秘密の閨授業

うしお

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二日目リノ、妻役

3、僕らが通る道

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「……うわー、緊張するー」

「大丈夫ですよ。今日は、ぼくに任せてください」

緊張したリノが、その重圧に耐えきれなくなり弱音を吐くと、それを聞いた彼が外から声をかけてくれた。
すごく優しいのに、その声はとても頼もしく聞こえる。
こんな風に思えるのは、彼がすでにこの立場を経験した人であるからだろうか。
彼の声は、昨日よりもどこか凛々しく感じた。
そうでなければ、今日は彼が男性役だからそういう風に聞こえるのかもしれない。
どちらにせよ、彼を頼もしく感じられるということは、いまのリノにとって助けとなるだけで不都合なことではなかった。
むしろ、安心できるくらいだ。

「は、はい……!」

「それじゃあ、はじめようか」

軽い咳払いによる仕切り直しのあと、彼の凛々しい声が静かに始まりを告げる。
それだけで、もうリノの緊張は最高潮だ。
頭の中が真っ白になってしまいそうなほど緊張している。
けれど、どれだけ緊張して、頭の中を真っ白にされたとしても、リノには自分の役目を忘れることなどできない。
今日のリノは、これから初夜を迎える女性として、この体に男性を受け入れるのだから。

今夜、男性役を務める彼が凛々しくて頼もしい夫を演じるのならば、女性役を務めるリノは貞淑な妻でなくてはならない。
世の中の女性たちの多くは、そうであることを望まれて結婚するものだから。
自分が理想とする妻の姿を思い浮かべながら、リノは彼のために気持ちを切り替えて今夜の授業に挑むことにした。

この授業の一番の目的は、男性役を務める生徒が、初めての女性と閨でうまく性行為におよぶために必要な知識と技能を身につけることだ。
つまり、今夜の主役は男性役を務める彼だということ。
女性役のリノは、あくまでも擬似的な初夜の相手を務める脇役でしかない。
けれど、この授業には、二番目の目的も存在している。
それは、女性役の生徒が、初めて男性と肌を重ねることになる女性の気持ちを理解すること。
多くの女性は、初夜の交わりで男性を受け入れる際に、かなりの痛みを感じるのだという。
その大きさに個人差はあるとしても、普通に考えて小さな穴にそれよりも大きな棒を無理矢理捩じ込もうというのだから、痛みを感じて当然なのだ。
それを、授業という形で男たちの体と心に刻み込む。
挿入される側の気持ちと痛みを、経験させるのだ。
そして、実際に体験した男たちは、初めての女性が感じているだろう不安な気持ちや味わうことになるだろう耐えがたい痛みが、どれだけのものであるのかを思い知るだけでなく、相手のことをきちんと思いやるということがどんなに大事なことなのかということを、その身をもって覚えるのである。
いずれ妻となる女性に対して持つべき思いやりを、早い段階で夫となる男性たちの心に植え付け、本当の初夜までに少しずつ育てさせること。
それが、この授業が行われているもうひとつの目的だった。

「お、お願い、します……」

なんというか、いまのリノは、いつものおどおどしたリノに少し近いような気がする。
いろいろなことが不安で仕方がないのだ。
昨日のように、男らしく振る舞おうという気持ちが、すっかりしぼんでしまっている。
まるで、昨日の彼のようにおとなしい。
きっとこれが、この授業を受けるみんなが通る道なのだろう。
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