夫は家族を捨てたのです。

クロユキ

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家族

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「アラン、読み書きを教えてやるからペンとノートを持っておいで」
バタバタとアランは棚に置いているペンとノートを持ってエリックお義兄さんと一緒に勉強を始めた。
「お風呂を用意しますね」
「ああ、ありがとう。アラン、読み書きが終わったら一緒に風呂に入ろう」
「うん」
エリックお義兄さんが来た日はいつもアランをお風呂に入れてくれる…私は、お義兄さんが家にいる時は息子のアランを見てくれているから助かっている…本当なら父親のアルバートが息子を見なくてはならないのに…私は、後片付けをして瞼を指で拭った。
「いつもありがとう…お義兄さん…」
「気にする事ないよ、アランと一緒にいるのは楽しい」
先に眠ったアランの寝顔を見て、テーブルの椅子に座っている私の側にお義兄さんも椅子に座って私達大人の会話が始まった。
「その後は、アルバートから何か連絡は…」
私は、首を横に振りお義兄さんはため息を吐いて肩を落としていた。
「そうか……連絡はまだ無いのか…俺達も捜してはいるが何処に住んでいるのかも分からない…国から出ているのかも分からない…」
「……」
「弟の事で君に迷惑を掛けてしまった…」
「お義兄さんが謝る事はありません…アランが産まれてからお義兄さん、お義父さん、お義母さん…私達親子を支えてくれて今まで生活が出来たのもお義兄さん達が支えてくれたからなんです」
私は、笑顔をエリックお義兄さんにお礼を言った。
「……以前、君に話しをして…考えてくれただろうか…」
「ぁ……」
じっと見ているお義兄さんの顔を私は戸惑いながら目を逸らしてしまった。
「君がまだ弟を想っているのは分かっている…俺も君に打ち明けるのを戸惑った…七年も君は一人で子育てをして生活をして来た…俺は、その手助けをしただけで…本当は、アランを俺の息子として迎えたい……俺の両親も頷いてくれた…アランのこれから先の事を考えているのなら俺との事も考えて欲しい……」
「……お義兄さん……」
エリックさんから告白を聞いて嬉しいと思う私と夫が帰ってくるのを待っ私は悩んでいた…本当は、この不安な日から抜け出したかった。
「また、来るよ」
「ありがとう、お義兄さん」
お義兄さんは、いつものように私に手を振り帰って行った。
エリックさんと私は何も無い…私ももうすぐ三十歳になる…アランにも弟や妹をと思っているけれど…あなたは、今何処で何をしているの?私と息子のアランがあなたの帰りを待っているの…




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