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推しの無事を祈ります
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七日が経った頃、ネイトとノエルは滞在のために、再び馬車に揺られてエアリス達の屋敷を訪れた。
彩の整えられた豪華なディナーや広々とした美しい寝室など、盛大にもてなされすぎて申し訳なく感じた。
「二人が来てくれたから賑やかになってとても嬉しいな」
屋敷に来てから三日程が経った頃、一緒にアフタヌーンティーを楽しんでいたノエルにエアリスがそう言ってくれた。
「俺もとても良くしてもらっていて、本当に夢みたいだよ」
平和すぎて怖いくらいだ。
エアリスとフェイブルがイチャついている場面も間近で目にすることができるため、天国にでも来たかのような心境だった。
「ネイトはまた仕事?」
「そうみたい。伯爵家に居なくても仕事を放り出すことはできないって。そういうところが真面目で格好いいと思う。ただ……」
少し不安でもある。魔王化の進行が進んできていることもあるけれど、不安を感じたときに仕事をしてしまう癖があるため、見ているこちらのほうが心配になってしまう。
「大丈夫だよ」
エアリスが励ましてくれる。彼にそう言われると、本当に大丈夫だという気持ちになるから不思議だ。
「っ、二人とも大変なことが起きた!」
フェイブルが慌てた様子で部屋に入ってきて会話が止まった。
「そんなに慌ててどうしたの?」
エアリスが尋ねると、フェイブルが落ち着かない様子で近づいてくる。
「魔獣が各領地で大暴れしているんだ。主な三ヶ所は王都の北側とフローレス伯爵家が管理しているアザレア。それから南の外れに位置するトーラル領地だ。ここはスリーム男爵家が管理しているんだけど、男爵家には魔獣を退治するための兵力が足りない」
「……まずい状況になったね。魔族の仕業だろうね」
「ああ、そうに違いないよ。俺とエアリスは魔族退治に赴かなければいけなくなった。ネイトも伯爵家の管理する領地となるの動かざるをえない」
「騒ぎにまぎれてなにかを仕掛けようとしているのは間違いないね……」
フェイブル手エアリスが難しそうな表情を浮かべる。
そこに丁度、騒ぎを聞きつけたのかネイトも姿を現した。
「ネイト、領地が……」
「あぁ、先程早馬で知らせが来た。……エアリス、ノエルはこの屋敷に置いていく。連れて行くには危険すぎる」
「っ!?まってよ!俺だって光の魔力を使えるんだから戦えるよ!」
「駄目だ。敵が戦いの最中にノエルを狙ってくる可能性がある。それに怪我をするリスクのある場所に連れてなどいけない」
「でも、黙って見ているだけなんてできないよ!」
必死に反論するけれどネイトは引く気がない様子だ。
エアリスとフェイブルに助けを求めようとするけれど、二人もネイトと意見は同じ様子な気がした。
「たしかにノエルは屋敷に残ったほうがいい。カエラムと一緒にいれば少しは安心なはずだ」
「でも、俺は……」
エアリスの指示でも頷くことなどできない。
それなのにノエルをおいてけぼりにして話だけが進んでいく。
「とにかく一刻も早く現場に行かないと、民間人に被害が出てしまう」
「そうだね。ネイトも本当にいいかい?」
「仕方ないだろう。念のために屋敷全体に魔族除けの防御魔術を施していく。私が帰るまで待っていてほしい」
三人がノエルへと視線を向けてきた。
もう反論などできないのだと悟り、ノエルは無理矢理自分を納得させることしかできない。胸に渦巻く悔しさを押さえ込むように胸元を握りしめて、同意するように小さく頷いた。
先にエアリスとフェイブルが慌てて部屋を飛び出す。残ったネイトが呪文を唱えると、屋敷全体が仄かに光り輝いたのが見えた。
「ノエル、私は必ず戻ってくる。だからノエルも屋敷で私の帰りを待っていてほしい」
「……守られることしかできない自分が今はすごく嫌いだって思うよ。でも……だからこそ、ネイト達の無事を祈って待っているから。必ず俺のことを迎えに来て」
「あぁ、約束する」
抱きしめられる。それから唇を重ね合わせた。お互いの温度、触れ合ったときの感覚、存在すべてを心に刻み込む。
どれだけ離れていても心は繋がっている。
ネイトのことを信じているし、ネイトもノエルのことを信じていてくれる。だからきっと問題を解決したら無事に再会できるはずだ。
「無事を心の底から祈っているからね」
魔を払うように光の魔力をネイトへと流し込む。
いつも行っているこの行為すら、いまはとても神聖なもののように思えてしまう。
「ありがとう。祝福は受け取った」
ノエルのおでこにキスをしたネイトは、離れると背を向けて部屋を出ていく。扉の閉まる音がやけに耳に残って離れない。
──どうか無事でいて……。
ノエルはひたすら三人の無事だけを願っていた。
彩の整えられた豪華なディナーや広々とした美しい寝室など、盛大にもてなされすぎて申し訳なく感じた。
「二人が来てくれたから賑やかになってとても嬉しいな」
屋敷に来てから三日程が経った頃、一緒にアフタヌーンティーを楽しんでいたノエルにエアリスがそう言ってくれた。
「俺もとても良くしてもらっていて、本当に夢みたいだよ」
平和すぎて怖いくらいだ。
エアリスとフェイブルがイチャついている場面も間近で目にすることができるため、天国にでも来たかのような心境だった。
「ネイトはまた仕事?」
「そうみたい。伯爵家に居なくても仕事を放り出すことはできないって。そういうところが真面目で格好いいと思う。ただ……」
少し不安でもある。魔王化の進行が進んできていることもあるけれど、不安を感じたときに仕事をしてしまう癖があるため、見ているこちらのほうが心配になってしまう。
「大丈夫だよ」
エアリスが励ましてくれる。彼にそう言われると、本当に大丈夫だという気持ちになるから不思議だ。
「っ、二人とも大変なことが起きた!」
フェイブルが慌てた様子で部屋に入ってきて会話が止まった。
「そんなに慌ててどうしたの?」
エアリスが尋ねると、フェイブルが落ち着かない様子で近づいてくる。
「魔獣が各領地で大暴れしているんだ。主な三ヶ所は王都の北側とフローレス伯爵家が管理しているアザレア。それから南の外れに位置するトーラル領地だ。ここはスリーム男爵家が管理しているんだけど、男爵家には魔獣を退治するための兵力が足りない」
「……まずい状況になったね。魔族の仕業だろうね」
「ああ、そうに違いないよ。俺とエアリスは魔族退治に赴かなければいけなくなった。ネイトも伯爵家の管理する領地となるの動かざるをえない」
「騒ぎにまぎれてなにかを仕掛けようとしているのは間違いないね……」
フェイブル手エアリスが難しそうな表情を浮かべる。
そこに丁度、騒ぎを聞きつけたのかネイトも姿を現した。
「ネイト、領地が……」
「あぁ、先程早馬で知らせが来た。……エアリス、ノエルはこの屋敷に置いていく。連れて行くには危険すぎる」
「っ!?まってよ!俺だって光の魔力を使えるんだから戦えるよ!」
「駄目だ。敵が戦いの最中にノエルを狙ってくる可能性がある。それに怪我をするリスクのある場所に連れてなどいけない」
「でも、黙って見ているだけなんてできないよ!」
必死に反論するけれどネイトは引く気がない様子だ。
エアリスとフェイブルに助けを求めようとするけれど、二人もネイトと意見は同じ様子な気がした。
「たしかにノエルは屋敷に残ったほうがいい。カエラムと一緒にいれば少しは安心なはずだ」
「でも、俺は……」
エアリスの指示でも頷くことなどできない。
それなのにノエルをおいてけぼりにして話だけが進んでいく。
「とにかく一刻も早く現場に行かないと、民間人に被害が出てしまう」
「そうだね。ネイトも本当にいいかい?」
「仕方ないだろう。念のために屋敷全体に魔族除けの防御魔術を施していく。私が帰るまで待っていてほしい」
三人がノエルへと視線を向けてきた。
もう反論などできないのだと悟り、ノエルは無理矢理自分を納得させることしかできない。胸に渦巻く悔しさを押さえ込むように胸元を握りしめて、同意するように小さく頷いた。
先にエアリスとフェイブルが慌てて部屋を飛び出す。残ったネイトが呪文を唱えると、屋敷全体が仄かに光り輝いたのが見えた。
「ノエル、私は必ず戻ってくる。だからノエルも屋敷で私の帰りを待っていてほしい」
「……守られることしかできない自分が今はすごく嫌いだって思うよ。でも……だからこそ、ネイト達の無事を祈って待っているから。必ず俺のことを迎えに来て」
「あぁ、約束する」
抱きしめられる。それから唇を重ね合わせた。お互いの温度、触れ合ったときの感覚、存在すべてを心に刻み込む。
どれだけ離れていても心は繋がっている。
ネイトのことを信じているし、ネイトもノエルのことを信じていてくれる。だからきっと問題を解決したら無事に再会できるはずだ。
「無事を心の底から祈っているからね」
魔を払うように光の魔力をネイトへと流し込む。
いつも行っているこの行為すら、いまはとても神聖なもののように思えてしまう。
「ありがとう。祝福は受け取った」
ノエルのおでこにキスをしたネイトは、離れると背を向けて部屋を出ていく。扉の閉まる音がやけに耳に残って離れない。
──どうか無事でいて……。
ノエルはひたすら三人の無事だけを願っていた。
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