『アンダーワールド・続編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

文字の大きさ
416 / 664
続編2 狙われる白狐

イベントは大盛況

しおりを挟む
会場に入ると開始直後だと言うのに、

既にかなりの入場者数になっていた。

参加ブースも増えたようで、

客も楽しそうに移動していた。

「うちはね~真ん中のブース」

安達は指でさすと言った。

「あら、お客さんが並んでるじゃない」

「ミデンさんが参加されたのは正解ですね」

向井がトリアを見て笑った。

客が冥界美形トリオにぼぅ~っとしながら、

何やら楽しそうに話していた。

その横からシェデムとディッセが、

チビを連れて歩いてきた。

「他の子供達がおもちゃ持って移動してるんで、

うるさいんだよ」

「なくなっちゃう」

チビ達が声を揃えて文句を言う姿に、

「あんな高いおもちゃは無くならないわよ。

今回は特別だからね」

トリアが屈んで言った。

「では、先にチビのおもちゃと、

安達君達の欲しいものを見てきます」

向井がディッセに話した。

「そうそう。チビのこの洋服。

評判いいのよ。

今日も親御さんたちにどこのブランドか聞かれたわ」

「ほら、これはイケる予感がしてきただろ? 」

シェデムの横でディッセがにやりと笑った。

確かにチビの姿にちらちら視線をおくる親達がいた。

「キッズブランドが成功すれば、

冥界にもまとまったお金が入ってくるし、

少しは楽になるな」

ディッセはそう言うと、

ブースに客が増えてきたのでシェデムと戻っていった。

入れ替わりで早紀と弥生がやってきた。

「冥王から欲しいもの言われたんだけど、

向井君は聞いた? 」

早紀が言うと、

「はい。皆さんの分も購入できる金額を頂いてるので、

忘れるわけにはいきません」

向井は笑った。

「おもちゃ~」

チビ達が向井の足にしがみ付き声をあげた。

「はいはい。約束だからね。見に行きましょう」

向井はそう言うと皆で歩き出した。

「今日はアクセサリーは少ないですね」

弥生が周りを見ながら言った。

「今回は生活雑貨が多いみたいです」

「オヤジは何が欲しいの? 」

「ん? 冥王はアロマキャンドルが欲しいそうですよ」

向井が牧野を見た。

「アロマキャンドルなんて何で欲しいの? 」

トリアも顔を顰めて聞いた。

「いや、これを見たら冥王が欲しがる理由が分かりますよ」

向井はそう言うとタブレットから画像を見せた。

皆がのぞくと、

「えっ? 可愛い~」

安達と女性陣が同時に言って笑顔になった。

ガラスの中に猫が入ったケーキの形のキャンドルだ。

付属にアロマサシェのフラワーウサギやペンギンが付いている。

「キャンドルとしてというより、

部屋に飾りたいんだそうです」

向井の説明に安達達が夢中で見ていた。

「あと狐のお香立てをサロンと工房、図書室に置きたいそうで」

向井はその様子に笑うと、

「ちょっといいですか? 」

と画像を変えた。

そこには笑顔の狐がお香立てを支えている陶器があった。

「へえ~可愛いね」

キャトルも笑顔になった。

「どうせお香を焚くなら和むものがいいって、

サロン霊にも聞いてこれにしたそうです」

「あ~確かにうちが使ってるのは昔からの物だから、

年季が入ってるよね。

物はいいけどサロン霊も可愛い方がいいか」

アートンも笑顔で頷いた。

「なのでこれらも買って帰ります。

あとは皆さんが気に入ったものがあれば買いますよ」

向井がそう言ったところでチビのお目当てのブースについた。

子供連れが楽しそうに作品を見ている姿に、

「わらわも~」

「ボクも~」

チビ達が大人達の手を引いた。

「分かったから」

早紀はそう言うと、

「おままごとは右側のブースだから、

私と弥生ちゃん、アートンさんにも来てもらおうかな」

とチビの手を握った。

「俺は三鬼が欲しいおもちゃが気になるからこっち~」

牧野はそう言って三鬼と手を繋いだ。

「では、君達のブースはこっちなので、

見に行きましょう」

向井はそう言うとハクとクロウを見た。

「楽器の音がするね」

キャトルもチビに話しかけていると、

展示場所で子供達が遊んでいた。

ハクとクロウの顔が輝く。

向井達は笑うとブースに近づいた。

「ピアノ~」

二人がキラキラな瞳で見つめながら近づいた。

「かわいい」

猫デザインの木製ピアノに夢中な様子に、

「これは触れてもいいものですか? 」

向井が作家に聞いた。

「どうぞ。デモ用の物なので、

弾いてもいいですよ」

女性が二人に目線を合わせると言った。

その横にはキッズ用のバイオリンもある。

安達がそれを見て、

「懐かしい………これも触ってもいいですか? 」

と女性に聞いた。

「どうぞ」

「安達君はバイオリンが弾けるの? 」

トリアが顔を見ると、

「うん。お父さんから習ってた。

二歳からずっと。

学生の交響楽団にもいたんだって」

「それは本格的ですね」

向井も驚くと、

「バイオリンを弾いてるときは、

心が………ん………ざわざわ? しないの」

安達が考えながら話した。

「三歳用からありますけど、

ここにあるのは10歳から12歳用です。

大人には初心者用がありますよ」

女性はそう言うとバイオリンを安達に渡した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

置き去りにされた聖女様

青の雀
恋愛
置き去り作品第5弾 孤児のミカエルは、教会に下男として雇われているうちに、子供のいない公爵夫妻に引き取られてしまう 公爵がミカエルの美しい姿に心を奪われ、ミカエルなら良き婿殿を迎えることができるかもしれないという一縷の望みを託したからだ ある日、お屋敷見物をしているとき、公爵夫人と庭師が乳くりあっているところに偶然、通りがかってしまう ミカエルは、二人に気づかなかったが、二人は違う!見られたと勘違いしてしまい、ミカエルを連れ去り、どこかの廃屋に置き去りにする 最近、体調が悪くて、インフルの予防注射もまだ予約だけで…… それで昔、書いた作品を手直しして、短編を書いています。

王命って何ですか? 虐げられ才女は理不尽な我慢をやめることにした

まるまる⭐️
恋愛
【第18回恋愛小説大賞において優秀賞を頂戴致しました。応援頂いた読者の皆様に心よりの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました】 その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。 貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。 現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。 人々の関心を集めないはずがない。 裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。 「私には婚約者がいました…。 彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。 そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。 ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」 裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。 だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。   彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。 次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。 裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。 「王命って何ですか?」と。 ✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。

魅了だったら良かったのに

豆狸
ファンタジー
「だったらなにか変わるんですか?」

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

さようなら、たったふたつの

あんど もあ
ファンタジー
王子に愛されてる伯爵令嬢のアリアと、その姉のミレイユ。姉妹には秘密があった……。

処理中です...