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推しになら俺の全部をあげちゃうよ
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夜になると街全体がライトアップされて、美しい星空の下に花々が輝き始める。
日本で見たイルミネーションもきれいだったけれど、同じくらい幻想的で綺麗だ。
「まるで地上に星が舞い降りてきたみたい」
つぶやくと、ネイトが静かに笑みを深めてくれた。返事などなくてもかまわない。
こうして二人ですごく特別な時間が愛おしくてたまらなかった。
いつも一緒に過ごしているけれど、いまはいつもとは違う特別感に浸ってしまう。
建物群を少し離れると小さな花畑のある場所に辿り着いた。上を見上げれば満天の星空が広がり、周りには花々が咲き誇っている。
「私は視野の狭い人間だ」
花畑の中央付近に立ち止まるとネイトが口を開いた。
「愛に溺れる愚か者だったために前しか見たことがなかった。幼い頃から自身の力や境遇について悩まされることは多かった。そんな私にエアリスが与えてくれた言葉や行動が神のお告げのようにすら感じられた。彼のためなら命を賭してもかまわなかった」
「……うん」
ノエルはネイトの言葉の重みがよくわかる。
いつだってエアリスを守るためだけに行動していたネイトにとって、エアリスは恋愛対象以上の存在だったはずだ。
どれだけ求めても手に入らない。それなのに求めてしまう。だから諦めなければならない日が来るまで止まれなかった。
「しかし、エアリスは私の孤独を癒やしてくれたわけでも、私に本当の意味で寄り添ってくれたわけでもない。私がそういう幻想や願望をエアリスに押し付けていただけだ。ノエル……、私のことを本当の意味で救い出してくれたのはノエルだ。愚か者に前を向いて生きていくということの本当の意味を教えてくれた」
「大袈裟だよ」
ネイトのために行動するのは下心があるからだ。自分にとって大切で、輝いていて、素敵な彼に笑っていてほしい。幸せになってほしい。そう思ってしまう下心とエゴをネイトが受け止めてくれた。
だからこの瞬間が存在している。手を取り合って話をできている。
「大袈裟ではない。ノエルと一緒なら私は苦しみを感じない。未来を描こうと思える」
「俺はそんなにすごい人間じゃないよ。大好きな人が幸せだって思ってくれたら俺も幸せなんだ。でもね他の人と掴む幸せじゃなくて、俺と一緒に幸せを掴んでほしいって思っちゃう。俺はネイトに出会って欲深い人間になったんだよ」
ノエルはあまり物に執着したことがない。物欲もなく、セイントナイト以外にお金をかけることもなかった。だから自分がこんなにもネイトに執着してしまうことが驚きでもあり怖くなるときもある。
「ノエルが欲深いのならば、私は強欲だ。ノエルの夕焼け色の瞳も、可愛らしく話しかけてくれる唇も、髪の一本、爪の先、体液ですら、他の者に触れさせたくなどない。すべて私だけのものにしておきたいと思っているのだから」
腰を抱き寄せられて距離がなくなった。
顔を上げると、ふやけるように甘い表情を浮かべたネイトと目が合う。
「私にすべてを捧げる覚悟をしておけ。私は重いぞ」
「っ、そんなのとっくの昔にできてるよ」
勢い良くネイトに抱きついて後ろへ倒れる。
花畑の中に横たわり、上に覆いかぶさるようになっているネイトの唇に自分から軽いキスをした。
彼の手のひらに頬をすり寄せて甘える仕草をする。
「俺ね、ネイトのことずっとずっと大好き。この世界に来てもっとネイトのことが大好きになったんだ」
好きな人しか懐に入れない冷たさは、逆を返せば大切な人だけを見つめ続けられる温かさの現れだ。一途で不器用で、格好良くて──
いいところをあげればキリがない。
ネイト・フローレスという存在そのものがノエルの心を揺さぶり続ける。きっとそれはおじいちゃんになっても変わらない。
「愛してるよ。だから俺がネイトのことを幸せにするから」
「っ……馬鹿者。それは私の台詞だろう……」
顔を歪めたネイトがノエルを抱きしめてきた。ネイトか顔をノエルの首元に埋めるとき頬を涙が流れていくのが見えた気がした。ネイトが震えているのがわかる。そんな彼の背をさすりながらノエルは笑みを深めた。
「ノエルに娶られるのも悪くない」
「フッ、すっごく大切にするよ」
震える声で冗談をいうネイトにノエルも笑いながら言葉を返した。
こうやって軽口を言い合って、気持ちをさらけ出しあいながら過ごしていきたい。だってそれが夫夫だと思うから。
ネイトとなら永遠を誓いあえる。
ノエルは流れる星に願いを込めた。
──ずっとネイトと手を取り合って幸せを掴みながら過ごしていけますように。
その願いは必ず叶うはずだと、ノエルは根拠もなく確信していた。
日本で見たイルミネーションもきれいだったけれど、同じくらい幻想的で綺麗だ。
「まるで地上に星が舞い降りてきたみたい」
つぶやくと、ネイトが静かに笑みを深めてくれた。返事などなくてもかまわない。
こうして二人ですごく特別な時間が愛おしくてたまらなかった。
いつも一緒に過ごしているけれど、いまはいつもとは違う特別感に浸ってしまう。
建物群を少し離れると小さな花畑のある場所に辿り着いた。上を見上げれば満天の星空が広がり、周りには花々が咲き誇っている。
「私は視野の狭い人間だ」
花畑の中央付近に立ち止まるとネイトが口を開いた。
「愛に溺れる愚か者だったために前しか見たことがなかった。幼い頃から自身の力や境遇について悩まされることは多かった。そんな私にエアリスが与えてくれた言葉や行動が神のお告げのようにすら感じられた。彼のためなら命を賭してもかまわなかった」
「……うん」
ノエルはネイトの言葉の重みがよくわかる。
いつだってエアリスを守るためだけに行動していたネイトにとって、エアリスは恋愛対象以上の存在だったはずだ。
どれだけ求めても手に入らない。それなのに求めてしまう。だから諦めなければならない日が来るまで止まれなかった。
「しかし、エアリスは私の孤独を癒やしてくれたわけでも、私に本当の意味で寄り添ってくれたわけでもない。私がそういう幻想や願望をエアリスに押し付けていただけだ。ノエル……、私のことを本当の意味で救い出してくれたのはノエルだ。愚か者に前を向いて生きていくということの本当の意味を教えてくれた」
「大袈裟だよ」
ネイトのために行動するのは下心があるからだ。自分にとって大切で、輝いていて、素敵な彼に笑っていてほしい。幸せになってほしい。そう思ってしまう下心とエゴをネイトが受け止めてくれた。
だからこの瞬間が存在している。手を取り合って話をできている。
「大袈裟ではない。ノエルと一緒なら私は苦しみを感じない。未来を描こうと思える」
「俺はそんなにすごい人間じゃないよ。大好きな人が幸せだって思ってくれたら俺も幸せなんだ。でもね他の人と掴む幸せじゃなくて、俺と一緒に幸せを掴んでほしいって思っちゃう。俺はネイトに出会って欲深い人間になったんだよ」
ノエルはあまり物に執着したことがない。物欲もなく、セイントナイト以外にお金をかけることもなかった。だから自分がこんなにもネイトに執着してしまうことが驚きでもあり怖くなるときもある。
「ノエルが欲深いのならば、私は強欲だ。ノエルの夕焼け色の瞳も、可愛らしく話しかけてくれる唇も、髪の一本、爪の先、体液ですら、他の者に触れさせたくなどない。すべて私だけのものにしておきたいと思っているのだから」
腰を抱き寄せられて距離がなくなった。
顔を上げると、ふやけるように甘い表情を浮かべたネイトと目が合う。
「私にすべてを捧げる覚悟をしておけ。私は重いぞ」
「っ、そんなのとっくの昔にできてるよ」
勢い良くネイトに抱きついて後ろへ倒れる。
花畑の中に横たわり、上に覆いかぶさるようになっているネイトの唇に自分から軽いキスをした。
彼の手のひらに頬をすり寄せて甘える仕草をする。
「俺ね、ネイトのことずっとずっと大好き。この世界に来てもっとネイトのことが大好きになったんだ」
好きな人しか懐に入れない冷たさは、逆を返せば大切な人だけを見つめ続けられる温かさの現れだ。一途で不器用で、格好良くて──
いいところをあげればキリがない。
ネイト・フローレスという存在そのものがノエルの心を揺さぶり続ける。きっとそれはおじいちゃんになっても変わらない。
「愛してるよ。だから俺がネイトのことを幸せにするから」
「っ……馬鹿者。それは私の台詞だろう……」
顔を歪めたネイトがノエルを抱きしめてきた。ネイトか顔をノエルの首元に埋めるとき頬を涙が流れていくのが見えた気がした。ネイトが震えているのがわかる。そんな彼の背をさすりながらノエルは笑みを深めた。
「ノエルに娶られるのも悪くない」
「フッ、すっごく大切にするよ」
震える声で冗談をいうネイトにノエルも笑いながら言葉を返した。
こうやって軽口を言い合って、気持ちをさらけ出しあいながら過ごしていきたい。だってそれが夫夫だと思うから。
ネイトとなら永遠を誓いあえる。
ノエルは流れる星に願いを込めた。
──ずっとネイトと手を取り合って幸せを掴みながら過ごしていけますように。
その願いは必ず叶うはずだと、ノエルは根拠もなく確信していた。
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