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2章 オダ郡を一つにまとめる
125話 盗賊団のオカシラ
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アタイの名前かい?
そんなことどうして聞くのさ。
仲間からはオカシラって呼ばれてるさね。
それは名前じゃなくて通り名じゃないかってかい?
ハァ。
名前なんてないのさ。
この世界は理不尽なものでね。
女に産まれたら最後、農民や下女や奴隷に比べればまだマシな扱いかも知れないけど良いところに嫁げないと人生終了なんて理不尽だと思わないかい?
だから、何処の家も必死さ。
アタイの家も例外じゃなくてね。
アタイの家格かい?
そうさね。
貴族の娘に一応なるんじゃないかい?
家を出た時に名前も何もかも捨てちまったけどね。
そんなアタイが居場所欲しさに作ったのがフリーダム盗賊団さ。
フリーダムの意味は何かかい?
自由って意味さ。
冒頭でも言ったじゃないか?
この世界はすごく理不尽な世界なのさ。
アタイは、これは一生変わることがないと思っていたのさオダを治める領主がロルフであること、いやアイランド公国の王がルードヴィッヒ14世である限りはね。
いや、ロルフも別の角度から見たら被害者になるのかね。
マジカル王国とガルディアン王国との出来レースに巻き込まれて、よく出来た先代領主のラルフ様を亡くしちまったのだから。
そして、今また歴史は繰り返すさね。
今度は、そのロルフがマジカル王国とガルディアン王国との出来レースに巻き込まれて、亡くなった。
跡を継ぐのは年端もいかないガキさ。
良いように貴族連中に使われるだけさね。
なんて、当時は考えていたものさ。
でも蓋を開けてみれば、タルカとナバルを相手取り一歩も引かずオダの拡大の許可をルードヴィッヒ14世に取り付けるなんて、本当に8歳のガキなのかいと驚いたもんさね。
それどころか商会の独占を禁止し、市場における自由売買を勧める施策を打ち出したのには驚いたさ。
アレのお陰で民の暮らしは豊かになった。
今まで底辺だと見下していた農民たちの作る作物によって、生かされていること、それを売買してくれる商人が居てくれる事、それどころかあの年端もいかない領主様は、女が尊い存在であると宣言したことにも驚いたさね。
それは階級社会を重要視しているアイランド公国に対して、弓を引く宣言に他ならないからね。
なのに堂々とした若い領主様の姿に民衆たちは熱狂したのさ。
かくいうアタイもさ。
この人なら階級社会というくだらない社会を壊してくれるかも知れないってね。
だから、アタイは前にも増して、盗みに力を入れることにしたさね。
アタイが若い領主様にできることなんて、貴族連中の金の流れを断ち切ってやることぐらいさね。
でも、アタイは甘かったのさ。
金さえ積まれれば何でもやるなんて噂に釣られて、来た依頼がまさかの若い領主様の暗殺さ。
それに奴らは何処でアタイのことを調べたのか。
アタイの正体がミランダ・グランだという事がバレていたのさ。
マーズ・グランというクソ親父が公爵家に取り入るためだけに女を囲って産み落とさせたのがアタイさ。
その公爵家は何処かかい?
ハルト家さ。
商人で成り上がりたいクソ親父は同じく商人でな成り上がったモンテロ・ハルト取り入りたかったのさ。
アタイは、農民たちが汗水垂らして作った作物を二束三文で買い叩き、3倍の値段で売るクソ親父に対して辟易していたのさ。
だから家を出て、名前も捨てたってのにさ。
この手紙にはしっかりと書かれていたのさ。
『グラン商会のマーズ・グランだ。
突然の手紙に驚いていることだろう。
なーに、金さえ積めば何でもやるというお前たちにとって悪い話じゃない。
暗殺してもらいたい者がいる。
その者の名は、サブロー・ハインリッヒ。
我がグラン商会から金をむしり取り屈辱を与えたクソ野郎だ。
フリーダム盗賊団の頭領、我が娘ミランダ・マーズへ。
追伸、まさか貴族から金を盗むフリーダム盗賊団の頭領が娘だったことに俺は心底腹が立っている。
依頼を断るのは勝手だが、お前の母と妹はどうなるであろうな?
お前も知っての通り、俺は女など利用できる娘を産むだけの道具だ。
ガロリング家もハルト家も取り潰された今、お前の妹の嫁ぎ先など一つしかないカイロ家だ。
だがルルーニのことは好かん。
そこでだカイロ家には、もう1人男児が居る。
お前と恋仲であったロマーニ・カイロ。
兄弟仲も良く。
ルルーニのアキレス腱だったな。
お前が居なくなった後、何処に来て、何処に居ると思う?
愛しい妹と愛する男は、どうなるであろうな?
この意味がわかったなら逆らわないことだ』
アタイは、この手紙を誰にも見せず握りつぶすしかなかったのさ。
アタイに選択肢など無かったからね。
母と妹を連れて逃げ出さなかったことをずっと後悔してたのさ。
そこに来て、愛するロマーニまでと来たものさね。
アタイは何を言われようとも愛する人たちのためにこの国を変えてくれるであろう希望をこの手で殺めなくちゃいけないのさ。
だから、アタイは盛大に演技したのさ。
昔からちょっとした違和感に敏感でね。
誰かに付け回されていたことには気付いたからね。
それにしてもまさか、相手が仮面とマスクと黒装束で、完全に姿を隠した異様な奴だとは思わなかったけどね。
さて、このままサブロー・ハインリッヒと面会するその隙を突いて、命を刈る。
アタイの愛する人たちを守るために、いやアタイの昔の贖罪のために。
そんなことどうして聞くのさ。
仲間からはオカシラって呼ばれてるさね。
それは名前じゃなくて通り名じゃないかってかい?
ハァ。
名前なんてないのさ。
この世界は理不尽なものでね。
女に産まれたら最後、農民や下女や奴隷に比べればまだマシな扱いかも知れないけど良いところに嫁げないと人生終了なんて理不尽だと思わないかい?
だから、何処の家も必死さ。
アタイの家も例外じゃなくてね。
アタイの家格かい?
そうさね。
貴族の娘に一応なるんじゃないかい?
家を出た時に名前も何もかも捨てちまったけどね。
そんなアタイが居場所欲しさに作ったのがフリーダム盗賊団さ。
フリーダムの意味は何かかい?
自由って意味さ。
冒頭でも言ったじゃないか?
この世界はすごく理不尽な世界なのさ。
アタイは、これは一生変わることがないと思っていたのさオダを治める領主がロルフであること、いやアイランド公国の王がルードヴィッヒ14世である限りはね。
いや、ロルフも別の角度から見たら被害者になるのかね。
マジカル王国とガルディアン王国との出来レースに巻き込まれて、よく出来た先代領主のラルフ様を亡くしちまったのだから。
そして、今また歴史は繰り返すさね。
今度は、そのロルフがマジカル王国とガルディアン王国との出来レースに巻き込まれて、亡くなった。
跡を継ぐのは年端もいかないガキさ。
良いように貴族連中に使われるだけさね。
なんて、当時は考えていたものさ。
でも蓋を開けてみれば、タルカとナバルを相手取り一歩も引かずオダの拡大の許可をルードヴィッヒ14世に取り付けるなんて、本当に8歳のガキなのかいと驚いたもんさね。
それどころか商会の独占を禁止し、市場における自由売買を勧める施策を打ち出したのには驚いたさ。
アレのお陰で民の暮らしは豊かになった。
今まで底辺だと見下していた農民たちの作る作物によって、生かされていること、それを売買してくれる商人が居てくれる事、それどころかあの年端もいかない領主様は、女が尊い存在であると宣言したことにも驚いたさね。
それは階級社会を重要視しているアイランド公国に対して、弓を引く宣言に他ならないからね。
なのに堂々とした若い領主様の姿に民衆たちは熱狂したのさ。
かくいうアタイもさ。
この人なら階級社会というくだらない社会を壊してくれるかも知れないってね。
だから、アタイは前にも増して、盗みに力を入れることにしたさね。
アタイが若い領主様にできることなんて、貴族連中の金の流れを断ち切ってやることぐらいさね。
でも、アタイは甘かったのさ。
金さえ積まれれば何でもやるなんて噂に釣られて、来た依頼がまさかの若い領主様の暗殺さ。
それに奴らは何処でアタイのことを調べたのか。
アタイの正体がミランダ・グランだという事がバレていたのさ。
マーズ・グランというクソ親父が公爵家に取り入るためだけに女を囲って産み落とさせたのがアタイさ。
その公爵家は何処かかい?
ハルト家さ。
商人で成り上がりたいクソ親父は同じく商人でな成り上がったモンテロ・ハルト取り入りたかったのさ。
アタイは、農民たちが汗水垂らして作った作物を二束三文で買い叩き、3倍の値段で売るクソ親父に対して辟易していたのさ。
だから家を出て、名前も捨てたってのにさ。
この手紙にはしっかりと書かれていたのさ。
『グラン商会のマーズ・グランだ。
突然の手紙に驚いていることだろう。
なーに、金さえ積めば何でもやるというお前たちにとって悪い話じゃない。
暗殺してもらいたい者がいる。
その者の名は、サブロー・ハインリッヒ。
我がグラン商会から金をむしり取り屈辱を与えたクソ野郎だ。
フリーダム盗賊団の頭領、我が娘ミランダ・マーズへ。
追伸、まさか貴族から金を盗むフリーダム盗賊団の頭領が娘だったことに俺は心底腹が立っている。
依頼を断るのは勝手だが、お前の母と妹はどうなるであろうな?
お前も知っての通り、俺は女など利用できる娘を産むだけの道具だ。
ガロリング家もハルト家も取り潰された今、お前の妹の嫁ぎ先など一つしかないカイロ家だ。
だがルルーニのことは好かん。
そこでだカイロ家には、もう1人男児が居る。
お前と恋仲であったロマーニ・カイロ。
兄弟仲も良く。
ルルーニのアキレス腱だったな。
お前が居なくなった後、何処に来て、何処に居ると思う?
愛しい妹と愛する男は、どうなるであろうな?
この意味がわかったなら逆らわないことだ』
アタイは、この手紙を誰にも見せず握りつぶすしかなかったのさ。
アタイに選択肢など無かったからね。
母と妹を連れて逃げ出さなかったことをずっと後悔してたのさ。
そこに来て、愛するロマーニまでと来たものさね。
アタイは何を言われようとも愛する人たちのためにこの国を変えてくれるであろう希望をこの手で殺めなくちゃいけないのさ。
だから、アタイは盛大に演技したのさ。
昔からちょっとした違和感に敏感でね。
誰かに付け回されていたことには気付いたからね。
それにしてもまさか、相手が仮面とマスクと黒装束で、完全に姿を隠した異様な奴だとは思わなかったけどね。
さて、このままサブロー・ハインリッヒと面会するその隙を突いて、命を刈る。
アタイの愛する人たちを守るために、いやアタイの昔の贖罪のために。
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