婚約者の彼から彼女の替わりに嫁いでくれと言われた

クロユキ

文字の大きさ
53 / 174

両家の話し合い⑤

しおりを挟む
「……シャロン…」
フランシスは部屋の前に立ちシャロンの名前を呼んだ。
部屋の中が静かすぎる為フランシスはそっと扉を開き、部屋の奥で腰を落としてベッドの上に顔を埋めるシャロンの姿があった。
「……シャロン…」
「……う…」
震える背中を触るフランシスはシャロンの頭にキスをした。
「…フラン……ごめんなさい…」
「何故君が謝るんだ?僕が婚約破棄を迷ったばかりに…君に辛い思いをさせてしまった…ごめん」
「あなたが謝る事はないの…すべては、お父様の気まぐれでこんな事に…」
シャロンとフランシスはお互い話をして落ち着きを取り戻していた。
二人はベッドに背中を向け床に座り、寄り添うようにシャロンはフランシスの肩に頭を寄せていた。
「…あなたが、ご両親と一緒に来ていたなんて…驚いたわ」
「……両親に何もかも僕達の事を話したんだ…」
「えっ!?」
シャロンは驚きフランシスの顔を見たあと、下を向いていた。
「……だから、わたくしの両親に…あなたはお父様似なのね」
「そうかな?母さんに似ていると言われるけど」
「ふふっ」
フランシスとシャロンは少し話をするとまた黙ってしまった。
「……わたくし達…婚約できるかしら……」
「!!」
「お父様は、ブラッド君とわたくしの婚約を望んでいるみたいだから…ブラッド君が婚約者の方をお父様に紹介してくれたら…」
「……ブラッドって…ブラッド・リアンの事なのか?何故、君の父親がブラッドを知っているんだ?それに、君とブラッドが一緒にいてお似合いだとか……」
ぶっぶっと声に出したフランシスは、少し不機嫌な顔でシャロンに話していた。
「クスッ…そんな顔をしないでフラン、わたくしが愛しているのはフラン、あなただけよ。」
「!そ、それなら良い…でも、何故ブラッドなんだ?」
「お父様が旅先でカバンを盗まれて取り返してくれた騎士がブラッド君だったの」
「えっ!?あの騎士の話しはブラッド・リアンだったのか?」
「ええ、両親が隣街で偶然に彼と会ってお礼に屋敷へ招待したのそれだけの事なの…」
シャロンは隣に座るフランシスの手を握りしめると、フランシスは重ねていたシャロンの手の甲にキスをした後唇を重ねた。
「ん…はぁ…フラン……」
「……ん…シャロン……」
唇を重ね水の音を出し久しぶりのキスにフランシスとシャロンは興奮していた。
「はあ…君の中へ良いかな…」
「だ、駄目よ…フラン…お父様達が……」
フランシスの手がシャロンのドレスを触っていると、扉を叩く音が聞こえメイドの声が聞こえた。
「フランシス様!お時間になりました」
「……分かった…」
フランシスはため息を吐きシャロンはクスクスと笑っていた。
「時間てなあに?」
「君の父親が10分だけ話をして良いといったんだ」
「あら…10分過ぎてないかしら?」
「時間なんてどうでも良いよ。君と一緒なら」
「まあっ」
フランシスとシャロンは手を繋ぎ部屋を後にした。
「シャロン、ブラッドは今何処に住んでいるのか分かるかな?」
「そうね…確か巡回の仕事をしていると言っていたから、城内で聞けば分かるかもしれないわ」
「じ、巡回?城内って…ブラッドは城で働いているのか?」
「え、ええ…多分、どうしたの?フラン」
「あ、いや、なんでもない…」
フランシスは同じ年なのに自分はまだ騎士学校へ行き、ブラッドは騎士として働いているのを聞き、シャロンの父親がブラッドを気にかけている事に不満と自分を比べているように思え、客室へ向かう足が重く感じていた。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者と家族に裏切られたので小さな反撃をしたら、大変なことになったみたいです

柚木ゆず
恋愛
 コストール子爵令嬢マドゥレーヌ。彼女はある日、実父、継母、腹違いの妹、そして婚約者に裏切られ、コストール家を追放されることとなってしまいました。  ですがその際にマドゥレーヌが咄嗟に口にした『ある言葉』によって、マドゥレーヌが去ったあとのコストール家では大変なことが起きるのでした――。

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た! でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った

Mimi
恋愛
 声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。  わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。    今日まで身近だったふたりは。  今日から一番遠いふたりになった。    *****  伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。  徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。  シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。  お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……  * 無自覚の上から目線  * 幼馴染みという特別感  * 失くしてからの後悔   幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。 中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。 本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。 ご了承下さいませ。 他サイトにも公開中です

【完結】私を裏切った最愛の婚約者の幸せを願って身を引く事にしました。

Rohdea
恋愛
和平の為に、長年争いを繰り返していた国の王子と愛のない政略結婚する事になった王女シャロン。 休戦中とはいえ、かつて敵国同士だった王子と王女。 てっきり酷い扱いを受けるとばかり思っていたのに婚約者となった王子、エミリオは予想とは違いシャロンを温かく迎えてくれた。 互いを大切に想いどんどん仲を深めていく二人。 仲睦まじい二人の様子に誰もがこのまま、平和が訪れると信じていた。 しかし、そんなシャロンに待っていたのは祖国の裏切りと、愛する婚約者、エミリオの裏切りだった─── ※初投稿作『私を裏切った前世の婚約者と再会しました。』 の、主人公達の前世の物語となります。 こちらの話の中で語られていた二人の前世を掘り下げた話となります。 ❋注意❋ 二人の迎える結末に変更はありません。ご了承ください。

完結 貴族生活を棄てたら王子が追って来てメンドクサイ。

音爽(ネソウ)
恋愛
王子の婚約者になってから様々な嫌がらせを受けるようになった侯爵令嬢。 王子は助けてくれないし、母親と妹まで嫉妬を向ける始末。 貴族社会が嫌になった彼女は家出を決行した。 だが、有能がゆえに王子妃に選ばれた彼女は追われることに……

誰からも必要とされていないから出て行ったのに、どうして皆追いかけてくるんですか?

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢ミリーシャは、自身が誰からも必要とされていないことを悟った。 故に彼女は、家から出て行くことを決めた。新天地にて、ミリーシャは改めて人生をやり直そうと考えたのである。 しかし彼女の周囲の人々が、それを許さなかった。ミリーシャは気付いていなかったのだ。自身の存在の大きさを。

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

処理中です...