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城下町から少し離れた場所に広場があり貴族達が馬車を止め木々や草花がある散歩道と森の巣と呼ぶ木々が立ち並ぶ隠れ場所がある。
男女が隠れてその場で愛し合う人々もいる特に夜が多いデートスポットの1つの場所でもある。
そんな場所で1組の男女がデートとは言えない雰囲気で散歩道の途中で立ち止まっていた。
貴婦人に頭を下げる容姿の良い騎士が何故か頭を地面に付き謝罪している姿をすれ違う人々がジロジロと見て行く者が多く居た。
「…ユリーナ……私が悪かった…この通り許して欲しい…昨年の事でもう会っては居ないんだ…だから…」
「……何人の方と関係を持ちましたの?」
「……正確には覚えては居ないんだ…自分では数人だと思ってはいるが……皆一度限りとして会っていただけで……」
ユリウス父さんはユリーナ母さんを見上げる事が出来ず夫婦としては別れては居るがユリーナ母さんから女と会っているという事を目の前で言われたら謝るしかないと思った。
「……女性の方々と寝まして言われませんでしたの?」
「…何を……?」
「貴方様の体に無数の跡を残して居るのに奥様は知らないでしょうね私達が寝ているとも知らずに……と、言われませんでしたか?ユリウス様…何も知らない奥様だと……」
「……っ!」
何人かの貴婦人がユリウス父さんの身体中にユリーナ母さんが跡を付けたのを見て同じ様な事を言った貴婦人がいた事を思い出していた。
「……いつ頃から会うように成りましたの?」
「……」
「御帰りが遅い日が何日もありましたわねその時からですの?」
「……ああ…」
ユリウス父さんは地面に座る感じでユリーナ母さんの顔を見る事も出来ずただ問いかけに応えるだけだった。
「…1年もの間私は貴方様に裏切られて居たのですね…私だけを愛して下さっていたのだとずっと思っておりました…周りの貴族の方々から奥様は幸せ者だと言われ続いたあの頃は自慢気に成っておりましたのがとても恥ずかしい限りです…」
ユリーナ母さんはユリウス父さんに話し終えると元来た道を戻り歩き始めていた。地面に足を着いたままユリウス父さんは何も言えず下を向いていた。

その頃護衛騎士と俺は2人が通った散歩道を歩いて居た。
護衛騎士は俺の前を歩き俺は後ろを付いて行っている感じですれ違う人々から見られて居る様な気がして歩きにくい感じだった
「あのーっ今お一人何ですか?」
「え?」
俺は驚いていた。すれ違った女性2人が笑顔で話し掛けて来た
「黒髪何て珍しいですよね…彼女いらっしゃいますよね…?」
「え、いや…今は居ないけど……」
「うそ~っ、今から城下町に行くんです一緒に行きませんか?」
「悪いけど用事があるんだ」
「ええっ?じゃあ私達も一緒に行っても良いですか?」
「え?それは困るけど…」
キャー、キャーと騒いでいる女性2人から誘われていた俺は困っていた時に一緒にいた騎士が俺が後ろから付いて来て居ない事に気付き戻って来た様で女性達に声を掛けていた
「すまないが、彼は私の連れなんだ他の者を誘って暮れないか?」
彼女達の後ろから騎士が声を掛けた為彼女達は驚いたが素直に俺の側から離れ城下町の方へ行った。
「…すみません助かりました断っても中々離れて暮れなくて…」
「いえ、大丈夫ですか?後ろを振り向くと居ない事に焦りました貴方に何かあれば王様から叱りを受ける所でした」
「大袈裟ですよ、王様は関係ありません」
「…王様は貴方に夢中の様で大切に想われています。馬車の中では驚きましたが今まで小さな御子様が馬車の中に居ましたのにいつの間にか貴方が居ましたので驚きました」
騎士は俺と隣で一緒に歩き馬車の中での事を話していた。
俺は顔が真っ赤になり手で顔を隠し歩いていた
「きゃっ!」
と、前から歩いて居た女性が何も無い所でヨロヨロと俺の前に倒れ掛けていたように見え俺は「は?」と思い何で何も無い所で体をこっちに向かって来るんだ?と思った時隣に居た騎士が俺の腕を自分の方へ引き寄せ女性が俺にぶつかるのを阻止した。
騎士が引っ張ったせいで俺に抱き着く事が出来なかった女性がムッとした顔で騎士を見て何事も無かった様にスタスタと歩いて行った。
俺は騎士に抱き着いた感じに成り俺と騎士は立ち止まり女性の後ろ姿を見ていた
「……い、今のは何だったのでしょうか?」
「この国の女性は結構積極的な方が多いので、声を掛けてくるのは女性が多いです。さっきの様にわざと足に何かあった様に見せ掛け抱き着く事で誘って来る人もいます」
「うわ~っ、怖……こんな事なら小さい方が良かったかな…」
クスッと俺より少し身長の高い騎士が笑ったように聞こえて俺は見上げた。
「あっ、すいません…抱き着いたままでした」
俺は騎士服を握り締めていた。
「……王様が貴方に夢中になる事が分かった様な気がします」
騎士は俺が離れようとした時俺の体を引き寄せギュッと抱き締めていた。
「え?な?……」
「…このまま静に私に抱き締めて貰って下さい…前から歩いて来る女性達が貴方の方を見て居ましたので、今貴方は私の者だと彼女達の前で見せたいと思い行動を取りました」
女性達が笑顔で頬を染め騒いでいるのが聞こえ騎士に抱き締められている俺は顔が熱く火照り騎士服に染み着いた汗の匂いでふらっ……となりそうな感じだった。
女性達が何故か喜ぶ声が聞こえ俺達の側を通り過ぎていたが、騎士が何故か離して暮れない…
「……先に謝ります…」
騎士が俺に謝ると言い俺は何かあったのか?と少し体を騎士から離した時にぐっと腰に腕を回された事に気付くと騎士の柔らかな唇が俺の唇と重なり俺は「え?」と思いこれも見せる為なのか?と唇を重ねクラッとなりそうな感じがした。
「……ん」
俺は抵抗する事も考えず王様ともユリウスとも違う少し震えて唇を重ねる騎士に俺はそのまま身を任せていた
唇が離れ騎士は目を閉じたまま下を向き自分がした事に顔が赤く成り俺に謝っていた。
「…す、すまない……私は何て事を…」
俺の顔を見れず顔を手で隠し真っ赤に成っているのが分かった
俺も一緒に顔が赤くなっていた。
「昼間から熱いね兄ちゃん達こんな人が多い所でしないで森の巣に行った方が良いぞ」
「「!?」」
俺と騎士は通り過ぎるおじさんがニヤニヤとして話し掛けて来た為慌てて騎士は俺の手を引きユリーナ母さんを探す事に気持ちを切り替えていた。
「…あの……騎士様…さっきの人が言っていた森の巣とは何ですか?」
「……アノルドだ…」
「え?」
「私の名前はアノルドと呼んで下さい…森の巣と言うのはこの散歩道の隣に木々が立ち並ぶ場所の事を言いますが貴方は知らなくて良い事です。」
騎士のアノルドは俺の手をギュッと握り締め散歩道を歩き2人の姿を捜していた。















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