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領地拡大、本格始動です 3
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次の朝。
朝食を食べ終え、出発です。今日もいい天気です。空が青く、空気も澄んでいて、いい気分のはず……。
「なんか、やっぱり臭わない?」
風の向きに寄るんですが、何かくさいんです。マカミも鼻をひくひくさせています。
草原を出発して順調かと思いきや、悪臭です。
後は半分でリマーに着くと思ったのに。
この悪臭も陸路を使わない理由の一つだったんでしょうか。辺りには動物の死骸もあって、なかなかシュールな絵図になっております。
この匂い……。なんだっけ。調べようと思ったんですけど、ロックたちと要塞作成で忘れていました。
「お嬢さま、ほんとうに、その泥、気をつけてくださいね」
マジックポケットに入っていたブラウンが突然顔を出して、私に声をかけてきました。
「ねえ、これって何だっけ? ああ、思い出せない」
私は首を捻りましたが、あとちょっとで出てきません。悔しい。負けた気がする。
「黒くてくさい沼の水です。転んだら、ねちょねちょですよ。きのうの汚れは、まだ落ちないし……。本当に厄介なんです」
「えええ? そうなの? でも、この黒い水の正体ってなんだろう」
むくむくと湧き上がる探求心。
なんか発見できそうな予感がします。
「この黒い水のせいで、怖がって誰も通らないらしいですよ」
ブラウンはどうやらロックたちに話しを聞いたようです。
「ほうほう」
王子は指ですくってみました。指が黒くなりましたが、下草で拭くと綺麗になりました。
「うーん、指がキレイになってよかったけど、匂いはまだついているよ。この匂い、すごいな」
「くんくん。まあ、そうですねえ。手で触らないほうがいいですかねえ」
ただでさえ、黒いものは忌み嫌われる傾向が強いですからねえ。落ちない上に、こんなに臭くちゃ、敬遠されますよね。
「ねえ、ブラウン、ちょっと百科事典持ってきて」
「……お嬢様、何かやるんですか?」
「まあまあ。そんな心配しないでも大丈夫。この黒い水の正体を突き止めて、何ができるかなって考えるだけよ」
ブラウンは嫌そうな顔をしています。
「汚しませんか?」
「……」
え? そこ? 心配のところはそこですか。
「アリス様? 汚したらダメですよ、いいですか? この水がつくと落ちないんですからね」
「……はい」
「なら、いいですけど……」
ブラウンはため息をつきました。
「対処方法が分かれば、マカミに黒い水がついてもなんとかなるだろうし。有効利用できるなら、ぜひ活用しないとね。領地開拓ですから。それに、これをどうにかしないと、道もできないし……」
この黒い水はぜったい何とかしないといけません。
「どうしてわたしは解析魔法が苦手なんですかね」
ぶつぶつ言っていたらブラウンがちらっとこっちを見ました。
「お嬢さまが、小さいとき、苦手なものは徹底排除したのでは?」
うわぁ、ブラウン、嫌味炸裂です。確かにそうだけどさ。それは言わないでぇ。
「得意なものを伸ばしただけです」
おずおず反撃しました。
「ある程度オールマイティになってから得意なものを伸ばすべきなんですよ。昔から好き嫌いがあるから……」
すいません、ブラウンの言う通りです。現在、困ってます。
私の究極魔法に解析ってないんですよね。興味がなくって……。弟のフィリップは得意だったんですけどねえ。
「かといって、王都の魔法研究所に出すとしても、時間がかかるしなあ」
王子は渋い顔です。
「大丈夫です」
私は精一杯笑顔を作りました。もし、これが資源だったとしたら、王室に知られるより、私が管理した方がいいですからね。
目を見開いて、王子をみつめると、王子は大笑いし始めました。
「そうだね、ここはアリスに任せよう」
ありがとうございます。そして、王室やみなさんには黙っていてくださいね。
「では、お嬢さまが調べ物をしているうちに、私は食材調達と昼食の支度をしますね。ブラックナイトをお借りしてもよいですか」
「ああ、いいよ」
「王子はアリス様の見張りとお手伝いをお願いします」
ブラウンがにこっと笑うと、王子は満面の笑みを浮かべる。
怖い……。この二人。仲良しさんになっている……。
王子が残るなら、いっしょに調べ物を手伝ってもらいましょう。百科事典ってどうしてこんなに重いのかしらね。
「マカミはここにいてくださいね。白い毛が黒く染まっちゃうから」
ブラウンはよいしょとマカミを持ち上げて、岩の上にのせました。ふわふわだから巨大に見えるというのもあると思うのですが、それでもマカミは重いと思うのです。
ぽかんとして見ていたら、「早く終わらせてくださいね」とブラウンに怒られました。
「う、う、うん」
空いた口が塞がりません。ブラウン、最強説……。
しかし……、調べても調べても、なかなか黒い沼が出てきません。ああ、肩が凝ってきました。
そんなに黒い川とか沼とかというものは、意外にないものなんですかねえ。どこかの国には有りそうなんだけど……。
しばらくしてブラウンがブラックナイトの背中に籠を2つ乗せて帰ってきました。
「ここからしばらくいったところに、薬草がたくさんありましたよ。あとベリーですね。豊作なようでたくさんとってきました」
ブラウンは指先をみせてくれました。
「おおお、すごい紫」
「大量ですよ」
「ベリージュースに、ジャム、生のままたべてもいいし、パイもいいなあ」
やったぁ。食生活の向上は心を豊かにしますからね!
スイーツ歓迎!
「お嬢さまは食いしん坊ですねえ。でも、パイはいいかもしれません」
ブラウンは鼻歌交じりにマジックポケットに入っていきました。
「あああ。バターがない!」
ブラウンががっくりした声を上げました。
「えええ」
そんなぁ……。残念です。非常に残念です。サクッとほろっとしたパイの生地に、濃厚なベリーの甘酸っぱさがところどころ染み込んで、とろんと流れて……。焼き立ても、冷めてからもすっごく絶品なのに。そんなあ。もう舌はベリーパイの気分なのに……。
がっくり……です。
私たちはいじけてお茶を沸かすことにしました。よろよろと立ち上がり、枯れた草木を集めます。
何かお茶菓子ありますかね? ベリーパイ……。
「火をつけますよ」
ブラウンは火の魔法を使いました。ブラウンはたいてい何でもできる優秀な人材なのです。
チロチロと火が燃え上がりました。
あーあー、ベリーパイ。
火を大きくするため、枯れた草木を釜にくべていきます。
「あれ?」
突然ぶわっと火が盛り上がりました。集めてある枯れ草を見ると、ところどころ黒い水がついています。
さっき王子が指を拭いた草なのかもしれません。
黒い水のついたところだけ、勢い良く燃える……。ねえ、これって、燃える水ってこと? 燃える土?
ちょっとまって……。
百科事典を取り出して、ページを開きます。
「あった! これ、やっぱり燃える水なのよ」
ふふふ。やっぱり、くさい水の正体は、燃える水でした。
どろッとして、真っ黒でくさいから何かなと思ったら……、立派な資源でした。
これは原油です。精製すれば、透明になります。ええっと、精製方法は蒸留酒の作り方に原理は似ていますね。
実験が必要だけど、黒い水から透明な燃える水にすることができるはずです。
もしかすると、あちらこちらに黒い沼があるのかもしれません。ここを通るのであれば、人が落ちないように柵か何か作った方がいいかもしれません。
念のため、この黒い水が何なのか、解析魔法をフィリップにお願いすることにしました。物見の珠でこちらの様子を映しておきます。
゛ねえねえ、フィリップ? あのね、これなんだけど……”
゛何それ! 黒いね、ドロドロっぽい……? そこ、面白いところだねえ。場所は?”
フィリップ、よい食いつきです。
゛ここはねえ、ラッセル領からはずれたところの草原。地図で言うと山脈の方へ少し行ったところだよ”
゛へえ。領地開拓も順調そうだね。いいものみつけたね!”
嬉しそうな声が聞こえます。お姉ちゃん、がんばってますよ。
゛送ったら、解析してくれる?”
゛もちろんだよ。楽しみにしてる。たくさんサンプル持ってきてね”
゛え?”
たくさんはいやだなって思ってしまいました。臭いんだよ。本当にこれ……。
゛だって、解析した後、いろいろ実験したいし……”
私の反応が不服のようです。
゛でもさ、これって、臭いんだよ”
一応抵抗してみます。
゛うん、でもほしいな……、おねえちゃん。おねがい”
くううう。フィリップのおねだりが炸裂です……。可愛い……。
朝食を食べ終え、出発です。今日もいい天気です。空が青く、空気も澄んでいて、いい気分のはず……。
「なんか、やっぱり臭わない?」
風の向きに寄るんですが、何かくさいんです。マカミも鼻をひくひくさせています。
草原を出発して順調かと思いきや、悪臭です。
後は半分でリマーに着くと思ったのに。
この悪臭も陸路を使わない理由の一つだったんでしょうか。辺りには動物の死骸もあって、なかなかシュールな絵図になっております。
この匂い……。なんだっけ。調べようと思ったんですけど、ロックたちと要塞作成で忘れていました。
「お嬢さま、ほんとうに、その泥、気をつけてくださいね」
マジックポケットに入っていたブラウンが突然顔を出して、私に声をかけてきました。
「ねえ、これって何だっけ? ああ、思い出せない」
私は首を捻りましたが、あとちょっとで出てきません。悔しい。負けた気がする。
「黒くてくさい沼の水です。転んだら、ねちょねちょですよ。きのうの汚れは、まだ落ちないし……。本当に厄介なんです」
「えええ? そうなの? でも、この黒い水の正体ってなんだろう」
むくむくと湧き上がる探求心。
なんか発見できそうな予感がします。
「この黒い水のせいで、怖がって誰も通らないらしいですよ」
ブラウンはどうやらロックたちに話しを聞いたようです。
「ほうほう」
王子は指ですくってみました。指が黒くなりましたが、下草で拭くと綺麗になりました。
「うーん、指がキレイになってよかったけど、匂いはまだついているよ。この匂い、すごいな」
「くんくん。まあ、そうですねえ。手で触らないほうがいいですかねえ」
ただでさえ、黒いものは忌み嫌われる傾向が強いですからねえ。落ちない上に、こんなに臭くちゃ、敬遠されますよね。
「ねえ、ブラウン、ちょっと百科事典持ってきて」
「……お嬢様、何かやるんですか?」
「まあまあ。そんな心配しないでも大丈夫。この黒い水の正体を突き止めて、何ができるかなって考えるだけよ」
ブラウンは嫌そうな顔をしています。
「汚しませんか?」
「……」
え? そこ? 心配のところはそこですか。
「アリス様? 汚したらダメですよ、いいですか? この水がつくと落ちないんですからね」
「……はい」
「なら、いいですけど……」
ブラウンはため息をつきました。
「対処方法が分かれば、マカミに黒い水がついてもなんとかなるだろうし。有効利用できるなら、ぜひ活用しないとね。領地開拓ですから。それに、これをどうにかしないと、道もできないし……」
この黒い水はぜったい何とかしないといけません。
「どうしてわたしは解析魔法が苦手なんですかね」
ぶつぶつ言っていたらブラウンがちらっとこっちを見ました。
「お嬢さまが、小さいとき、苦手なものは徹底排除したのでは?」
うわぁ、ブラウン、嫌味炸裂です。確かにそうだけどさ。それは言わないでぇ。
「得意なものを伸ばしただけです」
おずおず反撃しました。
「ある程度オールマイティになってから得意なものを伸ばすべきなんですよ。昔から好き嫌いがあるから……」
すいません、ブラウンの言う通りです。現在、困ってます。
私の究極魔法に解析ってないんですよね。興味がなくって……。弟のフィリップは得意だったんですけどねえ。
「かといって、王都の魔法研究所に出すとしても、時間がかかるしなあ」
王子は渋い顔です。
「大丈夫です」
私は精一杯笑顔を作りました。もし、これが資源だったとしたら、王室に知られるより、私が管理した方がいいですからね。
目を見開いて、王子をみつめると、王子は大笑いし始めました。
「そうだね、ここはアリスに任せよう」
ありがとうございます。そして、王室やみなさんには黙っていてくださいね。
「では、お嬢さまが調べ物をしているうちに、私は食材調達と昼食の支度をしますね。ブラックナイトをお借りしてもよいですか」
「ああ、いいよ」
「王子はアリス様の見張りとお手伝いをお願いします」
ブラウンがにこっと笑うと、王子は満面の笑みを浮かべる。
怖い……。この二人。仲良しさんになっている……。
王子が残るなら、いっしょに調べ物を手伝ってもらいましょう。百科事典ってどうしてこんなに重いのかしらね。
「マカミはここにいてくださいね。白い毛が黒く染まっちゃうから」
ブラウンはよいしょとマカミを持ち上げて、岩の上にのせました。ふわふわだから巨大に見えるというのもあると思うのですが、それでもマカミは重いと思うのです。
ぽかんとして見ていたら、「早く終わらせてくださいね」とブラウンに怒られました。
「う、う、うん」
空いた口が塞がりません。ブラウン、最強説……。
しかし……、調べても調べても、なかなか黒い沼が出てきません。ああ、肩が凝ってきました。
そんなに黒い川とか沼とかというものは、意外にないものなんですかねえ。どこかの国には有りそうなんだけど……。
しばらくしてブラウンがブラックナイトの背中に籠を2つ乗せて帰ってきました。
「ここからしばらくいったところに、薬草がたくさんありましたよ。あとベリーですね。豊作なようでたくさんとってきました」
ブラウンは指先をみせてくれました。
「おおお、すごい紫」
「大量ですよ」
「ベリージュースに、ジャム、生のままたべてもいいし、パイもいいなあ」
やったぁ。食生活の向上は心を豊かにしますからね!
スイーツ歓迎!
「お嬢さまは食いしん坊ですねえ。でも、パイはいいかもしれません」
ブラウンは鼻歌交じりにマジックポケットに入っていきました。
「あああ。バターがない!」
ブラウンががっくりした声を上げました。
「えええ」
そんなぁ……。残念です。非常に残念です。サクッとほろっとしたパイの生地に、濃厚なベリーの甘酸っぱさがところどころ染み込んで、とろんと流れて……。焼き立ても、冷めてからもすっごく絶品なのに。そんなあ。もう舌はベリーパイの気分なのに……。
がっくり……です。
私たちはいじけてお茶を沸かすことにしました。よろよろと立ち上がり、枯れた草木を集めます。
何かお茶菓子ありますかね? ベリーパイ……。
「火をつけますよ」
ブラウンは火の魔法を使いました。ブラウンはたいてい何でもできる優秀な人材なのです。
チロチロと火が燃え上がりました。
あーあー、ベリーパイ。
火を大きくするため、枯れた草木を釜にくべていきます。
「あれ?」
突然ぶわっと火が盛り上がりました。集めてある枯れ草を見ると、ところどころ黒い水がついています。
さっき王子が指を拭いた草なのかもしれません。
黒い水のついたところだけ、勢い良く燃える……。ねえ、これって、燃える水ってこと? 燃える土?
ちょっとまって……。
百科事典を取り出して、ページを開きます。
「あった! これ、やっぱり燃える水なのよ」
ふふふ。やっぱり、くさい水の正体は、燃える水でした。
どろッとして、真っ黒でくさいから何かなと思ったら……、立派な資源でした。
これは原油です。精製すれば、透明になります。ええっと、精製方法は蒸留酒の作り方に原理は似ていますね。
実験が必要だけど、黒い水から透明な燃える水にすることができるはずです。
もしかすると、あちらこちらに黒い沼があるのかもしれません。ここを通るのであれば、人が落ちないように柵か何か作った方がいいかもしれません。
念のため、この黒い水が何なのか、解析魔法をフィリップにお願いすることにしました。物見の珠でこちらの様子を映しておきます。
゛ねえねえ、フィリップ? あのね、これなんだけど……”
゛何それ! 黒いね、ドロドロっぽい……? そこ、面白いところだねえ。場所は?”
フィリップ、よい食いつきです。
゛ここはねえ、ラッセル領からはずれたところの草原。地図で言うと山脈の方へ少し行ったところだよ”
゛へえ。領地開拓も順調そうだね。いいものみつけたね!”
嬉しそうな声が聞こえます。お姉ちゃん、がんばってますよ。
゛送ったら、解析してくれる?”
゛もちろんだよ。楽しみにしてる。たくさんサンプル持ってきてね”
゛え?”
たくさんはいやだなって思ってしまいました。臭いんだよ。本当にこれ……。
゛だって、解析した後、いろいろ実験したいし……”
私の反応が不服のようです。
゛でもさ、これって、臭いんだよ”
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