79 / 166
2章 オダ郡を一つにまとめる
79話 ショバタ城の戦い
しおりを挟む
モンテロ・ハルトは、突如後方のフジヤマサンに現れた城を見て、奪い取ったショバタ城にて、籠城することを選んだ。
しかし、食べ物も本日分しか無く、残りは持ってきたもので、1週間持つかどうかであった。
「こんなことになるとは。短期決戦を想定していたため。この数の兵を養うための兵糧が僅か1週間分しかないとは」
「やはり、籠城は辞めて、あの山城を落とすであります」
「いや、領民もいないことを考えると計画的移動だ。ここは癪だが。やはり、明日を待って、ガロリング卿に援軍を求めるしか無い」
「了解であります」
「全軍夜襲に警戒せよ!」
モンテロ・ハルトが率いた兵は、正規兵1万である。
対するサブロー・ハインリッヒの兵は、各々が祭りの護衛として連れてきていた兵が合わせて2千と新兵1500の合わせて、3500である。
普通に戦えば、1人で2~3人を打ち倒さないといけない。
こう聞くと現実的な数字に見えるかもしれないが戦とは数が多い方が有利なのは、明らかである。
だからサブロー・ハインリッヒは、策を練り、ルイス・ヴェルトハイムの大胆不敵とも思えるショバタ城囮作戦を遂行し、見事モンテロ・ハルトの1万を初戦で葬る好機に恵まれたのである。
「良し。行動を開始する。頼んだぞウマスキ。お前の働きにかかっている」
「はい。必ずやこの御役目を真っ当し、迅速に戻って参ります」
ウマスキは、レースを戦った5人のうち2人を選び、門に火を付ける役をサブロー・ハインリッヒより賜る。
「マリー様には、本当に驚かされます。馬の駆ける音を無音にしてしまう魔法とやらがあるなんて」
「ウマスキ隊長が驚いてるのって、そこなの!?まぁ、ワタクシは、栄えある白馬の王女様の一歩を踏み出せるのですから良いのですけど」
「名前もホワイト・プリンセスにする程とはな」
「そう言うあなたの名前もトルー・ナイトでしたっけ」
「トゥルーだ!真の騎士を目指す私に相応しかろう」
「まぁ、ウマスキ隊長よりはマシですわね。トゥルー副隊長殿。それにしても、ウマスキ・ダイスキってなんですの!ナルシストですの?」
「どんな名前でも良いってサブロー様が言ってたし、ウマが大好きなんだもん」
ウマスキ・ダイスキは、セシトーバに乗っていたサブロー様に物怖じせず何度も提案をした女性である。
トゥルー・ナイトは、ソウコウヒデーンに乗るサブロー・ハインリッヒを守る真の騎士となることを願う女性だ。
ホワイト・プリンセスは、パイローンに乗る白馬の王子様ならぬ白馬の王女様を目指す夢見がちな女性である。
この3人で、南門以外の門の側に認識阻害で隠していた燃えやすいものに火を付けて回る。
その煙を見て、サブロー・ハインリッヒは、左右に兵を散らして、炎に混乱して中から飛び出してくる敵を待つ。
その頃、城内では。
「モンテロ様、北門・西門・東門で突如として火の手が上がったであります」
「夜襲に警戒しろと言ったであろう!見張りの兵は何をして」
見張り台の兵を的確に狙い撃つ男は、弓兵隊に自信を付けさせるために、訓練も兼ねていた。
「おい。右に角度がズレてんぞ。修正して、よーく狙って撃て」
「はっはいスナイプ隊長!」
「弓櫓の方は、どうなってる?」
「だっダニエル副隊長、間も無く制圧できるかと」
「遅れを取るな。中の奴らは、混乱してるが外の奴らはそうじゃ無い。我らが外の奴らを減らすことで、味方の被害を減らし、敵の損害を増やせるのだ。制圧次第、弓櫓を奪取。そこから更に援護に移る」
「了解しましたダニエル副隊長!」
「スナイプ様、ここはお任せします。俺は弓櫓の方から南門の部隊の支援に」
「ダニエル、そちらは任せたぞ」
「はっ」
見えない位置から狙い撃たれる南門の城壁の弓兵たちは、パニックに陥っていた。
「敵のスナイパーは化け物か。何処だ何処にいる。燃えていない門はここだけだ。何としてもモンテロ様が逃げるまでの時間稼ぎをするのだ。カハッ」
「たっ隊長ーーーーーー!?!?隊長が射抜かれた。もうおしまいだーーーー」
左右の弓櫓からも城壁に矢が降り注ぐ。
「外の弓櫓が制圧されたのか。ど、どうしたら」
「副隊長、早く指示を。今のここの責任者は。カハッ」
「ひぃぃぃぃぃ。全軍この場から逃げるのだ。逃げるのだ」
城壁の兵が動いたのを見たスナイプ・ハンターは、ポンチョ・ヨコヅナに聞こえるように弓鳴りの矢で、合図を送る。
「ポンチョ隊長、合図です」
「セル、了解でごわす。皆ば、ここは間も無く死地となるでごわす。足がすくむこともあるでごわす。おいどんの背を見て、仲間を信じて戦い抜くでごわす」
「ヨコヅナ隊、戦闘体制に移行!辛い時は師匠の背を見て、付いてきてください。行くぞ」
最初に飛び出してきたのは、城壁にいた弓兵たちである。
しかし、腰の剣以外、メイン武器も持たず裸足で逃げ出したような奴らである。
腰の剣を抜く前に、次々と槍で貫かれる。
「俺だって、俺だって、モンテロ様の正規兵何だぞ。オラァ!剣が剣が抜けねぇ。タンマタンマタンマだって、言ってんだろうガハッ」
「ハァハァハァ。やってやったぞコラァ!何が正規兵だ!俺たちはサブロー様の親衛隊だオラァ!」
戦場において、最初の1人を殺せるかという問題はよく聞く。
それは何故か。
誰だろうと好き好んで、人を殺したい人間なんていないからである。
だが、戦場において躊躇すれば、それは己に突き刺す剣となって返ってくる。
だから最初の1人を殺せるかが大事なのである。
全員がこの課題を達成した。
その上で、誰も死体を漁ったりという浅ましい行為は行わなかった。
それをすれば、サブロー・ハインリッヒに対する世間の見方に影響すると全員が理解していたのである。
しかし、食べ物も本日分しか無く、残りは持ってきたもので、1週間持つかどうかであった。
「こんなことになるとは。短期決戦を想定していたため。この数の兵を養うための兵糧が僅か1週間分しかないとは」
「やはり、籠城は辞めて、あの山城を落とすであります」
「いや、領民もいないことを考えると計画的移動だ。ここは癪だが。やはり、明日を待って、ガロリング卿に援軍を求めるしか無い」
「了解であります」
「全軍夜襲に警戒せよ!」
モンテロ・ハルトが率いた兵は、正規兵1万である。
対するサブロー・ハインリッヒの兵は、各々が祭りの護衛として連れてきていた兵が合わせて2千と新兵1500の合わせて、3500である。
普通に戦えば、1人で2~3人を打ち倒さないといけない。
こう聞くと現実的な数字に見えるかもしれないが戦とは数が多い方が有利なのは、明らかである。
だからサブロー・ハインリッヒは、策を練り、ルイス・ヴェルトハイムの大胆不敵とも思えるショバタ城囮作戦を遂行し、見事モンテロ・ハルトの1万を初戦で葬る好機に恵まれたのである。
「良し。行動を開始する。頼んだぞウマスキ。お前の働きにかかっている」
「はい。必ずやこの御役目を真っ当し、迅速に戻って参ります」
ウマスキは、レースを戦った5人のうち2人を選び、門に火を付ける役をサブロー・ハインリッヒより賜る。
「マリー様には、本当に驚かされます。馬の駆ける音を無音にしてしまう魔法とやらがあるなんて」
「ウマスキ隊長が驚いてるのって、そこなの!?まぁ、ワタクシは、栄えある白馬の王女様の一歩を踏み出せるのですから良いのですけど」
「名前もホワイト・プリンセスにする程とはな」
「そう言うあなたの名前もトルー・ナイトでしたっけ」
「トゥルーだ!真の騎士を目指す私に相応しかろう」
「まぁ、ウマスキ隊長よりはマシですわね。トゥルー副隊長殿。それにしても、ウマスキ・ダイスキってなんですの!ナルシストですの?」
「どんな名前でも良いってサブロー様が言ってたし、ウマが大好きなんだもん」
ウマスキ・ダイスキは、セシトーバに乗っていたサブロー様に物怖じせず何度も提案をした女性である。
トゥルー・ナイトは、ソウコウヒデーンに乗るサブロー・ハインリッヒを守る真の騎士となることを願う女性だ。
ホワイト・プリンセスは、パイローンに乗る白馬の王子様ならぬ白馬の王女様を目指す夢見がちな女性である。
この3人で、南門以外の門の側に認識阻害で隠していた燃えやすいものに火を付けて回る。
その煙を見て、サブロー・ハインリッヒは、左右に兵を散らして、炎に混乱して中から飛び出してくる敵を待つ。
その頃、城内では。
「モンテロ様、北門・西門・東門で突如として火の手が上がったであります」
「夜襲に警戒しろと言ったであろう!見張りの兵は何をして」
見張り台の兵を的確に狙い撃つ男は、弓兵隊に自信を付けさせるために、訓練も兼ねていた。
「おい。右に角度がズレてんぞ。修正して、よーく狙って撃て」
「はっはいスナイプ隊長!」
「弓櫓の方は、どうなってる?」
「だっダニエル副隊長、間も無く制圧できるかと」
「遅れを取るな。中の奴らは、混乱してるが外の奴らはそうじゃ無い。我らが外の奴らを減らすことで、味方の被害を減らし、敵の損害を増やせるのだ。制圧次第、弓櫓を奪取。そこから更に援護に移る」
「了解しましたダニエル副隊長!」
「スナイプ様、ここはお任せします。俺は弓櫓の方から南門の部隊の支援に」
「ダニエル、そちらは任せたぞ」
「はっ」
見えない位置から狙い撃たれる南門の城壁の弓兵たちは、パニックに陥っていた。
「敵のスナイパーは化け物か。何処だ何処にいる。燃えていない門はここだけだ。何としてもモンテロ様が逃げるまでの時間稼ぎをするのだ。カハッ」
「たっ隊長ーーーーーー!?!?隊長が射抜かれた。もうおしまいだーーーー」
左右の弓櫓からも城壁に矢が降り注ぐ。
「外の弓櫓が制圧されたのか。ど、どうしたら」
「副隊長、早く指示を。今のここの責任者は。カハッ」
「ひぃぃぃぃぃ。全軍この場から逃げるのだ。逃げるのだ」
城壁の兵が動いたのを見たスナイプ・ハンターは、ポンチョ・ヨコヅナに聞こえるように弓鳴りの矢で、合図を送る。
「ポンチョ隊長、合図です」
「セル、了解でごわす。皆ば、ここは間も無く死地となるでごわす。足がすくむこともあるでごわす。おいどんの背を見て、仲間を信じて戦い抜くでごわす」
「ヨコヅナ隊、戦闘体制に移行!辛い時は師匠の背を見て、付いてきてください。行くぞ」
最初に飛び出してきたのは、城壁にいた弓兵たちである。
しかし、腰の剣以外、メイン武器も持たず裸足で逃げ出したような奴らである。
腰の剣を抜く前に、次々と槍で貫かれる。
「俺だって、俺だって、モンテロ様の正規兵何だぞ。オラァ!剣が剣が抜けねぇ。タンマタンマタンマだって、言ってんだろうガハッ」
「ハァハァハァ。やってやったぞコラァ!何が正規兵だ!俺たちはサブロー様の親衛隊だオラァ!」
戦場において、最初の1人を殺せるかという問題はよく聞く。
それは何故か。
誰だろうと好き好んで、人を殺したい人間なんていないからである。
だが、戦場において躊躇すれば、それは己に突き刺す剣となって返ってくる。
だから最初の1人を殺せるかが大事なのである。
全員がこの課題を達成した。
その上で、誰も死体を漁ったりという浅ましい行為は行わなかった。
それをすれば、サブロー・ハインリッヒに対する世間の見方に影響すると全員が理解していたのである。
1
あなたにおすすめの小説
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる