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推しに舐められたんだけど!?
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誕生日パーティーから一週間程が経った。
あれから二人は一日も欠かさず同じ部屋で眠りについている。それに加えて、ノエルが闇の魔力を浄化するときにはネイトがノエルを抱きしめてくるようになった。その方が効果が上がる気がすると言われたものの、抱きしめられている方はそれどころはではない。
毎回羞恥心や照れで、全身が固まってしまう。
思い出したノエルは熱い顔を手で仰ぎながら、テーブルに置かれたアイスティーを一気飲みした。
「ちょっと外行ってくる!」
「行ってらっしゃいませ」
シルビィに見送られて部屋を出た。外に出て心を落ち着かせたい。向かう場所は特に決めていたわけではない。けれど、足は自然と薔薇園へと向かう。
あの場所でネイトとの距離がほんの少し近づいたのだ。
(あの黒猫も居るかもしれない)
ガゼボ近くにある噴水へと辿り着くと、縁に腰掛けて息を吐き出す。水飛沫が陽の光に反射して光の粒子を飛ばしている。
美しい光景に顔をほころばせたとき、薔薇の茂みの隙間から黒猫が現れた。
「にゃー」
「また会ったね。ふふ、おいで」
手を伸ばすと、プイッと顔を逸らされる。そんな反応すら可愛らしい。
ノエルの隣に来た黒猫が、視線を向けてくる。猫には珍しい赤い瞳をしていることに気が付いた。ネイトの瞳を彷彿とさせる。
「お前は俺の旦那様にそっくりだね」
「フニャ」
ノエルの言葉に、黒猫が不服そうに一鳴きする。まるで言葉が通じているかのようだ。不思議に思いながら、黒猫へと手を伸ばす。
「ここに居たのか」
そのときネイトが庭園の奥から歩いてきて手を止めた。
ネイトに気が付いた黒猫が、噴水の縁から飛び降りて駆け出す。あっという間に茂みの中へと消えてしまった背を見つめながら、ノエルは残念そうに眉を垂れさせた。
「行っちゃった」
「……前に見たと言っていた黒猫か?」
「うん。少し気難しい子みたい」
「……そうか」
ネイトは黒猫が去っていった茂みをずっと睨みつけている。不思議に思い尋ねるも「気のせいだろう」と流されてしまった。
なにが気のせいなのかもわからず、それ以上尋ねることを止める。
「どうしてここに居るの?」
話題を変えるように聞くと、ネイトがノエルへと顔を向けてくれた。その瞳はとても穏やかだ。
「部屋に行ったら散歩に行ったと聞かされた。薔薇園の気がして追いかけてきたんだ」
「俺に用事?」
「ただ話したくなったんだ」
甘い顔で微笑まれて、頬がむず痒くなる。緩んでしまいそうな口角を必死に押さえつけながら、視線を薔薇へと向けた。
「も、もうすぐ季節が変わるのにまだ薔薇が咲いてるなんて凄いよねっ」
「魔法がかけられているんだ。一年中枯れることはない」
「へぇ~!だからこんなにも綺麗なのかな」
薔薇に触れようと手を伸ばす。慌てすぎていたのか、鋭く尖った棘に指が触れてしまい痛みに手を引っ込める。
じわりと微かに血が滲み出ている。大した傷ではない。
「怪我をしたのか?」
それなのに、ネイトがやけに心配そうにノエルの顔を覗き込んできて心臓が跳ねた。手を取られると、怪我した指先を唇で食まれる。
慌てるノエルを他所に、ネイトは真剣そのものだ。
「ネイトっ、ぁ……」
唇の柔らかさを直に感じてしまい、微かに声が漏れる。紅薔薇のように頬を紅で染めたノエルは、瞳を潤ませながらネイトのことを見つめていた。
指を唇から解放されると、慌てて引っ込める。
艶と色気を含むオッドアイがノエルを捕らえて離してくれない。
「気をつけろ」
「っ、ば、ばかッ」
「……フッ、あぁ。私はお前におかしくさせられている」
頭にキスをされて、ノエルは猫のように飛び跳ねた。
距離を取ると、愉快そうに反応を楽しんでいるネイトを見つめる。からかわれていることはわかっていても、そのことに対して文句を言う気にもならない。
ただ、ネイトがこんな風にかまってくることに疑問ばかりが浮かんでくる。
もしかしたら彼も……。
そんな淡い期待を抱きそうになっては、エアリスや正ヒロインのことを思い出して思考を止める。どうやったってノエルはネイトの一番にはなれない。この世界にゲームの強制力が働くのだとしたら、いつかきっとノエルはネイトと離れなければならない日が来るだろう。
あれから二人は一日も欠かさず同じ部屋で眠りについている。それに加えて、ノエルが闇の魔力を浄化するときにはネイトがノエルを抱きしめてくるようになった。その方が効果が上がる気がすると言われたものの、抱きしめられている方はそれどころはではない。
毎回羞恥心や照れで、全身が固まってしまう。
思い出したノエルは熱い顔を手で仰ぎながら、テーブルに置かれたアイスティーを一気飲みした。
「ちょっと外行ってくる!」
「行ってらっしゃいませ」
シルビィに見送られて部屋を出た。外に出て心を落ち着かせたい。向かう場所は特に決めていたわけではない。けれど、足は自然と薔薇園へと向かう。
あの場所でネイトとの距離がほんの少し近づいたのだ。
(あの黒猫も居るかもしれない)
ガゼボ近くにある噴水へと辿り着くと、縁に腰掛けて息を吐き出す。水飛沫が陽の光に反射して光の粒子を飛ばしている。
美しい光景に顔をほころばせたとき、薔薇の茂みの隙間から黒猫が現れた。
「にゃー」
「また会ったね。ふふ、おいで」
手を伸ばすと、プイッと顔を逸らされる。そんな反応すら可愛らしい。
ノエルの隣に来た黒猫が、視線を向けてくる。猫には珍しい赤い瞳をしていることに気が付いた。ネイトの瞳を彷彿とさせる。
「お前は俺の旦那様にそっくりだね」
「フニャ」
ノエルの言葉に、黒猫が不服そうに一鳴きする。まるで言葉が通じているかのようだ。不思議に思いながら、黒猫へと手を伸ばす。
「ここに居たのか」
そのときネイトが庭園の奥から歩いてきて手を止めた。
ネイトに気が付いた黒猫が、噴水の縁から飛び降りて駆け出す。あっという間に茂みの中へと消えてしまった背を見つめながら、ノエルは残念そうに眉を垂れさせた。
「行っちゃった」
「……前に見たと言っていた黒猫か?」
「うん。少し気難しい子みたい」
「……そうか」
ネイトは黒猫が去っていった茂みをずっと睨みつけている。不思議に思い尋ねるも「気のせいだろう」と流されてしまった。
なにが気のせいなのかもわからず、それ以上尋ねることを止める。
「どうしてここに居るの?」
話題を変えるように聞くと、ネイトがノエルへと顔を向けてくれた。その瞳はとても穏やかだ。
「部屋に行ったら散歩に行ったと聞かされた。薔薇園の気がして追いかけてきたんだ」
「俺に用事?」
「ただ話したくなったんだ」
甘い顔で微笑まれて、頬がむず痒くなる。緩んでしまいそうな口角を必死に押さえつけながら、視線を薔薇へと向けた。
「も、もうすぐ季節が変わるのにまだ薔薇が咲いてるなんて凄いよねっ」
「魔法がかけられているんだ。一年中枯れることはない」
「へぇ~!だからこんなにも綺麗なのかな」
薔薇に触れようと手を伸ばす。慌てすぎていたのか、鋭く尖った棘に指が触れてしまい痛みに手を引っ込める。
じわりと微かに血が滲み出ている。大した傷ではない。
「怪我をしたのか?」
それなのに、ネイトがやけに心配そうにノエルの顔を覗き込んできて心臓が跳ねた。手を取られると、怪我した指先を唇で食まれる。
慌てるノエルを他所に、ネイトは真剣そのものだ。
「ネイトっ、ぁ……」
唇の柔らかさを直に感じてしまい、微かに声が漏れる。紅薔薇のように頬を紅で染めたノエルは、瞳を潤ませながらネイトのことを見つめていた。
指を唇から解放されると、慌てて引っ込める。
艶と色気を含むオッドアイがノエルを捕らえて離してくれない。
「気をつけろ」
「っ、ば、ばかッ」
「……フッ、あぁ。私はお前におかしくさせられている」
頭にキスをされて、ノエルは猫のように飛び跳ねた。
距離を取ると、愉快そうに反応を楽しんでいるネイトを見つめる。からかわれていることはわかっていても、そのことに対して文句を言う気にもならない。
ただ、ネイトがこんな風にかまってくることに疑問ばかりが浮かんでくる。
もしかしたら彼も……。
そんな淡い期待を抱きそうになっては、エアリスや正ヒロインのことを思い出して思考を止める。どうやったってノエルはネイトの一番にはなれない。この世界にゲームの強制力が働くのだとしたら、いつかきっとノエルはネイトと離れなければならない日が来るだろう。
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