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2章 オダ郡を一つにまとめる
68話 馬競走のゆくえ
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ふっ。
帰蝶のことを思い出していた。
この世界には愛する妻も子も兄弟も居ない。
こうして、思い出してやるだけでも心の中でずっと生き続けてくれよう。
それに、日の本で出会う誰かに性格は似てる奴らがこうしているのだ。
ここの領民を守るのが今のワシの務めだ。
「若様?」
「あぁ。すまん。で、今はどんな感じだマリー」
「そうですね。50人とも申し分ないですね。カーブも問題なく。いえ、若干一名、あれは天才ですね。乗っている馬と友達なのではないかと思うぐらいの同調率なのでは?まぁ、惜しくも一位の順位には及びませんでしたが」
「であるか。もう十分であろう。上級の障害物は取りやめとし、馬競走とする。いや、待てよ。泥沼は部分部分に使うとしよう。ぬかるんでいる場所でも問題なく走れるようにな。後は、ルールだが5頭づつの10レースとする。観客に無理しない程度で、応援する馬に賭けることを許可する。集めた金は、領民の皆の暮らしのために使うとな」
「承知しました」
マリーが壇上に立つ。
「若様より、正式に競争を許可するとの御言葉をいただきましたので、僭越ながら私が提示されたルールについて、お伝えいたします。出走馬については、5頭づつの10レースとします。尚、若様より盛り上げるために領民による賭けをすることの許可をいただきました。無理しない程度で、応援するお方や馬にお賭けください。尚、オッズ次第では、お渡しする額が少量となることを御了承ください。尚、領民の皆様から集めた大切なお金については、領民の皆様の暮らしを良くするために大切に使わせていただきます。以上」
「ほぉ。これは面白いことを考えなさる。では、ワシも一口乗らせてもらおうとするかのぉ」
「ハンネスよ。負けんぞ」
「全く2人ともこういうのはですね。馬の状態をよく見極めてですね」
ハンネス・フロレンス、ゴルド・グロスター、ルイス・ヴェルトハイムが参戦を表明するのを聞いて、領民たちも賭けに参戦する。
「うおっしゃあ。俺も参戦するぜ」
「馬と馬の意地のぶつかり合いにお金で花を添える。なんて良い響きなのかしら~」
「セル君の乗ってた馬。セル君の乗ってた馬。って、全然わかんないよ~」
これに1番乗ってきたのは、ハイネル・フロレンスだった。
「いや、サブロー待たせたね。諸々と準備に手間取ってしまって、こっちのことはすっかり父に任せすぎたよ。めちゃくちゃ面白いことやってるじゃないか。ちょっと。登録名と馬のリストを見せてくれるかい?」
「あぁ。構わないぞ」
「へぇ。良し。では、司会は、僕に任せてもらおう」
ハイネル・フロレンスが壇上に上がる。
「レディースアンドジェントルマン。やって参りました馬の祭典、ロルフ早駆け祭、最初の出走者は、1コーナー、直線コースは私に任せなさい『天真爛漫娘が行きます』が乗るのは、栗毛で目がクリクリとして魅力的な牝馬の『マロン』ちゃんだ」
「うぉ。あのにぃちゃん、急に壇上に上がったと思ったら出走者と馬の説明してくれてんのかよ。こうしちゃいられねぇ。聞かないとな」
「マロン、一緒に頑張りますわよ」
「ヒヒーン。ブルブル」
「気合い十分と言ったところでしょうか。オッズは2.4倍となりました。2コーナーは、『速さを追い求めすぎた女』が乗るのは、初級コースにおいて、ダントツの速さで駆け抜け、白くなった芦毛の『シロ』に乗って、登場だ」
「あぁん、白馬って素敵よねぇ」
「シロ、今回もぶっちぎりで駆け抜けるわよ」
「ヒヒーン。ブルブル」
「これはまるで期待に応えてやるぜと言わんばかりの大きな声で鳴いています。初級を見ていた皆さんの期待も色濃く反映されている~オッズは1.1倍だ。この組の優勝候補筆頭といったところか!このプレッシャーに耐えられるのかも楽しみにしたいところです。3コーナーは、『急には止まらないから』の乗る馬は、青毛が特徴的な『ブルーミント』の登場だ」
「ブルーミントちゃん、駆け抜けますわよ」
「ヒヒーン。ブルブル」
なんかハイネルの奴、めちゃくちゃ楽しそうだな。
「気合いとは裏腹に初級での一定の走りに期待する人は少なく、オッズは脅威の8.5倍。大穴といったところでしょうか」
「大穴と聞いて、賭けないわけにはいきませんのぉ」
おっ、ハンネスは、一発狙いに賭けるとは、博打好きか。
「4コーナー、『トロ臭くても頑張ってます』が乗るのは、一般的な鹿毛の『シカ』ちゃんだ。しかし、侮ることなかれ、初級コースでの成績はトップ10入り、それもあって、オッズは何とこの組、2番手の1.8倍となっている」
「はわわ。私なんかがすみません。すみません」
「ヒヒーン?」
「頼むぜ本当によ~」
ゴルドの奴は、安定を取り1番人気ではなく2番人気に賭けた形か。
「おっと。この頼りない鳴き方。不安が残りますね。5コーナーは、『今日でうち仕事辞めさせてもらいます』が乗るのは、黒鹿毛の『クロマル』だ。この馬、先程の外周において、逆走するという天然を発揮している。しかし、大穴は回避のオッズは、6.2倍。どう考えてもこっちの方がダメだろうという御言葉も聞こえてくるか」
「うち、今日で仕事辞めんねん。頼むでクロマル」
「ヒヒーン」
「この頼むでという言葉は、また観客を大笑いさせてくれってことでしょうか。第一レースはこの5頭による出走となります」
「いえ、あんな状況で逆走ができるほど落ち着いているのかも知れませんね。馬の状態も悪くない。私は、クロマルに賭けましょう」
ルイスの奴は、クロマルに賭けたか。
あの馬は、気性が荒いからな。
乗りこなしているだけでもあの女性は凄いと言えよう。
さて、緊張の第一レース、誰も怪我をせぬように見守らせてもらうとしよう。
帰蝶のことを思い出していた。
この世界には愛する妻も子も兄弟も居ない。
こうして、思い出してやるだけでも心の中でずっと生き続けてくれよう。
それに、日の本で出会う誰かに性格は似てる奴らがこうしているのだ。
ここの領民を守るのが今のワシの務めだ。
「若様?」
「あぁ。すまん。で、今はどんな感じだマリー」
「そうですね。50人とも申し分ないですね。カーブも問題なく。いえ、若干一名、あれは天才ですね。乗っている馬と友達なのではないかと思うぐらいの同調率なのでは?まぁ、惜しくも一位の順位には及びませんでしたが」
「であるか。もう十分であろう。上級の障害物は取りやめとし、馬競走とする。いや、待てよ。泥沼は部分部分に使うとしよう。ぬかるんでいる場所でも問題なく走れるようにな。後は、ルールだが5頭づつの10レースとする。観客に無理しない程度で、応援する馬に賭けることを許可する。集めた金は、領民の皆の暮らしのために使うとな」
「承知しました」
マリーが壇上に立つ。
「若様より、正式に競争を許可するとの御言葉をいただきましたので、僭越ながら私が提示されたルールについて、お伝えいたします。出走馬については、5頭づつの10レースとします。尚、若様より盛り上げるために領民による賭けをすることの許可をいただきました。無理しない程度で、応援するお方や馬にお賭けください。尚、オッズ次第では、お渡しする額が少量となることを御了承ください。尚、領民の皆様から集めた大切なお金については、領民の皆様の暮らしを良くするために大切に使わせていただきます。以上」
「ほぉ。これは面白いことを考えなさる。では、ワシも一口乗らせてもらおうとするかのぉ」
「ハンネスよ。負けんぞ」
「全く2人ともこういうのはですね。馬の状態をよく見極めてですね」
ハンネス・フロレンス、ゴルド・グロスター、ルイス・ヴェルトハイムが参戦を表明するのを聞いて、領民たちも賭けに参戦する。
「うおっしゃあ。俺も参戦するぜ」
「馬と馬の意地のぶつかり合いにお金で花を添える。なんて良い響きなのかしら~」
「セル君の乗ってた馬。セル君の乗ってた馬。って、全然わかんないよ~」
これに1番乗ってきたのは、ハイネル・フロレンスだった。
「いや、サブロー待たせたね。諸々と準備に手間取ってしまって、こっちのことはすっかり父に任せすぎたよ。めちゃくちゃ面白いことやってるじゃないか。ちょっと。登録名と馬のリストを見せてくれるかい?」
「あぁ。構わないぞ」
「へぇ。良し。では、司会は、僕に任せてもらおう」
ハイネル・フロレンスが壇上に上がる。
「レディースアンドジェントルマン。やって参りました馬の祭典、ロルフ早駆け祭、最初の出走者は、1コーナー、直線コースは私に任せなさい『天真爛漫娘が行きます』が乗るのは、栗毛で目がクリクリとして魅力的な牝馬の『マロン』ちゃんだ」
「うぉ。あのにぃちゃん、急に壇上に上がったと思ったら出走者と馬の説明してくれてんのかよ。こうしちゃいられねぇ。聞かないとな」
「マロン、一緒に頑張りますわよ」
「ヒヒーン。ブルブル」
「気合い十分と言ったところでしょうか。オッズは2.4倍となりました。2コーナーは、『速さを追い求めすぎた女』が乗るのは、初級コースにおいて、ダントツの速さで駆け抜け、白くなった芦毛の『シロ』に乗って、登場だ」
「あぁん、白馬って素敵よねぇ」
「シロ、今回もぶっちぎりで駆け抜けるわよ」
「ヒヒーン。ブルブル」
「これはまるで期待に応えてやるぜと言わんばかりの大きな声で鳴いています。初級を見ていた皆さんの期待も色濃く反映されている~オッズは1.1倍だ。この組の優勝候補筆頭といったところか!このプレッシャーに耐えられるのかも楽しみにしたいところです。3コーナーは、『急には止まらないから』の乗る馬は、青毛が特徴的な『ブルーミント』の登場だ」
「ブルーミントちゃん、駆け抜けますわよ」
「ヒヒーン。ブルブル」
なんかハイネルの奴、めちゃくちゃ楽しそうだな。
「気合いとは裏腹に初級での一定の走りに期待する人は少なく、オッズは脅威の8.5倍。大穴といったところでしょうか」
「大穴と聞いて、賭けないわけにはいきませんのぉ」
おっ、ハンネスは、一発狙いに賭けるとは、博打好きか。
「4コーナー、『トロ臭くても頑張ってます』が乗るのは、一般的な鹿毛の『シカ』ちゃんだ。しかし、侮ることなかれ、初級コースでの成績はトップ10入り、それもあって、オッズは何とこの組、2番手の1.8倍となっている」
「はわわ。私なんかがすみません。すみません」
「ヒヒーン?」
「頼むぜ本当によ~」
ゴルドの奴は、安定を取り1番人気ではなく2番人気に賭けた形か。
「おっと。この頼りない鳴き方。不安が残りますね。5コーナーは、『今日でうち仕事辞めさせてもらいます』が乗るのは、黒鹿毛の『クロマル』だ。この馬、先程の外周において、逆走するという天然を発揮している。しかし、大穴は回避のオッズは、6.2倍。どう考えてもこっちの方がダメだろうという御言葉も聞こえてくるか」
「うち、今日で仕事辞めんねん。頼むでクロマル」
「ヒヒーン」
「この頼むでという言葉は、また観客を大笑いさせてくれってことでしょうか。第一レースはこの5頭による出走となります」
「いえ、あんな状況で逆走ができるほど落ち着いているのかも知れませんね。馬の状態も悪くない。私は、クロマルに賭けましょう」
ルイスの奴は、クロマルに賭けたか。
あの馬は、気性が荒いからな。
乗りこなしているだけでもあの女性は凄いと言えよう。
さて、緊張の第一レース、誰も怪我をせぬように見守らせてもらうとしよう。
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