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第2章
熱
しおりを挟むしばらく泣いた後、咲恵は再度友愛から詳しく話を聞いた。
「【心】って言ってたけど…心臓のこと?」
「う~ん。心臓って言われたら心臓なんだけどちょっと人間とは違うんだぁ~。礼々~きて~!!」
「なんだ…」
大きな声で呼ばれると。
草木の影から礼々が渋々出てきた。
同時に友愛も立ちあがり礼々の方へと歩く。
「なんだ…」
「ちょっと失礼!」
そう言うと友愛はふぅっと礼々の左胸あたりに息を吹きかけた。
輝きながら暖かな色の息吹が左胸をじっくりと照らし出す。
目を凝らして見ていた咲恵は息を飲んだ。
そこには心臓はなかった。
代わりにあったのはキラキラと輝く宝石のような塊。
「おまっ…!!人の【心】を勝手に見せおって…!!!」
「こ、これが…こころ…」
「そう!これが【心】!!これが私達を生かす原動力になっているんだ~!」
「いいから!!早く!!元に!!戻せ!!!」
友愛は左胸を照らす息吹を手でパタパタとかき消す。そうすると照らされていた【心】も見えなくなった。
礼々はプンスカしながらその場に座った。
「むかーしむかしにふるーい神々が最後の力を使って私達を創りだしたの。そして、創られた私達は古い神々の代わりに四季を起こす者になったって訳!!」
咲恵ら次元を超えた光景と話にただただ圧倒されて簡単な相づちを打つことしか出来なかった。
「一応神々も何かあった時用に闘う力も授けてくださってたみたいだけど…別に争うものもないし…今の今までその力を使わずにいたけど…」
「使うしかあるまい」
友愛の代わりに礼々が話した。
「話を戻すけど、春が君はこの【心】が抜き取られた状態なのかな~【心】がない状態は…うーん抜け殻?に近いのかもしれない…」
なんとも歯切れの悪い回答だと思った。
「(でも、今までこんなことなかったわけだから当たり前だよね…この人達にとっても未知の世界ってことか……)」
「でもねでもね!!1回礼々の【心】が抜けかけた時があったの!!その時にね!春が君が戻してくれた所を見たことがあってね!!」
それを聞いた礼々がピクリと反応する。
「おい…聞いてないぞ…その話」
「……と、とにかく!!だから!!事が起きた場所の周辺には破片は落ちてなかったし、春が君の【心】をまだ冬が君が持っているかも!!それを戻せば…!!」
「おい…!!なぜ当事者の俺が知らないっ…!!!」
「じゃあ可能性は充分にあるってことなんだね…?」
礼々は突然話を戻されて且つ重要な話なので何も出来ずソワソワしまくった。
「うん!」
「…可能性は半々だがな。(一体私の身に何があったのだ)」
そんな礼々を尻目にオッホンと1つ咳払いをした友愛。
「もう一度お願いするね。咲恵に協力してほしい。一緒に春を…春が君を呼び戻してください!!!」
そうして勢い良く頭を下げた。
「うん」
咲恵も今度は力強く答えた。
「やったーー!!!」
「全く…これから大変な闘いになるかもしれないっていうのに…」
友愛は喜び、礼々はため息をついた。
ふと思い出す。
『ありがとうが言えるといいね』
「それと…友愛」
やる気に満ち溢れ、大きく背伸びをしている友愛を呼ぶ。
「ありがとう」
その一言を聞いた友愛は少し経つと満面の笑みで頷いた。
「礼々も…ありがとう」
礼々は自分にも言われたことに少し驚きを見せた。
が直ぐに冷静になる。
「まだ完全に疑いが晴れたわけじゃない。もし貴様が何かおかしな行動をしたり、裏切るようなことをしたらただじゃあおかんからな。あと 名前の後にさんをつ」
「礼々話がながーーーい!!!」
友愛が背後から礼々のお団子を掴む。
「あっ!また!!やめろ!いつもいつも!!!」
必死に引き剥がそうとする礼々。
突然熱風が3人を襲った。
「のあっ!」
「うわぁぁあ!!!」
「…!?」
熱風が止んでも砂埃が舞い、なかなか視界が晴れない。
目に砂が入りこみ、耐えきれず目を擦った。
「うぉい!!春が死んだってのは…本当か…!?」
それはとても気迫溢れる声であった。
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