あなたはずっと俺のもの

文野多咲

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ママ?!

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「今日はイルミネーションでも見に行く?」

 社長のウサギリンゴを剥く姿をたっぷりと堪能している私に、社長は言ってきた。

「人が多いから嫌です」
「じゃあ、郊外のイルミネーションにする? 昭和記念公園にでも行ってみようか」

 郊外にある大きな公園だ。そこなら、知り合いにも会わないで済みそうね。
 などとのんきに考えた私。あとで後悔することになるとも知らずに。

「イケアでサーモン食べたいです」

 公園の近くにはイケアがあって、私はサーモンに目がない。

「じゃあ行こう」

 SUVの助手席にもすっかり慣れた私。のんびりとくつろいでいる。

「そうだわ、社長の部屋に置く花瓶、選んで欲しいです。コップに花を挿したら、私のコップが無くなるもの」

 社長の部屋には物が少なくて、マグだって、グラスカップだって、カトラリーだって、一人分しかない。だから、社長がマグを使って、私がコップを使って、社長が大きい方のスプーンを使って、私が小さいほうのスプーンを使うから、ときどき不便だ。

 社長は笑って言ってきた。

「あなたのコップも選ぼう。それに食器も」

 え、そんなことしていいんですか?
 一応、私なりのルールとして、痕跡を残さないというのがある。髪の毛くらいは落ちてしまうだろうけど、社長の部屋に私の荷物は残さないと決めていた。
 だって、そんな関係ではないことくらい承知しておりますから。
 そんな私のルールを社長は知ってか知らずか、いたずらっぽい顔で見てきた。

「スリッパもいるね」
「じゃあ、社長が選んで、社長が買ってください」

 社長が選んで社長が買えば社長のものだ。私のものではない。ギリギリルールは破らない。それにしても、社長は、多分、ちょっと冷たい人。
 一人分ずつしか食器がないということは、部屋にはろくに女性を入らせてない。数いるお相手とはいつも外で済ませてきたはず。あるいは、別れたら、すべて処分する。そんな人。
 片付いているのが好きだと言ってたものね。終わった女性のことは、きっと部屋からも心の中からもきれいに片付けてしまうんだわ。
 社長は私に言ってきた。

「そうだね、あなたのセンスは変わってるから俺が選んだほうが良いね」

 ちょっと、社長、私がセンスが悪いみたいな言い方しないでくださいます?
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