信じていました…

クロユキ

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いつの間にか眠ってしまったローラは、目を開けると湯編みを終え服を着てベッドの上で笑顔を見せる夫の姿があった。
「…旦那様…」
「おはよう、ぐっすりと眠っていたから起こせなかった」
ローラは、あれは夢だったのだと夫のクリストフを見て笑顔で挨拶をした。
「おはようございます…旦那様」
「昨日は無理をさせて悪かった…久しぶりだったから…」
頬を染める旦那様に私はあんな夢を見てごめんなさいと心の中で謝った。
「お姉様は?」
「まだ寝ているそうだ…兄さんとの事もあり疲れが出たんだろう」
私の手を握り締める旦那様はお姉様とお兄様の事が心配なんだと思った。
食卓には後から来たお姉様が私と旦那様に朝の挨拶をした。
「このままお店に行くわ。帰りは真っ直ぐここへ帰って来るから」
「えっ!?家には帰らないの?」
「家の中でも絵を描いている人だからメイドがいるから大丈夫よ」
「でも…」
「貴女が心配しなくてもあの人の事は私が知っているから」
お姉様は、仕事へ行き私はいつものように弟か妹が生まれる子供の服を編んでいた。
「…気が早いわね…まだ、わからないのに…」
私はお腹を触り笑顔になっていた。
昼になり私は廊下を歩き二人のメイドがお姉様がいる部屋で話し声が聞こえた。
「ねえ…これってアレよね!?シーツも汗臭いし…」
「でも、お一人で泊まっているんでしょう?誰と…」
私は、メイドがお姉様の部屋で何を話しているのか気になり声をかけようとした。
「どうしたんだ?」
「えっ!?あ、旦那様」
メイド達は、私と旦那様を見て驚いたように慌てて洗い物のシーツを持ち出し頭を下げて部屋を出てしまった。
旦那様はじっとメイド達を見て私は首を傾げた。
「……」
「旦那様?」
「え、ああ、何?」
「クスクス、私が旦那様に言う事です」
「あ…ローラここで何を…」
「散歩に行こうと思っていたのです」
「散歩か…一緒に歩こうか?」
「えっ!?良いのですか?」
「ああ、一息ついた所だった」
私は、旦那様と一緒に散歩をする事ができ今日はとても良い日だった。



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