転生してまで俺の後を追いかけるのは止めろ～父様と僕は兄弟でした～

１１２

ユリウスが屋敷に戻った頃、ルィーズ夫人を乗せた馬車がホルン家に到着していた。
「奥様！？」
ホルン家の屋敷の中でルィーズ夫人が帰宅の出迎えをしていたメイド達数名とメイド長がルィーズ夫人を見て驚いていた。
涙を流し続けていた為目元が腫れ化粧が崩れ落ちフラフラと歩く姿を見ていたメイド達が慌ててルィーズ夫人を支えていた。
屋敷を出る前のルィーズ夫人は沈んでいた顔をしていたが今程変わり果てた姿で倒れそうに成る程ではなかった。
「何があったので御座いますか？奥様」
メイド長がルィーズ夫人の側に駆け寄り問いかけていたがルィーズ夫人は何も話す事が出来ずにいた。
王様との約束で最愛の人ユリウスを殺めた事を誰にも話しをする事が出来ない為ただ黙る事しか出来ない苦しみがルィーズ夫人には辛い思いだった。
「……部屋に戻りたいわ…」
ルィーズ夫人は一言話しを終えメイド達に体を支えて貰い部屋に戻る事にした。
ルィーズ夫人の後ろ姿を見ていたメイド長がルィーズ夫人と一緒にいた執事に問いかけていた。
執事の顔色が悪く王様から言われた通りの話しをメイド長に話しをする事にした。
「……奥様の御知り合いの御方が亡くなられたのです。それを聞きました奥様が哀しまれそしてあの様に体調を崩されて仕舞われたのです……」
執事は王様に言われた通りにメイド長に伝える事が出来た。
「まぁ、奥様の御知り合いの方が…その方は誰なのですか？」
「……私の口からは話せ無い…今は奥様が落ち着きを取り戻される事が先です……」
「そうですわね…今は奥様の御体が心配ですわね」
「それからメイド長奥様を１人にしないように心掛けて下さい…奥様には大切な御方が亡くなられたのです…万が一という事もありますので……」
「まさか、奥様に限って…その様な……前にもありましたわね旦那様が御亡くなりに成られました時に大量なお薬をお飲みになり……旦那様と同じ想いを持たれた御方なのですね…分かりましたメイド達の人数を奥様の周りに増やしましょう」
「……よろしくお願いします…メイド長」
執事はメイド長にルィーズ夫人の事をお願いをした後自分の部屋に戻って行った。
メイド達がルィーズ夫人の身仕度を終え部屋を出たメイド達は話しをしていた。
「奥様大丈夫かしら、屋敷を出られた後も何か思い詰めた表情だったけど……」
「そうよね…一年前の旦那様の事を思い出すわあの頃の奥様今の奥様と変わりがなく沈んでいる姿が思い出されるわ…」
２人のメイド達が昨年のルィーズ夫人の姿を思い出し屋敷の廊下を歩いて戻って行った。
部屋の中で１人ベッドの上で顔を俯せ声をころし泣いているルィーズ夫人がいた。
「……ユリウス様……ユリウス様……ううぅ…っ……わたくしは…わたくしは……」
ルィーズ夫人は何故あの時ユリウスを刺してしまったのだろうかともう二度と会えない最愛の人にただ泣く事しか出来ない自分を責める事しかできなかった。