いっしょに遊ぼう

うしお

文字の大きさ
3 / 45

03、案内人

しおりを挟む
前を歩く案内人は、すいすいと進んで廊下の端まで行き、地下へと続く階段を降りはじめた。
おれは、それを少し不思議に思いながらも案内人に続いて階段を降りていく。
周りには誰もいない。
おれは、案内人に置いていかれないよう少しばかり早歩きになりながら、その背中を追って歩いた。
地下は、とても静かだ。
おれたち以外、ここには誰もいいないのではないかと思うほどに。
だが、案内人は止まらない。
迷うようなそぶりもなく、ただひたすらに歩いている。

案内人は、おれを連れたまま、地下に降りてからもかなり歩いた。
やがて、おれたちは廊下の一番端にある『特別ホール』と書かれたプレートがついたドアの前にたどり着く。
どうやらここが、おれたちのゴールらしい。

「あの……本当に、こんなところで、入学式をするんですか?」

思わず不安になりながら、あたりをきょろきょろと見回してみる。
やっぱりここには、おれたち以外、誰もいない。
目の前には、たしかにドアがあるのに、そこからも物音ひとつ聞こえてこなかった。
本当に、おれはこの人についてきてしまってよかったのだろうか。
もしかして――

「はい。そうです。ここでします」

「……え、あ」

にこやかな案内人に、肩をぽんっと叩かれて我にかえる。
何かを考えようとしたはずなのに、何を考えていたのか覚えていない。
おれはいま、何を考えていたんだっけ?

「とても特別な入学式ですので、他の方には秘密なんです。こちらの入学式は、そもそも参加される人数が少ないので、あまり大きな部屋でのご用意ができないのですが、その分、おもてなしには力を入れております。貴方はあの適性診断で選ばれた特別な方ですので、きっと気に入ってくださると思いますよ」

「そ、そうなんですか」

にこやかな案内人に誘われるまま、おれは部屋の中に足を踏み入れた。
部屋の中は何故だか少し薄暗く、人の気配をいくつか感じられるものの姿まではよく見えない。

「入学式は、あのステージの上で執り行います。どうぞ、こちらへ」

差し出された手に、おそるおそる手を重ねると、案内人はおれの手を優しく掴んで、そのままステージに向かって歩き出した。
大きなステージを前にして、心臓がどくどくと鼓動を加速させていく。
いきなりあんなステージの上に行くだなんて、といまさらながらに緊張してきた。

「そんなに緊張しなくていいですよ。ここにいるみなさまは、貴方のように特別な方がきてくれるのをずっと待っていた人たちですからね。とても優しく歓迎してくれると思いますよ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

守り守られ

ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師 患者 瀬咲朔 腸疾患・排泄障害・下肢不自由 看護師 ベテラン山添さん 準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん 木島 尚久 真幌の恋人同棲中

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

俺は触手の巣でママをしている!〜卵をいっぱい産んじゃうよ!〜

ミクリ21
BL
触手の巣で、触手達の卵を産卵する青年の話。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

処理中です...