミサさんとラインハック家の坊ちゃま……じゃないんですね。あのど、どちら様ですか?」
「店長、こちら私のお客様で王族の人なの。ラインハック家の勘違い坊やに困ってたところを助けていただいたの。そういうわけだから私の奢りで部屋を使わせてもらっても良い?」
「お、王族!?も、勿論。ど、どこでも好きに使ってください。僕は何も見ていない。僕は何も見ていない」
関わりたくないってのを口に出すのはどうかと思うが……1つ良いことを思い付いた。
「店長よ。この女性を身請けしたいのだがいくらの金額を用立てれば良い?」
「「えっ!?」」
店長とミサミサの声が揃う。
勝手に俺のことを利用したのだ少し驚かせるぐらいでバチは当たるまい。
「はぁ。ミサを身請け……(うちの稼ぎ頭を身請け……普段なら喜ぶべきところを相手が王族となると……ゴクリ。ダメだダメだ。高値を付けて睨まれるなんてこと……)ミサはもう十分うちで稼いでくれましたからミサが良いならお代は結構です」
「「えっ?」」
今度は俺とミサミサが同時に驚いた。
というか、この店長めちゃくちゃ逡巡してただろ!
目がだいぶ泳いで何度か金マークが目に出てたぞ。
で、関わりたくないと判断して、ミサミサ任せにしやがった。
「本当に良いのか店長?」
「は、はい……。」
いやめちゃくちゃ惜しがってるだろ!
「そうか……店長よ別に今すぐにというわけではない。驚かせてすまなかった。だが、言質は取ったぞ。後でやっぱりお金をと言っても渡さぬからな」
「も、勿論です」
「ミサミサもすまなかったな。勝手に利用されたせめてものの意趣返しだ。許せ」
「もう。酷いお人ですね。それでは部屋に御案内します」
俺はミサミサの後に続いて、部屋へと入った。
「アハハ~ミサちゅわん何を言い出すんだい。ラインハック家の僕ちんが知らないわけないじゃないか……ぬわんと!?」
こういう出会い方で無ければ、ゲーム世界では同じく勇者の踏み台にされる仲同士、仲良くしてやろうとも思ったが……現実世界で俺の心を救ってくれた存在を手篭めにしようとしたとあっては、許す訳にはいかんか。
「おい、アイツ王族らしいぜ」
「あ、あぁ。俺のさっきの言葉、不敬罪とかで処罰されたりとかしねぇよな」
「し、知らなかったんだからだ、大丈夫だろ」
「でも、王族に粗末なナニって……俺処されるかも」
「いや、俺らよりもあの貴族の坊ちゃんの方がヤバいだろ。王族に面と向かって愚民って」
「た、確かに」
民衆とは本当に単純な生き物だよな。
得体の知れない着ぐるみを着ただけの中身がオークの俺をミサミサの嘘の言葉を間に受けて、お忍びで来ている王族と認識した途端に手の平返しなのだから。
「ラインハック卿。いやチッターよ」
「ひぃっ!」
いや、名前を呼んだだけでビビり過ぎだろ。
そんなんだから勇者に軽くあしらわれるんだぞ。
「ヤバいって、アイツ貴族のボンボンの名前知ってるって!マジものの王族だって!」
「そ、そうだな。俺らラインハック家のボンボンとしか言ってないもんな……今のうちに謝っておくべきかな?」
「もう遅いって!口は災いの元だったと諦めるしかねぇよ」
「そうかもう遅い……か。俺、もう得体の知れない何かを見ても絶対に無視することにするわ」
「俺も」
まぁその点、民衆より冒険者の方が弁えてるところはあるな。
冒険者は得体の知れない俺を見ても気にするそぶりは見せても無視を決め込んでたからな。
それよりもこの怯えたチッター君をどうするべきか。
「チッターよ。そう怯える必要はない。お互い、ここでは会わなかった事にしよう。周りの皆もそう怯えることはないぞ。先程までの言葉で処したりすることはない。俺はここに居なかった。良いな?」
「は、はひぃ!何処の誰かは存じませぬが寛大な御心に感謝致しまする」
先程までとは打って変わって平身低頭で謝るチッター君。
こういう所も勇者に小物として軽くあしらわれるところだよな。
というか俺がクレアとねんごろにならなかった世界線で、勇者の女になっていたクレアとやっていた場合、勇者の守りによって、酷い目に遭ってたのはチッター君の方なのだが。
「おい、聞いたかさっきの俺の不敬、許してくれるってよ」
「あ、あぁ。これが王族の威光って奴なんだな」
まぁ、これでもう騒ぎ立てられることもないだろう。
というか、本当にここに王族がお忍びで来るのかどうかなんて、少し考えれば分かりそうなものだが。
「ミサミサもこれで許してくれるな?」
「ミサミサ……?は、はい。そういうことですので、ラインハック様のお気持ちは嬉しいのですが」
「も、勿論です!どうぞどうぞ、王族。ではなくて……そ、そちらの着ぐるみの男性とお楽しみください。僕ちんはこれで失礼します」
いうだけ言って、走っていってしまったチッター君。
これが脱兎の如くというやつか。
「あ、あの。ここでは公共の目もありますので、寄って行かれませんか?」
ミサミサが囁くような声で言うので、共に中に入っていく。
というか店のキャストに嫌がらせをするのを追い払うのは、店長やスタッフの役目だと思うが……いや現実世界の『アソコヘGO』も気弱な店長が1人で切り盛りしていてスタッフも居なかったような……成程、そういうところも原作再現みたいな感じか。
「い、いらっしゃいませ。あ、ミサさんとラインハック家の坊ちゃま……じゃないんですね。あのど、どちら様ですか?」
「店長、こちら私のお客様で王族の人なの。ラインハック家の勘違い坊やに困ってたところを助けていただいたの。そういうわけだから私の奢りで部屋を使わせてもらっても良い?」
「お、王族!?も、勿論。ど、どこでも好きに使ってください。僕は何も見ていない。僕は何も見ていない」
関わりたくないってのを口に出すのはどうかと思うが……1つ良いことを思い付いた。
「店長よ。この女性を身請けしたいのだがいくらの金額を用立てれば良い?」
「「えっ!?」」
店長とミサミサの声が揃う。
勝手に俺のことを利用したのだ少し驚かせるぐらいでバチは当たるまい。
「はぁ。ミサを身請け……(うちの稼ぎ頭を身請け……普段なら喜ぶべきところを相手が王族となると……ゴクリ。ダメだダメだ。高値を付けて睨まれるなんてこと……)ミサはもう十分うちで稼いでくれましたからミサが良いならお代は結構です」
「「えっ?」」
今度は俺とミサミサが同時に驚いた。
というか、この店長めちゃくちゃ逡巡してただろ!
目がだいぶ泳いで何度か金マークが目に出てたぞ。
で、関わりたくないと判断して、ミサミサ任せにしやがった。
「本当に良いのか店長?」
「は、はい……。」
いやめちゃくちゃ惜しがってるだろ!
「そうか……店長よ別に今すぐにというわけではない。驚かせてすまなかった。だが、言質は取ったぞ。後でやっぱりお金をと言っても渡さぬからな」
「も、勿論です」
「ミサミサもすまなかったな。勝手に利用されたせめてものの意趣返しだ。許せ」
「もう。酷いお人ですね。それでは部屋に御案内します」
俺はミサミサの後に続いて、部屋へと入った。
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