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第四部

竜宮城

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「お弁当? 」

ゲームをやっていた牧野が、

コントローラを放り投げると飛んできた。

「もう、壊れちゃうでしょう」

弥生はそれを拾い上げると、

テーブルの上に置いた。

向井達が箱をミニキッチンのカウンターに置くと、

いつの間にか死神達も集まってきた。

「源じいと真紀子さんは後で頂くそうです。

牧野君に食べられないように報告です」

佐久間が入ってきて言った。

「そんなことしねぇよ!! 」

牧野が膨れる。

「ははは。信用ないね~

あれ、弥生ちゃんもここにいたんだ」

トリアが笑いながらお弁当を渡すと、

「牧野君に付き合ってゲームをしてたの」

「ハハハ。ゾンビゲームで勝てなかったからね」

向井が笑うと、

「牧野君は私には勝てないと思うの」

「なんで? 」

「私ゲーオタだから。

中学まで負けなしだったもん。

オンラインで凄い数対戦してきたけど、

負けたことなかったから」

「へえ~意外」

トリアも笑った。

「牧野君はね。何でも先走るから、

私の腕が鈍ってても楽勝なの。ふふふ」

「でも、俺のが強いよ」

安達が横から自慢げに言う。

「安達君は強いよね。

私も何回かに一回しか勝てないもん」

「凄いじゃん」

オクトが褒めると安達は嬉しそうに笑顔になった。

「もういいよ。トップ3に入ってるんだから」

牧野は弁当を手にすると、ソファーに戻った。

「でも、向井さんに勝てないから、

トップ3にも入ってないか」

新田が笑いながらお茶の準備を始めた。

「向井君てそんなに強いの? 」

あとからやってきた早紀がお弁当を受け取ると、

「向井はノーカウントなの。

そいつはプロ並みなんだから」

「へえ~」

「能ある鷹は爪を隠すっていいますからね。

向井君は他にも能力を隠し持ってるかもしれませんよ」

冥王が笑いながらお弁当を手に、

皆のいる場所へと移動した。

安達がキラキラした目で見上げているので、

「何もないですよ」

と笑った。

「新田よりは強いからいいんだよ」

「容姿でも負けて、ゲームでも勝てないんじゃ、

牧野が哀れすぎるもんね」

早紀はお弁当箱を開けながら、

驚いたように中身を見た。

「綺麗~竜宮城みたい」

「うわ~物語のワンシーンみたいな感じに、

詰まってるね」

アートンも中身を見て笑顔になった。

「このお弁当箱は、再利用も可能なんですね」

冥王の言葉に、

「少しお値段は高いんですけど、

そこが人気の秘訣みたいですよ。

持ち帰らない人は、

赤姫や閻魔を購入されるそうですけど、

お弁当箱が欲しい方は水神を注文されるみたいです」

向井が説明した。

「お弁当の入れ物にも力を入れた特注なので、

売れてくれないとと悩んでいましたけど、

儲かっているみたいでよかったです」

向井と新田がお茶を淹れて運んでくると、

テーブルに置いた。

向井が座るのを見て、

安達は近くに移動した。

「安達君はそっちに座るんですか? 」

「冥王は振られたね」

あとから入ってきたディッセは笑いながら言うと、

「俺が横に座ってあげよう」

と隣に腰を下ろした。

面白くなさそうな冥王の顔に、

その場にいたものが笑った。
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