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推しに隠し事はしたくない
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「ノエルは感情が顔に出やす。怒っていたかと思えば笑顔になっていたりする。今はなぜな泣きそうだ」
目尻を親指の腹で撫でられる。視界が潤みそうになるのを堪えながら、手に擦り寄るように目を細めた。
「どうしてこんな風に接してくれるのかわからないんだ……」
ネイトの中には別の誰かが居るはずなのに、優しすぎて期待してしまう。
ゲームをしていた頃は、あんなにもネイトとエアリスの幸せを願っていたはずなのに、今はそんな気持ちにもなれない。
「どれだけ美しい赤薔薇であったとしても、私には皆同じに見える」
言いながら、ネイトが赤薔薇を一本手折った。それから優しく息を吹きかける。瞬間、薔薇がネイトの輝く魔力を身に纏い真っ白な薔薇へと変化した。
「私にとってのノエルはこの白薔薇だ。お前の言葉では推しと言うのだったな」
「……俺がネイトの推し?」
「ああ、そうだ」
信じられず、どう言葉を返せばいいのか迷ってしまう。
困惑の色を宿しながら視線を彷徨わせていると、ネイトが頬に手を添えてきた。
「私のことを見ろ」
「ネイト……俺は……」
きっとネイトとノエルの思う推しの意味は違う。
ノエルにとってネイトは、ただの推しではなくなってしまっているから。けれど、その気持ちを伝えることはできない。
ゲームで決められたシナリオを壊してしまうことが許されることなのかもわからないうえに、ノエルはすでにシナリオを大幅に変えてしまっている。本当ならばネイトもノエルは出会うことはなかったのだから。
「いいから私のことを見ていろ」
「ん……ぁ……」
優しく唇を奪われる。事故でキスをしたときとは違う。形のいい唇が、ノエルの下唇を食む。舌先で突かれて口を開けると、肉厚な舌が潜り込んできた。
薄く目を開けると、オッドアイが真っ直ぐにノエルのことを見つめていることに気が付く。それが今はどうしようもなく嬉しいのに、切なくもある。目の前のシャツにしがみつき、必死にキスへ応えた。
気持ちが膨れ上がっていく。駄目だとわかっていても、自分がネイトを幸せにしてあげたいと願ってしまう。それは目を逸らしようもない愛だった。
「ネイトッ……ネイト……」
「もっと名前を呼んでくれ」
いつの間にか臆病になっていた。気持ちを伝えたらネイトの幸せを壊してしまう気がしたから。決められたストーリー通りに進むことがネイトにとって一番なのだと……。
けれど、今ノエルを求めてくれるネイトの表情は穏やかで温かい。
前世ではネイトを選ばないエアリスに憤怒し、ストーリーから外れることを願っていた程だったのに、いつからこんなにも枠からはみ出ることに戸惑うようになったのだろうか。
──夫夫は隠し事をしないって約束していたのに、俺は秘密ばかり抱えてる。
罪悪感と共に、打ち明けたいという気持ちが湧いてきた。
前世のことを話したら困惑させてしまうかもしれない。それでもネイトなら信じてくれると確信できる。だから、ノエルはようやくストーリーに背く覚悟を決めた。
「屋敷に戻ったら聞いてほしいことがあるんだ」
「お前が泣きそうな顔をすることと関係があるのか?」
頷くと、クシャリと髪を撫でられる。そんなことをされてしまうと、本当に泣いてしまいそうだ。
「聞かせてほしい」
「っ……ありがとう」
思い切りネイトの腕の中に飛び込むと、笑みを零す音が鼓膜を揺らした。抱き寄せられて、ノエルも微笑みを浮かべる。
ネイトの腕の中は微睡みに誘われてしまいそうな程に温かくて、心地いい。
目尻を親指の腹で撫でられる。視界が潤みそうになるのを堪えながら、手に擦り寄るように目を細めた。
「どうしてこんな風に接してくれるのかわからないんだ……」
ネイトの中には別の誰かが居るはずなのに、優しすぎて期待してしまう。
ゲームをしていた頃は、あんなにもネイトとエアリスの幸せを願っていたはずなのに、今はそんな気持ちにもなれない。
「どれだけ美しい赤薔薇であったとしても、私には皆同じに見える」
言いながら、ネイトが赤薔薇を一本手折った。それから優しく息を吹きかける。瞬間、薔薇がネイトの輝く魔力を身に纏い真っ白な薔薇へと変化した。
「私にとってのノエルはこの白薔薇だ。お前の言葉では推しと言うのだったな」
「……俺がネイトの推し?」
「ああ、そうだ」
信じられず、どう言葉を返せばいいのか迷ってしまう。
困惑の色を宿しながら視線を彷徨わせていると、ネイトが頬に手を添えてきた。
「私のことを見ろ」
「ネイト……俺は……」
きっとネイトとノエルの思う推しの意味は違う。
ノエルにとってネイトは、ただの推しではなくなってしまっているから。けれど、その気持ちを伝えることはできない。
ゲームで決められたシナリオを壊してしまうことが許されることなのかもわからないうえに、ノエルはすでにシナリオを大幅に変えてしまっている。本当ならばネイトもノエルは出会うことはなかったのだから。
「いいから私のことを見ていろ」
「ん……ぁ……」
優しく唇を奪われる。事故でキスをしたときとは違う。形のいい唇が、ノエルの下唇を食む。舌先で突かれて口を開けると、肉厚な舌が潜り込んできた。
薄く目を開けると、オッドアイが真っ直ぐにノエルのことを見つめていることに気が付く。それが今はどうしようもなく嬉しいのに、切なくもある。目の前のシャツにしがみつき、必死にキスへ応えた。
気持ちが膨れ上がっていく。駄目だとわかっていても、自分がネイトを幸せにしてあげたいと願ってしまう。それは目を逸らしようもない愛だった。
「ネイトッ……ネイト……」
「もっと名前を呼んでくれ」
いつの間にか臆病になっていた。気持ちを伝えたらネイトの幸せを壊してしまう気がしたから。決められたストーリー通りに進むことがネイトにとって一番なのだと……。
けれど、今ノエルを求めてくれるネイトの表情は穏やかで温かい。
前世ではネイトを選ばないエアリスに憤怒し、ストーリーから外れることを願っていた程だったのに、いつからこんなにも枠からはみ出ることに戸惑うようになったのだろうか。
──夫夫は隠し事をしないって約束していたのに、俺は秘密ばかり抱えてる。
罪悪感と共に、打ち明けたいという気持ちが湧いてきた。
前世のことを話したら困惑させてしまうかもしれない。それでもネイトなら信じてくれると確信できる。だから、ノエルはようやくストーリーに背く覚悟を決めた。
「屋敷に戻ったら聞いてほしいことがあるんだ」
「お前が泣きそうな顔をすることと関係があるのか?」
頷くと、クシャリと髪を撫でられる。そんなことをされてしまうと、本当に泣いてしまいそうだ。
「聞かせてほしい」
「っ……ありがとう」
思い切りネイトの腕の中に飛び込むと、笑みを零す音が鼓膜を揺らした。抱き寄せられて、ノエルも微笑みを浮かべる。
ネイトの腕の中は微睡みに誘われてしまいそうな程に温かくて、心地いい。
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