捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

クロユキ

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皇帝の末の娘③

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『…出張ですか?』
『ああ、明日から二日ほど屋敷をあける。俺がいない間、屋敷内の事は君に任せる』
『…行き先をお尋ねしてもいいでしょうか…』
『行き先?』
『…旦那様が何処へ行かれたのか聞かれましたらお応えできませんから…』
『……はぁ、隣の国エタナニアに商品の仕入れに行くそれだけだ』
『…分かりました…ありがとうございます…』
ソフィアは、アレックとエミリーの関係を知ってから仕事を一緒にしなくなった。アレックには体調が良い日にだけの仕事をしますと話ていた。
『ああ、それと出張にはエミリーを連れて行く』
『え?何故、エミリーを連れて行くのですか?』
『君の代わりだ』
『私の代わり?』
『最近、体調が良くないと聞いた…本来なら妻である君を連れて行くべきだが、無理な願いは出来ないと思い代わりにエミリーが行く事になった』
『……』
ソフィアは手を握りしめアレックには何も言えなかった。
『アレック様!』
ノックもなしでいきなりエミリーが部屋に入ってきた。
『お姉様!?驚いた…アレック様のお部屋にいるんだもの』
『……』
『どうした?エミリー』
『あっ、私お願いに来たの』
『お願い?』
『明日、着ていくお洋服がないから今から一緒に買い物に行きたいと思っていたけど…忙しい?』
エミリーは、本棚の側にいるソフィアに目を向けアレックに買い物を一緒に行きたいと言っていた。
『ふう、仕方ない買い物に行こう』
『本当!?ありがとう』
『……』
『夕食には帰って来る…それまで後の書類は出来る範囲で頼む』
『…わかりました…』
『アレック様早く~っ』
『ああ』
アレックは仕事をソフィアに任せエミリーを連れ外へ出かけた。
『……ふぅ…う…うう…っ…』
一人部屋に残されたソフィアは声を殺し泣いていた。
離婚を何度も考えたが、両親に迷惑かけてはいけないと自分の胸にしまい込んでいた。
「……」
(…思い出したくもない夢を見てしまった…)
真っ暗な部屋でも豪華さが見える部屋を見ていたソフィアは、夢ではなかったと…広い天井を見上げていた。
(…私が死んでどれほど月日が流れたのかわからない…お父様とお母様に何も言わずに親不孝をしてしまった…あの時の私は、茫然と頭の中が真っ白になって…離婚をした後は、両親の元へ帰っても次の縁談の話があるのが怖かった…)
ベビーベッドの上で大きな広い窓をソフィアは見ていた。
(…旦那様とエミリーは結婚したかしら…ふふ、知りたくもない二人の事を考えるなんて…馬鹿よね…)
カチャ…
(え?扉の開く音?真夜中に誰が…)
コッコッと歩く音が聞こえ、暗い部屋の中を迷わずこっちに向かう足音にソフィアは目を閉じる事もできず、目を見開いて黒い人影に怖くて声が出なかった。
(赤ちゃんだから「おぎゃーっ」しか言えないじゃないの)






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