永久レベル1の科学鍛冶師 〜最悪の運でも知識でゴミスキルを上手に使って無双します〜

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第三章

ミスリルの加工

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「おお!それじゃ、早速ミスリルを加工するぞ!」
 そう言ってグレイさんは俺の服を引っ張る。
 俺は力が無いからただ連れてかれる。
 そして、加工場の裏に着く。
 そこにはあのミスリルが混ざった延べ棒の山があった。

「あ、これ全部使っていいぞ。何が売れるものが出来たら儂にも利益の1割ぐらい渡してくれ」

 1割でいいのか。まあ、俺もあの金貨は使う気がしないし。なにか大病にでも掛かった時に使えるように貯めておくのが吉だろう。
 俺は了承し、すぐさま作業に入る。
 とは言っても作業は単純な物だ。
 ミスリルが含まれたあの延べ棒を王水に突っ込んで、溶けていないミスリルの粒だけすぐに取り出し、また別の延べ棒でそれをする。
 これを身体につかないように気を付けながらやるだけだ。
 また、この王水と同じくらいの毒性を持ったものまでしかこの世界にはないそうで、王水より強い酸…一般的にマジック酸とか超酸と呼ばれている物の値段はかなりのインフレが起こってる。
 ぎりぎり安く?買えたのが王水って所だ。
 買えて良かった。


 そしてミスリルの精製がすべて終わる。

 それまでは神経を張り詰めていたのであまり気にしていなかった事だが、ミスリルはめちゃくちゃ綺麗だ。
 その見た目はサファイアとエメラルドが混ざった宝石ようで、しかし、金や銀、鉄などの金属らしい滑らかな光沢も持ち合わせている。
 現代でも十分売れそうで、実際、金やプラチナより何倍も高く売れそうだ。

「これで間違い無さそうだ。
 じゃあ、……え?」

 なんと、このミスリルの粒を加工しようと熱したら、一瞬で全体が炭になってしまった。
 
「どうする…このままじゃ加工も出来ないし…ここに王水を掛けるわけにもいかないし…」

 どうする…こんなの加工のしようがない…取り敢えず、鉄の棒で叩いてみる。
 変化は無い。
 …鉄の棒に王水を掛けて棒が溶ける前にミスリルに当てる。
 しかしミスリルに変化はない。

 ほんとどうしようか…

「お、調べてるのか!ほら、これも使うんじゃ!」
 部屋に飛び込んできたグレイさんはそう言って銀貨を十枚も俺に渡す。

「いやいや、こんなに受け取れません!」

「じゃ、成功したら金貨にして返してくれい」

 グレイさんはふざけてそう言ったみたいだ。
 100倍とかもう闇金もびっくりな金利だ。
 ま、成功させるつもりだしそれなら、と俺は銀貨を受け取り、その場で王水を追加で2リットル買う。因みに銀貨は10枚中、8枚使った。
 そして、もう一つの選択を調べてみる。

「溶鉱炉を少し借りていいですか?」

「良いんじゃが…うちのは小さいぞ?」
「大きさは小さくて構いません。ただ、ちょっと、いや大きな問題なのが溶鉱炉が溶けてしまう可能性が…」
「なんじゃ。なら問題ない。」
「?」

 廊下を歩き出したグレイさんの後を取り敢えずついて行く。
 そこにはとても新しく、まだ使ったことも無いようなとても綺麗な溶鉱炉があった。

「こんな溶鉱炉溶かす訳には…」
「こんな部屋溶かす気はないわ。最近手に入れたこれを使うだけじゃ」

 そしてグレイさんが気を溜める様な動作をすると部屋全体が一瞬でコーティングされたかのように光る。

「これでもう部屋が壊れたりする心配は無いぞ」
「え?何したんですか?」
「破壊不可の魔法を張っただけじゃ。MPも12しか使ってないから心配いらん。」

 やっぱ凄いな魔法。
 俺にはMPが足りないけど。羨ましい。
 まあ、これで俺は晴れて加工ができる訳だ。
 俺が何をしようとしていたかというと、まあミスリルの加工なのだが、あの説明の中に王水の中なら液体になる、と説明していたのが突っかかっていて調べることにした。
 更に運がいいことに王水を入れて来たビーカーは耐熱性だ。
 なので俺は遠慮なく王水に火をかける。
王水が沸騰する前に火を調節し、王水の温度を8.90℃当たりにしておく。
 …だいたい110℃で気化するからね。
 吸い込んだら俺多分死んじゃうからね。
 また、火は生活用品を買う時に一緒にスチールウールとライターを買っておいたのでそれを使う。
 俺はライターなんかは高いんじゃないかと踏んで調べたのだが、以外と安かったから1本買っておいた。
 そして、俺は先程までいた加工場からミスリルを運ぶ。
 因みに加工場に山のようにあったミスリルは生活に使えるかと買った容積2リットルの液体容器に入る程になってしまった。
 最初、グレイさんに見せた時はめちゃくちゃ驚いていた。
 あとは、運んでいるときに気づいたのだが、ミスリルがめちゃくちゃ軽い。
 体感は発泡スチロール位軽い。
 しかも容器に入れて間接的に持っているだけだから軽いだけであって、加工して剣などにすればまた別の効果が得られるらしい。
 早く加工がしたくてたまらない。

 そして、俺は溶鉱炉の熱くなった王水を恐る恐る加工用の寸胴らしきものに移し替え、その中にミスリルを少し入れる。
 すると、常温の王水に入れたときとは違いシュゥゥゥゥという肉を焼く様な音を立てながら溶けた。
 そして溶けたミスリルは密度が低いのか王水に浮かびエメラルドグリーンの膜を表面に張る。
 その見た目はまさに緑色の水銀だ。
 
「よっしゃぁぁぁ!!第一段階成功!!」

 俺はそんな声を上げてしまった。
 仕方が無い。だって地球には無い未知の新しい物を加工しようとしているのだから。
 この実験…ではなく加工は好奇心MAXの俺には楽しくてしょうがない。

「出来たのか?出来たのか?」

 それはグレイさんも同じなようだった。

 しばしの時間を有して、一旦落ち着き、また実験に入る。
 溶けることは分かったからあとはもう流れ作業だ。
 適量の粒を王水に漬けて、液体のミスリル…液体ミスリルと呼ぶ事にするが、まあこれの存在自体知っている人はいないはずだから勝手につけていいだろう。
 まあ、その液体ミスリルの量が増えたように見えたらまた適量入れて行く。

 俺はこれで科学辞典のことを信用した。だから常温に冷えるまで炭化しないというのはあっているはずだ。
 そして、約2リットルのミスリルが溶けたのを確認したら、それを延べ棒にしていく。
 液体で、温度もそれ程じゃないからミスリルをシリコンの型にはめるだけで済む。
 人形カステラのような感じ、と言えば分かりやすいだろうか。
 お祭りの屋台で売っているあれだ。
 そして少しずつ温度が下がると共に固まっていく。
 と、ここで硬くならないようにまだ4.50℃で型から出す。
 これはまあ見た感じだが、常温よりは熱くなるようにする。
 
「グレイさん、大体出来ました。このまま加工出来なくなってしまったら不味いのであの加工場を使っても良いですか?」
「おう。好きなだけ使えい」

 そう言われたので俺は鍛造を始める。
 最初に作るのは小刀だ。なにせ、鑑定は目標を絞れば温度まで調べられるので地球でやっていた頃より楽で仕方ない。
 ただ、俺は日用品の製作しかさせてもらえなかったので、自然と両刃にしてしまった包丁のような感じになるが。
 ミスリルの延べ棒を叩く。
 鉄槌でとにかく叩いて小刀サイズにする。
 冷えて来たら常温に達してしまう前にもう一度熱していく。
 ミスリルはただでさえ硬い。
 その上鉄より赤熱し始める温度が高いようで、作業に時間が掛かる。
 俺は小刀の形を大体作り終わって、最終制作に取り掛かる。
 刃を研ぐ作業だ。
 ただ、やることは簡単で、台に載せ、刃にする部分をひたすら薄くなるように叩く。
 だが、一番念入りにやらなければいけない部分なので、綺麗に慎重に薄く叩く。
 問題はこれを8.9回は繰り返す事だ。
 実際はもっと少なくても良いのだが、
何分、やらないで失敗するなら多くやってしまった方が良い。それに材料も有限だ。
 そして、俺も納得できる形と薄さが出来たら、後は焼入れだ。
 取り敢えず怖いので水温はちょうど20℃にする。
 俺しかいないからちょっとぐらい水温を正確にしたって腕は斬られないだろう
 そしてこのミスリルの剣をその水に漬ける。
 俺はこの時どうしても目を瞑る癖がある。親父は速く治せと怒るが、そもそも、13歳になったばかりの俺に鍛造を一人でやらせるのがいけないのだ。
 その時の小刀は案の定、それまでうまく行っていたにも関わらず、真っ二つに割れてしまった。
 それがトラウマで、今でも目を瞑ってしまう。

 水の蒸発する心地良い音が聞こえ、それが段々と収まる頃に俺は目を開ける。
 ミスリルの剣は…折れてはいない。
 到底俺みたいな鍛冶経験約3年程度の奴がやっても親父や本業の人には勝てないが、まあ自分にしては良い方だと思っておこう。

「よし、終わったか。ただ、ここまで長い鍛冶を見るのは初めてだぞ?良く集中できたな」
「まあ初めて見る物だったんで楽しかったってのもあるし…何よりこれだけしかないのに失敗するわけにいかんでしょう?」
「ま、そうじゃな。儂も楽しかったからの。…さて。刀が出来たなら鑑定じゃよ。あと、試し斬りもしたいな。ま、もう遅い。試し斬りは明日で良いじゃろう」

 そんな遅かったの?

「もう35 刻頃じゃぞ?」

 日本の時刻にして23時15分。
 作業は昼始めたつもりなんだが…そんなやってたの?
 マジかぁ。この前唯一居た友達にお前集中したら全く周り見えなくなるよなって言われてショックだったのに…やっぱこういうとこなのかな。

「ま、いずれにせよ好きな事に集中出来るのはいい事じゃ。ただ、大量生産は出来なさそうじゃが…ま、それより鑑定じゃ!」

「あ、はい」

俺は言われるがままに鑑定を開く。

___________

 【ミスリルの両刃小刀】

 硬度B 武器ランクS+

武器数値3500

特殊効果
速度上昇+A
体感速度+BB

___________

 なんか強くね?
 いや、なんか強い!って感じがするだけだけど。
 武器ランクやら武器数値はともかく体感速度+BBはやばい。
 なぜなら勇者の一人になったクラスメート…今となっては元クラスメートだが。
 あいつらの一人が持っていたのが体感速度+A。
 Bが多くても5個以上付くことはないだろう。
 そんな神から送られるスキルまであとちょっとみたいな能力が武器を持っているだけで手に入るのは相当やばいだろう。

「どうだったんじゃ?一人でウンウン唸っていないで儂にも教えてくれんかの?」

 丁度いい。武器硬度等々のことが聞きたかった。

「あのー武器硬度って何ですか?」
「あ、そういうもんも出てくるのか。武器硬度とはな。店等が試作品で作って硬度調査所に送って、その武器の評価となるもんじゃ。確か防具も同じだったと思うが、鉄製の平均的な武器が20、オリハルコンの武器が150。伝説の武具類に3000とか5000とか言う物もあった気がするが…なにせ、この武器硬度のシステムは神話時代からあったものみたいでな。その武器は基本もう無くなっていて、その頃のデータで当てにならんもんじゃ。ミスリルなら100が普通。120出たらラッキーってとこじゃな。ま、武器の強さの評価だと思えば良いじゃろう」

 …やっぱやばかったね。ただ、神話の世界の物がこんな簡単に手に入っていいのか…

「で、大体どんぐらいないじゃ?細かい数値が言いたくないのなら大体でいいぞ」

 これは言ってもいいんだろうか…
 …グレイさんがミスリルを集めた結果とも言えるし、言ってしまってもまあ大丈夫だろう。
「あー…3500位です……」
「は?いやいや、冗談じゃろう。現存する武器で一番強いのが480じゃぞ?そんなものあってたまるかい」
「いや、ほんとに出来ちゃったんですよ…」
「むう…じゃあ、明日、ちょっとこれを切ってみてもいいか?大丈夫じゃ。実際、本当に3500あるのならばこんなちょっとでは壊れん。まあ、取り敢えず、今日は疲れてるだろうし早く寝るんじゃ」

 まあ、その方がいいだろう。
 俺は借りた部屋でしっかりと寝る事にした。
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