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死者との会話をする少女
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ある小さな集落村があり、一軒家に人が集まっていた。
『あたしがいなくても、村のみんながいるんだ。お前は一人じゃないよ』
「……か、母ちゃん…」
グスグスと涙を流し先ほど亡くなった母親と会話をする男は、青白く仰向けで眠る母親に話をしているのではなく、母親の手を触る少女に向かって会話をしていた。
『お迎えが来たようだね…ちゃんとご飯は食べるんだよ』
笑顔を見せる少女は、会話が終わると黙ったまま下を向き動かなくなった。
「母ちゃん!俺を一人にしないでくれ!!」
動かなくなった少女の体をギュッと抱きしめ、ワーワーと声を出して泣く男に傍にいた村人も一緒になって泣く者もいた。
「……お、おじさん…苦しい…」
「!」
自分に抱き付く男に少女は困ったような顔で苦笑いをしていた。
「おお、悪い目が覚めたのか?メル」
「うん…おばあちゃん、お話ができて良かったって言っていたよ…」
「…う…そうか、そうか…」
男はまた涙を流し抱きしめていた体を離れメルの両手を握りしめて感謝をしていた。
「ありがとうな」
「うん」
メルの手を離した男は仰向けで眠る母親の傍で手を合わせていた
「良かったな…最後にモネさんと話ができた」
「死んじまったら話が出来ないもんな…」
モネおばあちゃんの別れに集まった村人はメルの話をしていた。
「まさか、死んだ者と話が出来るなんて思っていなかったな~」
「そうだな、何言ってんだこの娘は…って初めはメルを信じていなかったな…」
「そういや…メルを聖女だと言っていたな」
「いやいや、聖女はケガを治すだけのもんだろう?メルは死んだ者と会話が出来る。もしかしたら大聖女かもな!」
「おおっ、それが本当ならうちの村は凄いってもんだぜ」
ワイワイ、ガヤガヤと大人達が話をするのを聞いていたメルは「はぁ…」と息を吐いていた。
「ごめんね~っメル、大人達の話なんて聞く事ないよ。はい、今日はありがとう」
メルは亡くなったモネおばあちゃんのお金をもらっていた。おじさんがまだモネおばあちゃんの傍を離れない為、用意していた封筒をメルに渡していた。
「ありがとう、おばさん」
「体の方はなんともないかい?」
「うん、大丈夫。」
ごそごそともらったお金を袋に入れ帰る準備をしていた。
「さあさあ、料理とお酒だよ!」
「おっ、待ってました!」
「酒だ。酒だ。」
村の女達が料理と酒を持ち、大人達の夜が始まった。
「あっ!メルちょっと待って」
パタパタと料理を詰めた袋をメルに渡していた。
「ありがとう」
「良いって、気をつけて帰るんだよ」
「うん」
料理を貰ったメルは外を出ると家の中に入る事が出来ない村人達老若男女でいっぱいだった。
「よう、メル。もう帰るのか?」
「うん…お父さんとお母さんが待っているから…」
「…そうか、送ろうか?」
「大丈夫。おやすみなさい」
「ああ…」
メルは男と話終えると両親が待っ家へと帰った。
男はメルの後ろ姿が見えなくなるまで見送るとボソッと声に出していた。
「……メルが、死者が見えるようになったのも両親が死んでしまった時だったな…」
『あたしがいなくても、村のみんながいるんだ。お前は一人じゃないよ』
「……か、母ちゃん…」
グスグスと涙を流し先ほど亡くなった母親と会話をする男は、青白く仰向けで眠る母親に話をしているのではなく、母親の手を触る少女に向かって会話をしていた。
『お迎えが来たようだね…ちゃんとご飯は食べるんだよ』
笑顔を見せる少女は、会話が終わると黙ったまま下を向き動かなくなった。
「母ちゃん!俺を一人にしないでくれ!!」
動かなくなった少女の体をギュッと抱きしめ、ワーワーと声を出して泣く男に傍にいた村人も一緒になって泣く者もいた。
「……お、おじさん…苦しい…」
「!」
自分に抱き付く男に少女は困ったような顔で苦笑いをしていた。
「おお、悪い目が覚めたのか?メル」
「うん…おばあちゃん、お話ができて良かったって言っていたよ…」
「…う…そうか、そうか…」
男はまた涙を流し抱きしめていた体を離れメルの両手を握りしめて感謝をしていた。
「ありがとうな」
「うん」
メルの手を離した男は仰向けで眠る母親の傍で手を合わせていた
「良かったな…最後にモネさんと話ができた」
「死んじまったら話が出来ないもんな…」
モネおばあちゃんの別れに集まった村人はメルの話をしていた。
「まさか、死んだ者と話が出来るなんて思っていなかったな~」
「そうだな、何言ってんだこの娘は…って初めはメルを信じていなかったな…」
「そういや…メルを聖女だと言っていたな」
「いやいや、聖女はケガを治すだけのもんだろう?メルは死んだ者と会話が出来る。もしかしたら大聖女かもな!」
「おおっ、それが本当ならうちの村は凄いってもんだぜ」
ワイワイ、ガヤガヤと大人達が話をするのを聞いていたメルは「はぁ…」と息を吐いていた。
「ごめんね~っメル、大人達の話なんて聞く事ないよ。はい、今日はありがとう」
メルは亡くなったモネおばあちゃんのお金をもらっていた。おじさんがまだモネおばあちゃんの傍を離れない為、用意していた封筒をメルに渡していた。
「ありがとう、おばさん」
「体の方はなんともないかい?」
「うん、大丈夫。」
ごそごそともらったお金を袋に入れ帰る準備をしていた。
「さあさあ、料理とお酒だよ!」
「おっ、待ってました!」
「酒だ。酒だ。」
村の女達が料理と酒を持ち、大人達の夜が始まった。
「あっ!メルちょっと待って」
パタパタと料理を詰めた袋をメルに渡していた。
「ありがとう」
「良いって、気をつけて帰るんだよ」
「うん」
料理を貰ったメルは外を出ると家の中に入る事が出来ない村人達老若男女でいっぱいだった。
「よう、メル。もう帰るのか?」
「うん…お父さんとお母さんが待っているから…」
「…そうか、送ろうか?」
「大丈夫。おやすみなさい」
「ああ…」
メルは男と話終えると両親が待っ家へと帰った。
男はメルの後ろ姿が見えなくなるまで見送るとボソッと声に出していた。
「……メルが、死者が見えるようになったのも両親が死んでしまった時だったな…」
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