魔族に転生したので魔族の頂点を目指したいと思います!

揚惇命

文字の大きさ
203 / 220
最終章 第三幕

4話 イツコブ砦の崩壊

しおりを挟む
 魔頂村から魔王国へと攻める際、最初の関門がこのイツコブ砦である。ラクダのコブのように配置されたこの砦は各砦との連携感がキチンとしている。バラバラに配置されていたこの砦をアンドレ自らが改修したこの砦の防衛力はドレッドの時代に比べて段違いの性能であった。だが幸いなことに今の魔頂村には相手の配置が筒抜けである。1万づつ5万の砦兵をどう打ち破るか。その議論が行われていた。
「クレオ様、我らオーク騎馬隊に任せてくれ」
「砦攻めに騎馬隊は不向きだ。シーザー、守りの得意なお前なら相手をどう崩す?」
「そうですなぁ。土竜攻めなんてどうでしょうか?」
「成程。良い選択だ。我らは限られた兵だ正攻法で攻め兵数を多く失うわけには行かない。消耗も最小限だ。ダスティル、お前が必要になる時が必ず来る。その時まで身体を休めておけ。リリ、この辺にいる土竜系の魔物をここに連れてきて」
「クレオ様、了解した」
「玲王様、そんな必要はありません。お前たち。穴を掘るのです」
「合点承知。姐さんのためならホーリホリ。姐さんのためならホーリホリ」
「アイツらって穴も掘れるの」
「あら、ここ掘れワンワンってあるんだから犬は穴掘れるわよ」
「それで良いのか」
 リリの使役する犬系の魔物たちが掘り進めること数時間。ゴコゴゴコゴココゴゴという音と共にイツコブ砦が地面にそのまま落ちた。
「いやいや、やりすぎだって。これじゃあどうやって攻めるんだよ」
「攻める必要なんてないわ。こうするのよ」
 今度は犬系の魔物たちが砂かけの容量でイツコブ砦を地面の下に埋めてしまった。勿論中にいた5万の魔族は生き埋めとはならず外に出てきたところを各個討ち取っていく。これで良いのかと思わずにはいられない全く考えもつかないやり方でイツコブ砦を落とした魔頂村軍は魔王国内部へと進軍を開始する。その情報は魔王アンドレの元にも届くのであった。
「アンドレ様、イツコブ砦が1日で落ちました」
「どういうことだ!?」
「突如として地面の中に落ち、そのまま埋め立てられ、外に這い出た魔族たちも容赦なく討ち取られました」
「勿論、攻めてきた相手にも損害は与えたのであろうな?」
「それが、その0です」
「貴様らは全く何をやっているのだ。5万の兵を1日で失っただと。ええい、、お前みたいな馬鹿と話したくもないわ。顔も見たくない。とっとと出ていけ」
「はひぃーーーーー」
「まさか土竜攻めとはな。しかも砦全体をそのまま地面に落とすなど。対策はしていたのだがそんなに深く掘られたのであれば対策もクソもないな。苗床共に魔族の生産を急がせろ。多少無理させても構わぬ。生まれた子供にはガンガン成長剤を打て。魔王国が滅ぶかもしれん瀬戸際で苗床の命とか気にしてられるか?死ねばまたどこからか集まれば良いだけだ。人間の女でなくても魔族の女でも魔物でも構わん。とにかく女は全て捕らえて苗床行きだ」
「はっ」
 アンドレの命令により、魔族の女を捕らえ。産まれた魔族が女だった場合、それも苗床行きとし、生産数を増やす。その結果、薬の副作用でまともじゃない化け物みたいな子供が多く産まれることとなる。言うことを聞かないそれらの化け物には隷属の首輪をつけることで奴隷とし、無理やり使い倒すことにする。そうして急拵えで作った魔族兵に命じて、魔頂村軍を急襲させた。
「なんだあの異様な姿は!?」
「成長剤を多く投与されたことによる副作用かもしれん」
「首元のあれは隷属の首輪か。ならあれを外せば」
「殿、それはやめるべきじゃ。そんなことをすれば見境なく襲い掛かるだけじゃ」
「成程。全て討ち取るべきってことか。兵数に限りのある我ら相手に有効打ということか。クソ」
「クレオ様らしくない。ここは俺に任せてくれ」
「ダスティル!」
 ダスティル率いるオーク騎兵が突撃して、次々と化け物共の命を刈り取っていた。
「アイツらどんだけ強くなってんだ?」
「殿、何を焦っておるのじゃ」
「俺が焦ってる?焦ってなどいない。とっととこのくだらない戦争を終わらせたいだけだ」
「それを焦っていると言うのだ。一つづつ確実に進軍すれば良いのだ」
「わかっている。だがその間にも魔族の苗床とされた多くのものが苦しんでいるのだぞ。最悪死に至るかも知れない。これ以上、虐げられることなど到底許せぬ」
「焦って、我らが罠に嵌り壊滅すれば助けられんじゃろうと申しておるのだ」
 シュテンによる拳骨が炸裂する。
「イッテーーーーーーーー。何するんだよシュテン」
「こうでもせんと落ち着かんであろう。少しは落ち着いたか」
「痛くて動けないだけだ」
「殿よ。我らを信じよ。ここにいる者は、殿に守らられだけの弱きものか?違うであろう。殿と志を同じとした者たちだ。必ずや殿を魔王の元へと運んでやる。じゃから、頼れ。殿はいつものように我らに命じてどっしりと構えておれば良いのだ。それで死んだからなんじゃ。皆、この先の平和のための犠牲なら喜んで受ける馬鹿共じゃ。じゃがそうしたのは殿じゃぞ。責任は取るのじゃ。殿が先走っても殿を守るために死ぬ兵が増えるだけじゃ」
「くっ。でもシュテン」
「シュテンの申す通りですわ。御館様は焦りすぎよ。苗床になった女性たちを解放してあげたい気持ちもわかるわ。でも、それはこの戦が始まった時点で敵わないことはわかっていたはずよ。兵数を増やすためならなんでもするでしょう。私たちは、そんなことをした新魔王に引導を渡してやるのよ」
「アラナミまで。わかった。みんなに任せるよ」
「それで良いのじゃ」
 落ち着きを取り戻したクレオの元に化け物共を殲滅し全身を敵の返り血で真っ赤に染まったダスティルたちが帰ってきた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

処理中です...