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その首輪は誰のもの?
03、本日の業務
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巡回と称して立ち寄った朝市で、食料を買い込んだスヴェンたちは鍛錬場に戻ってきた。
もちろん、買い込んだと言っても、ふたりが荷物を手にぶら下げて帰ってきたわけではない。
購入した食料は、すべて詰所に届けられることになっている。
朝市では、新鮮な食材を扱う店が多い。
店を開いているのは、他国まで足をのばして貴重な香辛料を仕入れてくるような行商人もいるが、それはほんの一握りの話で、ほとんどは街の外からやってくる農民たちだ。
まだ太陽も上がらない真っ暗な時間帯から畑に出て、様々な作物を収穫してからルペースの街まで荷車を引いてやってくる。
ルペースのような街壁に囲まれた大きな街であっても、それをまかなうための広大な農地を、すべて内側に抱え込むことはできない。
そのため、ルペースの胃袋を支えるための広大な農地は、街の周囲にいくつもの農村を作ることで維持されている。
これがもっと厳しい土地の話であれば、隊商による大型輸送に頼るようなことになるのだろうが、幸いなことにルペースの街は温暖で水にも困らない豊かな土地だ。
むしろ、隊商を送り出し、大型輸送によって国内の別の街を助けている立場にあった。
当然のことながら、ルペースよりも生産に向いている街はいくつか存在しているが、輸送や販売能力も含める商業として見れば、ルペース以上の街はないのである。
そのおかげで、ルペースは商業都市としての立場を確実なものにしている。
作られている様々な作物は、ルペースを様々な意味で満たしてくれているのだ。
彼らが通る街道や彼らが住む農村を、安全に保つことも騎士団の仕事だ。
朝露がついたままの新鮮な野菜は、ルペースの街の安全と豊かさの象徴だった。
農村からやってくる住人が開く店は、朝市の時間帯のみの営業であることが多い。
あらかじめ注文をしておくことで、朝市が終わってから帰りがけに届けてもらえる仕組みだ。
騎士団の詰所は、市場のある通りから街門に向かう途中にあるため、寄ってもらうよう頼むのは難しくない。
それに、人々の脅威である魔獣を倒す騎士団という存在は、村人からも好評価だ。
スヴェンとハビエルの組み合わせを見て、おまけをしてくれるものまであった。
食堂の人間に声をかけ、食材が届く旨を告げると、スヴェンたちは本日の業務へと向かう。
届いた食材は、後ほどスヴェンたちに遅めの朝食として、提供されることだろう。
「来い、ハビエルっ!」
スヴェンたちの本日の業務は、鍛錬である。
右手で長剣を構えたスヴェンは、左手でこぶしを数回作ってからハビエルに向かって手のひらをかざした。
口の中でぶつぶつと小さく呪文を唱え、手首に巻いた魔術媒体に魔力を流す。
「スヴェンさん、ただの鍛錬にマジの魔術はきっついって!」
スヴェンの構えを見たハビエルは、二本の短剣を握り締め、風のような速さでスヴェンに向かって駆け出した。
左右に蛇行しながら虚偽を混ぜつつ、スヴェンに向かって駆けてくるハビエルは器用な男だ。
「お前ならこの程度の魔術、余裕で対処できるだろう! サボるなよ、ハビエル!」
スヴェンは、獰猛な笑みを浮かべながらハビエルに向かって魔術を放ち、すぐさま自分も駆け出した。
スヴェンは、鍛錬が好きだ。
ハビエルと組むようになってからは、特に。
そういう意味では、ハビエルと組めたことは幸運だ、とスヴェンは感じていた。
もちろん、買い込んだと言っても、ふたりが荷物を手にぶら下げて帰ってきたわけではない。
購入した食料は、すべて詰所に届けられることになっている。
朝市では、新鮮な食材を扱う店が多い。
店を開いているのは、他国まで足をのばして貴重な香辛料を仕入れてくるような行商人もいるが、それはほんの一握りの話で、ほとんどは街の外からやってくる農民たちだ。
まだ太陽も上がらない真っ暗な時間帯から畑に出て、様々な作物を収穫してからルペースの街まで荷車を引いてやってくる。
ルペースのような街壁に囲まれた大きな街であっても、それをまかなうための広大な農地を、すべて内側に抱え込むことはできない。
そのため、ルペースの胃袋を支えるための広大な農地は、街の周囲にいくつもの農村を作ることで維持されている。
これがもっと厳しい土地の話であれば、隊商による大型輸送に頼るようなことになるのだろうが、幸いなことにルペースの街は温暖で水にも困らない豊かな土地だ。
むしろ、隊商を送り出し、大型輸送によって国内の別の街を助けている立場にあった。
当然のことながら、ルペースよりも生産に向いている街はいくつか存在しているが、輸送や販売能力も含める商業として見れば、ルペース以上の街はないのである。
そのおかげで、ルペースは商業都市としての立場を確実なものにしている。
作られている様々な作物は、ルペースを様々な意味で満たしてくれているのだ。
彼らが通る街道や彼らが住む農村を、安全に保つことも騎士団の仕事だ。
朝露がついたままの新鮮な野菜は、ルペースの街の安全と豊かさの象徴だった。
農村からやってくる住人が開く店は、朝市の時間帯のみの営業であることが多い。
あらかじめ注文をしておくことで、朝市が終わってから帰りがけに届けてもらえる仕組みだ。
騎士団の詰所は、市場のある通りから街門に向かう途中にあるため、寄ってもらうよう頼むのは難しくない。
それに、人々の脅威である魔獣を倒す騎士団という存在は、村人からも好評価だ。
スヴェンとハビエルの組み合わせを見て、おまけをしてくれるものまであった。
食堂の人間に声をかけ、食材が届く旨を告げると、スヴェンたちは本日の業務へと向かう。
届いた食材は、後ほどスヴェンたちに遅めの朝食として、提供されることだろう。
「来い、ハビエルっ!」
スヴェンたちの本日の業務は、鍛錬である。
右手で長剣を構えたスヴェンは、左手でこぶしを数回作ってからハビエルに向かって手のひらをかざした。
口の中でぶつぶつと小さく呪文を唱え、手首に巻いた魔術媒体に魔力を流す。
「スヴェンさん、ただの鍛錬にマジの魔術はきっついって!」
スヴェンの構えを見たハビエルは、二本の短剣を握り締め、風のような速さでスヴェンに向かって駆け出した。
左右に蛇行しながら虚偽を混ぜつつ、スヴェンに向かって駆けてくるハビエルは器用な男だ。
「お前ならこの程度の魔術、余裕で対処できるだろう! サボるなよ、ハビエル!」
スヴェンは、獰猛な笑みを浮かべながらハビエルに向かって魔術を放ち、すぐさま自分も駆け出した。
スヴェンは、鍛錬が好きだ。
ハビエルと組むようになってからは、特に。
そういう意味では、ハビエルと組めたことは幸運だ、とスヴェンは感じていた。
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