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第五部
冥王 高天原へ
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発表会も無事終了。
今回の優勝は虎獅狼達の戦隊ヒーローショーで、
準優勝に佐久間と真紀子のジャグリングが入り、
牧野は五位に終わった。
「ウケてたのに、観客賞も取れないなんてさ」
不機嫌で準優勝のすき焼きに食らいついていた。
「まあ、子供には敵わないよね~」
早紀はそういいながら、
喜んでチキンを食べているチビ達を見た。
「それにさ~
私達のお姫様の演技もなかなかだったでしょう? 」
早紀はビールを飲むとケラケラ笑った。
「源じい達のリベルタンゴもよかったですよね。
セイ君のカスタネットには笑っちゃいましたけど」
弥生が言うと、オクトが笑いながら説明した。
「俺はマリンバ奏者の憑依の経験あるからさ。
源じいのピアノと合わせてやることにしたら、
ティンがタップダンスするって言うから、
三人でエントリーするはずだったんだよ。
そしたらセイがやりたいって言うんで、
急遽カスタネット? あいつ楽器何にもできないから」
「でも第三位ですから、大したもんですよ」
向井も楽しそうに言うと、すき焼きを食べた。
「おや、安達君は寝ちゃったんですね」
ソファーでぐっすり眠る姿に、
冥王は笑顔になった。
「今日は優香ちゃんと、
お菓子屋さんをやってましたからね。
疲れたんでしょう」
向井はそういって、
寝ている安達のほっぺたをプニ~ッと押した。
「起きないですね~」
向井のいたずらにその場にいたものも、
笑いながら見ていた。
――――――――
数日後、冥王はシェデムを連れて、
高天原に出かけて行った。
「すぐに戻ってくるけど、
留守の間はアートンにお願いしてあるので、
何かあったら彼に相談してください。
特別室はこの前の一件から、
大沢達も大人しいので、
大きな問題は起こさないでしょう」
冥王は前日に向井を呼ぶと、
そんな話をした。
底無しの獅子事件から、
大沢からの呼び出しも少なくなり、
向井は少し違和感も感じていた。
そのことを話すと、
「大沢は自分を神格化してましたから、
下界では彼に逆らうものはいなかったのでしょう。
彼をそのようにしてしまったのは、
この国の者達です。
冥界に上がってきた時には、
自分は神に等しいと言っていましたからね」
冥王はばかげているというように首を振った。
「それを聞いて俺達を愚か者と思いませんでしたか? 」
「向井君、人も神も変わりませんよ。
愚かなものはどこにでもいます。
だからこそ、そこから学び、
また成長もできるんです」
冥王はその時、ただ静かに笑っただけだった。
その話をシェデムにすると、
「人も神も愚かだというのは、
ある意味正解ですね。
その愚か者の数が多いか少ないかで、
生活は変化するんです。
今回も天上界の視察を兼ねて、
御機嫌伺に行くんですけど、
たまには顔を出して、
天上界の様子も見ておかないと、
神様と一言で言っても、
色んなのがいますから。
それと少し前に、
宝器扱いで高天原に渡った人物にも、
会いたいんだと思いますよ」
と笑った。
今回の優勝は虎獅狼達の戦隊ヒーローショーで、
準優勝に佐久間と真紀子のジャグリングが入り、
牧野は五位に終わった。
「ウケてたのに、観客賞も取れないなんてさ」
不機嫌で準優勝のすき焼きに食らいついていた。
「まあ、子供には敵わないよね~」
早紀はそういいながら、
喜んでチキンを食べているチビ達を見た。
「それにさ~
私達のお姫様の演技もなかなかだったでしょう? 」
早紀はビールを飲むとケラケラ笑った。
「源じい達のリベルタンゴもよかったですよね。
セイ君のカスタネットには笑っちゃいましたけど」
弥生が言うと、オクトが笑いながら説明した。
「俺はマリンバ奏者の憑依の経験あるからさ。
源じいのピアノと合わせてやることにしたら、
ティンがタップダンスするって言うから、
三人でエントリーするはずだったんだよ。
そしたらセイがやりたいって言うんで、
急遽カスタネット? あいつ楽器何にもできないから」
「でも第三位ですから、大したもんですよ」
向井も楽しそうに言うと、すき焼きを食べた。
「おや、安達君は寝ちゃったんですね」
ソファーでぐっすり眠る姿に、
冥王は笑顔になった。
「今日は優香ちゃんと、
お菓子屋さんをやってましたからね。
疲れたんでしょう」
向井はそういって、
寝ている安達のほっぺたをプニ~ッと押した。
「起きないですね~」
向井のいたずらにその場にいたものも、
笑いながら見ていた。
――――――――
数日後、冥王はシェデムを連れて、
高天原に出かけて行った。
「すぐに戻ってくるけど、
留守の間はアートンにお願いしてあるので、
何かあったら彼に相談してください。
特別室はこの前の一件から、
大沢達も大人しいので、
大きな問題は起こさないでしょう」
冥王は前日に向井を呼ぶと、
そんな話をした。
底無しの獅子事件から、
大沢からの呼び出しも少なくなり、
向井は少し違和感も感じていた。
そのことを話すと、
「大沢は自分を神格化してましたから、
下界では彼に逆らうものはいなかったのでしょう。
彼をそのようにしてしまったのは、
この国の者達です。
冥界に上がってきた時には、
自分は神に等しいと言っていましたからね」
冥王はばかげているというように首を振った。
「それを聞いて俺達を愚か者と思いませんでしたか? 」
「向井君、人も神も変わりませんよ。
愚かなものはどこにでもいます。
だからこそ、そこから学び、
また成長もできるんです」
冥王はその時、ただ静かに笑っただけだった。
その話をシェデムにすると、
「人も神も愚かだというのは、
ある意味正解ですね。
その愚か者の数が多いか少ないかで、
生活は変化するんです。
今回も天上界の視察を兼ねて、
御機嫌伺に行くんですけど、
たまには顔を出して、
天上界の様子も見ておかないと、
神様と一言で言っても、
色んなのがいますから。
それと少し前に、
宝器扱いで高天原に渡った人物にも、
会いたいんだと思いますよ」
と笑った。
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