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身代わり
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オリビアを部屋に送り届けたあと、僕とジルバート様はお父様が待っている執務室へと向かった。お父様に呼び出されるのは緊張する。マナーや勉強で失敗するといつも厳しく躾けをされていたから。今回は違うとわかっていても、怖くて身体が震えた。
執務室の扉をジルバート様がノックする。「入れ」と中から声が聞こえてきた。その声に促されるように二人で中に入る。
執務室へと足を踏み入れた僕達の方へと、仕事をしていたお父様が視線を向けてきた。オリビアの銀髪はお父様譲りで、昔はそれがすごく羨ましかったことをふと思い出す。
「よく来てくれたな。早速本題に入るが、レーヴェン国と交戦していた我が国の騎士団が帰還したことは知っているな」
「ええ、騎士団長のデューク・バトラー氏が敵国の将を討ち取ったことで終戦したと聞いています」
ジルバート様の返答に僕も頷く。
二週間ほど前に帰国した騎士団の話は有名だ。今も国中がその話で持ちきりだから。けれど、なぜお父様がその話を持ち出したのか理解できない。
「王様はデューク・バトラーの功を労うため、報奨として伯爵家の地位を与えた。同時に貴族出身者の中から花人の妻を娶らせることを約束したそうだ」
「……たしか彼は平民出身だったはずでは?いくら英雄とはいえ貴族はよく思わないでしょう」
「その通りだ。どの貴族も嫁がせることを拒否したため、元は商家だった我が家に白羽の矢が立ってしまった。そこでだ……」
ジルバート様に向けられていた視線が、僕の方へと流れてくる。緊張で微かに喉が鳴った。どうしてだか、やけに嫌な予感が脳内を過る。
「お前にデューク・バトラーの元に嫁いでほしいんだ。アルビー」
「ま、待ってください。僕はジルバート様 と婚約をしているんですよ!?」
お父様の言葉を上手く飲み込むことができず、慌てて反論してしまう。通例なら、婚約者のいないオリビアが嫁がなければならないはずだ。そう思い至った瞬間、自分の中でストンと腑に落ちる感覚がした。
「まさか……オリビアを行かせないためですか?」
「……そうだ。あの子は身体もよわく、世間知らずだ。それにどうやらジルバート君のことを好いているようだしな」
気づかないふりをしようとしていたことを、お父様に言い当てられて言葉が喉奥でつまる。
随分前からわかっていたことだった。見てみぬふりをしていれば、大好きな人と結婚して、行々は番になれると信じていたから今までやってこれただけだ。
それにきっとジルバート様も……
執務室の扉をジルバート様がノックする。「入れ」と中から声が聞こえてきた。その声に促されるように二人で中に入る。
執務室へと足を踏み入れた僕達の方へと、仕事をしていたお父様が視線を向けてきた。オリビアの銀髪はお父様譲りで、昔はそれがすごく羨ましかったことをふと思い出す。
「よく来てくれたな。早速本題に入るが、レーヴェン国と交戦していた我が国の騎士団が帰還したことは知っているな」
「ええ、騎士団長のデューク・バトラー氏が敵国の将を討ち取ったことで終戦したと聞いています」
ジルバート様の返答に僕も頷く。
二週間ほど前に帰国した騎士団の話は有名だ。今も国中がその話で持ちきりだから。けれど、なぜお父様がその話を持ち出したのか理解できない。
「王様はデューク・バトラーの功を労うため、報奨として伯爵家の地位を与えた。同時に貴族出身者の中から花人の妻を娶らせることを約束したそうだ」
「……たしか彼は平民出身だったはずでは?いくら英雄とはいえ貴族はよく思わないでしょう」
「その通りだ。どの貴族も嫁がせることを拒否したため、元は商家だった我が家に白羽の矢が立ってしまった。そこでだ……」
ジルバート様に向けられていた視線が、僕の方へと流れてくる。緊張で微かに喉が鳴った。どうしてだか、やけに嫌な予感が脳内を過る。
「お前にデューク・バトラーの元に嫁いでほしいんだ。アルビー」
「ま、待ってください。僕はジルバート様 と婚約をしているんですよ!?」
お父様の言葉を上手く飲み込むことができず、慌てて反論してしまう。通例なら、婚約者のいないオリビアが嫁がなければならないはずだ。そう思い至った瞬間、自分の中でストンと腑に落ちる感覚がした。
「まさか……オリビアを行かせないためですか?」
「……そうだ。あの子は身体もよわく、世間知らずだ。それにどうやらジルバート君のことを好いているようだしな」
気づかないふりをしようとしていたことを、お父様に言い当てられて言葉が喉奥でつまる。
随分前からわかっていたことだった。見てみぬふりをしていれば、大好きな人と結婚して、行々は番になれると信じていたから今までやってこれただけだ。
それにきっとジルバート様も……
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