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第五部
チビのおもちゃおねだりは
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冥界に戻ると休憩室で、
お昼寝から目覚めたチビの声が聞こえてきた。
向井達が入っていくと、
「お帰り~」
シェデムが声をかけた。
「これ、お茶屋さん寄ったので、
冥王が好きなお抹茶大福です」
向井は和菓子の箱をテーブルに置いた。
「これ大好物なんですよ~有難う。
で、どうでしたか? 」
冥王は嬉しそうに箱を開けると聞いた。
「毘沙門天様もあの土地はかなり辛そうで、
ミヒカさんを連れて早々に戻られました。
赤姫さんも自分の土地とはいえ、
きついと言っていたので、
なにか方法があればいいんでしょうけど」
「ん~………開発室にもお願いしているんですけどね」
向井の話に冥王も唇を噛んだ。
キッズルームを見ると、
妖鬼がこんと呉葉の話を聞いている。
「それでな~ここにベッドが欲しい」
「プリンの寝るとこないの」
「天蓋ベッドじゃなきゃ、作ってやるよ」
「ならな、ハートがいっぱいがいい~」
「こんはお星様~」
「それをベッドのここにつけるのか? 」
二人がうんうんと頷く。
向井は近づくと声をかけた。
「どうしたんですか? 」
「こいつらが人形のベッドが欲しいんだと。
ほら、大きなドールハウスを作ってもらったからさ」
そういって、人形に合わせた、
大きな部屋のドールハウスを見せた。
「可愛いお部屋ですね。どうしたんですか? 」
「十朱に作ってもらった」
この所、別の場所で何か作業していると思ったら、
これを作っていたわけか。
向井は仕方がないなぁという表情で笑った。
「ちゃんとお礼を言いましたか? 」
「言ったよ。弥生ちゃんと一緒に、
作ってくださいってお願いにいったもん」
こんと呉葉は胸を張って向井を見た。
恥ずかしがり屋だったこんも、
ずいぶん成長したものだ。
向井は笑うと、
「そうですか」
とこんと呉葉の頭を撫でた。
「お洋服ダンスも妖鬼さんが作ったんですよね。
ハンガーもあっていいね」
「大変よ~こいつらのタンスも作って、
人形もタンスだろう」
妖鬼も笑った。
「でな~この子の帽子と靴が欲しい」
「欲しい」
二人が向井の顔をきらきらした目で見た。
そこへ弥生がやってきて、
「毘沙門天様がお土産を置いていかれたそうですよ」
と袋を持って入ってきた。
「お土産ですか? 」
冥王も驚いたように言った。
「死神課に預けたそうで、お茶だと言ってました」
弥生がそういってキッチンに袋を置くと、
「あっ、またおねだりしてるんでしょう」
とキッズルームにやってきた。
「してないもん」
「欲しいって言っただけじゃ」
弥生は困った顔で笑うと、
「この子たちは佐久間さんや源じいにも、
イベントで欲しいものを話してるのよ」
向井達の所にやってきた。
「イベント? 」
向井が聞き返す。
「そう。図書室で、
河原さんとティン君が話しているのを聞いて、
このお人形さんの作家さんも来るんですって。
それで、着せ替えグッズが欲しいらしいの」
「なるほど」
弥生の話に向井も笑った。
「源じいと佐久間は一つだけなら、
買ってくれると言ったぞ」
「おやおや。みんな甘いですね~
それで俺からは靴と帽子が欲しいと」
向井が見下ろすと、
期待する目で見つめた。
「さて、どうしましょう。
源じいと佐久間さんには何をお願いしたんですか? 」
「あのな~源じいはネックレスで、
佐久間はバッグじゃ」
「お人形のセットでそんなものもあるんですか? 」
向井が驚いて弥生を見た。
「そうなんですよ。私と早紀ちゃんも写真を見て、
思わず可愛いって言っちゃうくらいだから、
子供にはたまらないんでしょうね」
「そうか。じゃあ、
俺が靴と帽子を買ってあげますから、
もう、誰にもおねだりしてはいけません。
約束できますか? 」
「する」
二人はニコニコ笑うと、
向井と指切りした。
そして振り返ると言った。
「冥王もチビにねだられてもダメですよ」
「わ、分かってますよ」
怪しいなぁ~と思いながら、
一生懸命塗り絵をしている三鬼を見た。
お昼寝から目覚めたチビの声が聞こえてきた。
向井達が入っていくと、
「お帰り~」
シェデムが声をかけた。
「これ、お茶屋さん寄ったので、
冥王が好きなお抹茶大福です」
向井は和菓子の箱をテーブルに置いた。
「これ大好物なんですよ~有難う。
で、どうでしたか? 」
冥王は嬉しそうに箱を開けると聞いた。
「毘沙門天様もあの土地はかなり辛そうで、
ミヒカさんを連れて早々に戻られました。
赤姫さんも自分の土地とはいえ、
きついと言っていたので、
なにか方法があればいいんでしょうけど」
「ん~………開発室にもお願いしているんですけどね」
向井の話に冥王も唇を噛んだ。
キッズルームを見ると、
妖鬼がこんと呉葉の話を聞いている。
「それでな~ここにベッドが欲しい」
「プリンの寝るとこないの」
「天蓋ベッドじゃなきゃ、作ってやるよ」
「ならな、ハートがいっぱいがいい~」
「こんはお星様~」
「それをベッドのここにつけるのか? 」
二人がうんうんと頷く。
向井は近づくと声をかけた。
「どうしたんですか? 」
「こいつらが人形のベッドが欲しいんだと。
ほら、大きなドールハウスを作ってもらったからさ」
そういって、人形に合わせた、
大きな部屋のドールハウスを見せた。
「可愛いお部屋ですね。どうしたんですか? 」
「十朱に作ってもらった」
この所、別の場所で何か作業していると思ったら、
これを作っていたわけか。
向井は仕方がないなぁという表情で笑った。
「ちゃんとお礼を言いましたか? 」
「言ったよ。弥生ちゃんと一緒に、
作ってくださいってお願いにいったもん」
こんと呉葉は胸を張って向井を見た。
恥ずかしがり屋だったこんも、
ずいぶん成長したものだ。
向井は笑うと、
「そうですか」
とこんと呉葉の頭を撫でた。
「お洋服ダンスも妖鬼さんが作ったんですよね。
ハンガーもあっていいね」
「大変よ~こいつらのタンスも作って、
人形もタンスだろう」
妖鬼も笑った。
「でな~この子の帽子と靴が欲しい」
「欲しい」
二人が向井の顔をきらきらした目で見た。
そこへ弥生がやってきて、
「毘沙門天様がお土産を置いていかれたそうですよ」
と袋を持って入ってきた。
「お土産ですか? 」
冥王も驚いたように言った。
「死神課に預けたそうで、お茶だと言ってました」
弥生がそういってキッチンに袋を置くと、
「あっ、またおねだりしてるんでしょう」
とキッズルームにやってきた。
「してないもん」
「欲しいって言っただけじゃ」
弥生は困った顔で笑うと、
「この子たちは佐久間さんや源じいにも、
イベントで欲しいものを話してるのよ」
向井達の所にやってきた。
「イベント? 」
向井が聞き返す。
「そう。図書室で、
河原さんとティン君が話しているのを聞いて、
このお人形さんの作家さんも来るんですって。
それで、着せ替えグッズが欲しいらしいの」
「なるほど」
弥生の話に向井も笑った。
「源じいと佐久間は一つだけなら、
買ってくれると言ったぞ」
「おやおや。みんな甘いですね~
それで俺からは靴と帽子が欲しいと」
向井が見下ろすと、
期待する目で見つめた。
「さて、どうしましょう。
源じいと佐久間さんには何をお願いしたんですか? 」
「あのな~源じいはネックレスで、
佐久間はバッグじゃ」
「お人形のセットでそんなものもあるんですか? 」
向井が驚いて弥生を見た。
「そうなんですよ。私と早紀ちゃんも写真を見て、
思わず可愛いって言っちゃうくらいだから、
子供にはたまらないんでしょうね」
「そうか。じゃあ、
俺が靴と帽子を買ってあげますから、
もう、誰にもおねだりしてはいけません。
約束できますか? 」
「する」
二人はニコニコ笑うと、
向井と指切りした。
そして振り返ると言った。
「冥王もチビにねだられてもダメですよ」
「わ、分かってますよ」
怪しいなぁ~と思いながら、
一生懸命塗り絵をしている三鬼を見た。
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