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由紀也との生活は居心地のいいものであるばかりか、この上なく楽しかった。安心して過ごせる上に、話していて楽しい。そして、心躍るものがある。
その日は、出かけた先で、由紀也はショーウィンドウを指して言った。
「優月に似合いそうだ」
由紀也はそう言って優月の腰を抱いて、店に入って行く。それは、真っ赤なドレスだったために、優月は気が引けるも、試着してみると満更ではないように思えた。
(大人っぽすぎないかしら……)
着替えた優月を由紀也は満足げに眺めると、支払いを済ませてしまった。
「由紀兄さん、私にあんまりお金を使わないで。返すのに苦労してしまうわ」
「返す必要はない。着飾った優月を眺めるのは俺の喜びだ。きれいだよ、優月」
真顔でそんなことを言われては優月はどぎまぎしてしまう。
「たくさん洋服をおねだりして破産させちゃおうかしら」
「優月のために破産するのなら本望だ」
「そうなったら、私も一緒に路頭に迷ってあげるわね。草花でも煮たら、おかずになるわ」
「優月はお金持ちのくせに、随分、つつましやかだな」
「お金持ちはパパよ。私はいつもお金に困ってたんだもの」
「え……?」
「誰にも言ったことないけど、私、やりくりには苦労してきたのよ」
市太郎は学費や習い事などの費用は払ってくれたものの、十分な小遣いをくれることはなかった。アルバイトも禁止されていたために、友人の弟妹の家庭教師もどきをして、小遣いを稼いでいた。
麗奈の事情は知らないが、優月とは違って余裕があったから、市太郎か美智子におねだりしていたのだろう。
「優月、それ、本当?」
由紀也はいぶかしむ顔になった。
「優月は自分の資産を知らされてないの?」
優月は目をぱちくりとさせた。
「調べてみる必要があるな」
由紀也はぽつりとこぼした。
その日は、出かけた先で、由紀也はショーウィンドウを指して言った。
「優月に似合いそうだ」
由紀也はそう言って優月の腰を抱いて、店に入って行く。それは、真っ赤なドレスだったために、優月は気が引けるも、試着してみると満更ではないように思えた。
(大人っぽすぎないかしら……)
着替えた優月を由紀也は満足げに眺めると、支払いを済ませてしまった。
「由紀兄さん、私にあんまりお金を使わないで。返すのに苦労してしまうわ」
「返す必要はない。着飾った優月を眺めるのは俺の喜びだ。きれいだよ、優月」
真顔でそんなことを言われては優月はどぎまぎしてしまう。
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「優月のために破産するのなら本望だ」
「そうなったら、私も一緒に路頭に迷ってあげるわね。草花でも煮たら、おかずになるわ」
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「お金持ちはパパよ。私はいつもお金に困ってたんだもの」
「え……?」
「誰にも言ったことないけど、私、やりくりには苦労してきたのよ」
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「優月、それ、本当?」
由紀也はいぶかしむ顔になった。
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「調べてみる必要があるな」
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