恋をする事を許して欲しい…婚約者のあなたは私にお願いをした

父と息子②

僕は立ったままお父さんと話しをする事になった。
「お前は、学園を卒業するまで私やお母さんを騙し続けるつもりだったのか？」
「……ご…ごめんなさい…」
「謝ってすむことか！」
バンと書斎の机を叩く音を聞いて体が震えた。
「一年…あの娘を彼女にすると言ったのは本当か？」
「あ…」
「今日、フローラさんから聞いた…彼女はこんな話しを私達にしたくなかっただろう…お前が今日、屋敷へ戻らない事にフローラさんがあの娘の屋敷にお前がいると知らせお前を迎えに行った」
「え…」
何故フローラがペネロープの屋敷へ僕がいるのを知っていたのか驚いていた。
「お前は、私達に嘘を言ったな…下級生に勉強を教えに屋敷へ行くのを許して欲しい教えるのは、男子だからとお前は私達に嘘を言った」
「……ごめんなさい…」
「私達もお前を信じ名前や爵位を聞かずに許したのが愚かだった…お前にはフローラさんがいる婚約者を裏切る事はないと信じていた」
「……」
「あの娘とはいつから付き合い始めた」
「……」
バン！
「いつからなんだ！」
「……こ…今年…彼女が入学してから…一ヵ月過ぎた頃に…」
僕は、お父さんの顔を見る事が出来ずに重ねていた手を握り締めて僕は震えていた。
バサッと僕に向けて書類の紙が頭に当たりバラバラと足元に落ちていた。
僕は泣きたいのを我慢した。
「…なんて事だ…お前がこんな情けない息子だとは思わなかった…」
俯いて話しをするお父さんに僕は頭を下げるしかなかった。
「…その娘と付き合いフローラさんと結婚するつもりでいたのか？」
「…僕は…フローラを愛して……」
「馬鹿者が！お前のあの姿をフローラさんが見た…あんな事をして彼女を愛しているだと？彼女がお前を許すと思うかーっ！！」
「…うう…ごめんなさい…ごめんなさい…」
僕は膝をばらまかれた紙の上に跪き何度もお父さんに謝った。
「……お前の話しは…フローラさんも両親に話しているだろう…」
「……」
「……謝罪に行かなければ……」
お父さんの力のない声を聞いた僕は、書斎の部屋を黙って出たお父さんにただただ謝る声を出し続けるしかなかった。