性格が嫌いだと言われ婚約破棄をしました

いつもと変わらず…

エリックは、自分に気付いていないのか無視されたのかキャロルに声を上げた。
「おい、キャロル・ラシリア！」
エリックは前を歩くキャロルを呼び止めた。
後ろを振り向いたキャロルはキョトンとした顔でエリックを見た。
「お前、俺に挨拶無しで行くのか？」
「えっ、あ…おはようございますエリック様」
「昨日は、お前のせいで俺は親から叱りを受けたんだからな」
「どうして、私のせいなのですか？」
キャロルは何故昨日の事が自分のせいになるのか首を傾げていた。
「お前が親に話しをしたからだろう？」
「エリック様が私の両親に話しを急ぐようにと言っていましたけど？だから、私は昨日両親に貴方と婚約破棄の話しをしたのです」
「そ…それはそうだが…」
「エリック君、勝手なんじゃないの？婚約破棄を言っておいて後からグチグチ言うなんて最低じゃない」
「な！？さ、最低って…」
「なに？喧嘩？」
「あらっ、エリック君とキャロルじゃない、なあに二人婚約破棄したの？」
「っ…」
登校でもある為生徒達がエリックとキャロルを見て足を止めていた。
「エ、エリック様…行きましょう…」
エリックの腕を掴んでパトリシアは生徒の注目に戸惑った。
「……ああ、分かった…」
エリックは、キャロルに不機嫌な顔を見せパトリシアと学園の中へと行った。
「何よあれ、自分から婚約を取り消したんでしょう？」
「まったくだ。何を考えているんだか…」
「ええっ！？驚いた…ライナー君いたの？」
「ひどっ！」
「ははは、ごめ～ん」
キャロルは二人のやり取りを見て笑みを見せた。
（…どうして彼が怒るの？私が挨拶をしてもずっと避けていたのに…彼女が居るのに私を呼び止めるなんて……イヤな人）
「ははっ、恐い顔だな」
「え…」
キャロルは側を通り過ぎる男子に茫然となった。
「……クリス君？」
キャロルは同じクラスで学年トップのクリスから声を掛けて来るとは思わなかった。
「さっきの男子、クリス君？」
「うん…笑ってた…」
「ええっ？クリス君が？本当に？」
「……うん…」
「あの無愛想なクリス君が……キャロルに話し掛けたの？」
「うん…驚いた…」
「顔と頭は良いんだけど……」
キャロルはクリスの噂は知っていた。