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推しの光になれているなら本望です
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桃色や黄色、美しい彩りの花弁が街の中を吹く風に乗って飛んでいく。同時に香ってくる花々の甘い匂いに包まれながら、ノエルは大きく深呼吸をした。
「すっごく綺麗だね!」
今日は花祭り当日。花の咲き誇る街中で満開の笑顔を浮かべながら両手を広げる。
振り返った先には長い黒髪をなびかせたネイトがいる。
「そうだな」
今日はお忍びではなく、伯爵家の当主として参加している。そのため黒色の正装に身を包んでいるネイトはすごく目立っている。ノエルも紺色のジャケットにブリチーズ。ホワイトシャツにジャボを身につけている。
二人が通ると街人達が挨拶をしてくれたり、一輪花を手渡してくれる。それを受け取りながら街の中央にある噴水広場に着く頃には、荷物持ちをしてくれていたねネイトの腕には大量の花々が抱えられていた。
「ふふ、すごく可愛い」
花を抱えているネイトはいつもの凛々しさが薄れているぶん柔らかい雰囲気でとても可愛らしい。そのギャップにノエルの心臓ははちきれそうだ。
(推しと花束のコラボとか最高すぎるよ!!)
内心で興奮しながらネイトの姿を目に焼き付けた。
二人で噴水まで近づくと縁に腰掛ける。中央から見渡す街並みは花々と人々の笑顔に彩られて賑わっている。初めての運営で苦労することも多かった。
警備の手配や、屋台の設置。伯爵家からも大量の花を用意したため予算組みもネイト共に何度も話し合った。そのおかげで花祭りを無事に迎えられたのだから、今日はめいいっぱい楽しみたい。
「俺に沢山素敵な日常を与えてくれてありがとう」
「突然なにを言いだすんだ?」
「この世界に来てすぐの頃ネイトと結婚して、いろんなことがあったでしょう。喧嘩もしたよね。それが全部俺にとっては大切な宝物で、これからも俺の中にその宝物は増えていくんだなって。それってすごく素敵でわくわくしちゃうなって、この景色を見ていたら思えたんだ。全部ネイトのおかげだよ」
気恥ずかしくなってはにかむと、ネイトがくしゃりと顔を歪めながら心底嬉しそうに笑ってくれた。
そのすごく珍しい表情に釘付けになってしまう。
「私はずっと孤独でいいと思っていた。けれどノエルと出会ってから孤独が怖くなった。弱くなったのかもしれない……」
そう言いながら腕に抱えていた花の中から一輪をとってノエルの耳に挿した。真っ白な薔薇がノエルの耳元で咲き誇っている。
「俺は弱くなったんじゃないと思うな。きっとネイトは逆に強くなったんだと思う。一人は寂しいけれど楽でもあるでしょう。自分さえ我慢していればいいって……。でもそこから一歩前へ踏み出して人ともう一度関わろうって勇気を出したネイトは本当にすごいよ」
「っ……そう言ってくれるのはお前くらいだ」
「そんなことないよ。エアリスやフェイブル様だってネイトが気持ちを曝け出してくれるのを待っていると思う。俺はね、沢山の人と関わって幸せになっていくネイトの姿を見られることが嬉しいんだ」
「……ノエルのことをいますぐに抱きしめたい」
返事をする前に強く抱きしめられた。
微かにネイトの手が震えている。
ずっとエアリスの話題は振らないように気をつけてきた。けれどいまはあえてその話題に触れたのは、きっといまのネイトならノエルの気持ちをわかってくれると感じたからだ。
長い間ネイトは気持ちを隠してきた。愛する人と親友の逢瀬を手助けし、結婚を祝福した。きっと沢山伝えたいことや話したいことがあったはずだ。
ゲーム画面に表示される台詞だけではわからないネイトの複雑な気持ちを、もっとさらけ出して欲しい。
「ノエル。お前は本当にすごい。ノエルの前では私のすべてを曝け出してしまいたくなる。私の未来を輝かせてくれたのは間違いなくノエルだ」
「ヘヘ、大袈裟だよ」
「大袈裟だと思われてもかまわない。私にとっての光はノエルただ一人だ」
「っ……うん。ありがとう」
ネイトは真剣だ。それは必死さを滲ませる声音ですぐにわかった。
冗談でも大袈裟でもない。
ネイトの真っ直ぐな心に包み込まれて、ノエルは少しだけ泣きそうになった。推しを幸せにしたいと躍起になってきたというのに、自分が幸せにしてもらっている。
その事実が嬉しくてたまらない。
「すっごく綺麗だね!」
今日は花祭り当日。花の咲き誇る街中で満開の笑顔を浮かべながら両手を広げる。
振り返った先には長い黒髪をなびかせたネイトがいる。
「そうだな」
今日はお忍びではなく、伯爵家の当主として参加している。そのため黒色の正装に身を包んでいるネイトはすごく目立っている。ノエルも紺色のジャケットにブリチーズ。ホワイトシャツにジャボを身につけている。
二人が通ると街人達が挨拶をしてくれたり、一輪花を手渡してくれる。それを受け取りながら街の中央にある噴水広場に着く頃には、荷物持ちをしてくれていたねネイトの腕には大量の花々が抱えられていた。
「ふふ、すごく可愛い」
花を抱えているネイトはいつもの凛々しさが薄れているぶん柔らかい雰囲気でとても可愛らしい。そのギャップにノエルの心臓ははちきれそうだ。
(推しと花束のコラボとか最高すぎるよ!!)
内心で興奮しながらネイトの姿を目に焼き付けた。
二人で噴水まで近づくと縁に腰掛ける。中央から見渡す街並みは花々と人々の笑顔に彩られて賑わっている。初めての運営で苦労することも多かった。
警備の手配や、屋台の設置。伯爵家からも大量の花を用意したため予算組みもネイト共に何度も話し合った。そのおかげで花祭りを無事に迎えられたのだから、今日はめいいっぱい楽しみたい。
「俺に沢山素敵な日常を与えてくれてありがとう」
「突然なにを言いだすんだ?」
「この世界に来てすぐの頃ネイトと結婚して、いろんなことがあったでしょう。喧嘩もしたよね。それが全部俺にとっては大切な宝物で、これからも俺の中にその宝物は増えていくんだなって。それってすごく素敵でわくわくしちゃうなって、この景色を見ていたら思えたんだ。全部ネイトのおかげだよ」
気恥ずかしくなってはにかむと、ネイトがくしゃりと顔を歪めながら心底嬉しそうに笑ってくれた。
そのすごく珍しい表情に釘付けになってしまう。
「私はずっと孤独でいいと思っていた。けれどノエルと出会ってから孤独が怖くなった。弱くなったのかもしれない……」
そう言いながら腕に抱えていた花の中から一輪をとってノエルの耳に挿した。真っ白な薔薇がノエルの耳元で咲き誇っている。
「俺は弱くなったんじゃないと思うな。きっとネイトは逆に強くなったんだと思う。一人は寂しいけれど楽でもあるでしょう。自分さえ我慢していればいいって……。でもそこから一歩前へ踏み出して人ともう一度関わろうって勇気を出したネイトは本当にすごいよ」
「っ……そう言ってくれるのはお前くらいだ」
「そんなことないよ。エアリスやフェイブル様だってネイトが気持ちを曝け出してくれるのを待っていると思う。俺はね、沢山の人と関わって幸せになっていくネイトの姿を見られることが嬉しいんだ」
「……ノエルのことをいますぐに抱きしめたい」
返事をする前に強く抱きしめられた。
微かにネイトの手が震えている。
ずっとエアリスの話題は振らないように気をつけてきた。けれどいまはあえてその話題に触れたのは、きっといまのネイトならノエルの気持ちをわかってくれると感じたからだ。
長い間ネイトは気持ちを隠してきた。愛する人と親友の逢瀬を手助けし、結婚を祝福した。きっと沢山伝えたいことや話したいことがあったはずだ。
ゲーム画面に表示される台詞だけではわからないネイトの複雑な気持ちを、もっとさらけ出して欲しい。
「ノエル。お前は本当にすごい。ノエルの前では私のすべてを曝け出してしまいたくなる。私の未来を輝かせてくれたのは間違いなくノエルだ」
「ヘヘ、大袈裟だよ」
「大袈裟だと思われてもかまわない。私にとっての光はノエルただ一人だ」
「っ……うん。ありがとう」
ネイトは真剣だ。それは必死さを滲ませる声音ですぐにわかった。
冗談でも大袈裟でもない。
ネイトの真っ直ぐな心に包み込まれて、ノエルは少しだけ泣きそうになった。推しを幸せにしたいと躍起になってきたというのに、自分が幸せにしてもらっている。
その事実が嬉しくてたまらない。
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