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第五部

狙われる土地

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「向井君も寝てみましたか? 

あそこで本を読みながら揺られてると、

凄く気持ちがよくて眠くなっちゃうんです」

「この前は虎獅狼とチビ達で、

ぎゅうぎゅうになって寝てたので、

安達君が使えなくて、

寂しそうに休憩室に帰ってきました」

向井が思い出してクスッと笑った。

「それは可哀想でしたね。

やはり少し数を増やしますか」

「本も増えたし、空間も広げて、

妖鬼さんの時間がある時に、

お願いしてみますね」

「そうしてください」

冥王がそう言ったところで、

久しぶりにアラートが鳴った。

「この所、静まっていたんですけどね」

向井がそういうと、

図書室から牧野達が飛び出してきた。

「あれ? みんな図書室にいたんですか? 」

「今、休憩室使えないじゃん」

牧野が言った。

「ああ、リフォーム中ですからね」

佐久間とエハとヴァン、エナトも出てくると、

向井も歩きながら話した。

トレーニングルームからオクトも出てきて、

「さっさと退治して、美味しいもん食べよう~」

と元気に駆け出して行った。

冥王はそんな彼らの姿を、

微笑んで見送った。


――――――――


悪霊が発生した地域は、

先日のコミックフェスが行われた、

商業施設の真裏にある公園だった。

見ると公園自体に悪霊が溜まっている。

「この辺りに黒い感情を持つものが、

うろついていたのかもな。

悪霊はそういうのに引き寄せられるから」

牧野はそういうと、

冥界札を投げつけていった。

その端から、小さな悪霊がやってきて、

大きな塊になっていく。

結界をはって外の塊をはじき、

一つ一つ大きくなった悪霊を退治していった。

「ほんと、今回はキリがないな~

どっから沸いてんだ。

そこをふさがないと………」

牧野が疲れてきたところで、

エハとヴァンがやってきた。

黒猫と白虎が次々と悪霊を引き裂き、

負が噴き出る場所を見つけると、

踏みつけた。

白虎は影を押し付けるように体重をかけ、

それを見たエハが朱を乗せる。

朱は魔除け。

噴き出す悪霊はピタッと治まり消え去った。

向井はその場所に近づくと、

霊玉を手に言霊を吸い込ませ、

朱の上に重ねた。

黒ずんだ土がサ~ッと浄化されていく。

「一時的なものだと思うけど、

当分は負が噴き出すことはないかな」

向井が言うと、

「そんな技も持ってるのかよ~

だったら除去課に来いよ」

牧野がぷくっと膨れっ面になった。

「またそんな顔して。

だからこうしてヘルプに入ってるでしょ。

可愛い顔が台無しですよ」

向井は笑うと、以前トリアがやったように、

牧野の両頬をつまんだ。

「痛ぇよ」

そのままの状態で文句を言う。

その場にいたものが笑っていると、

アートンがやってきて向井を呼んだ。
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