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推しの中から出ていけ!
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「真正面から近づくつもりか!?」
「それしか俺にはできないんだ!ファリスも助けないと!」
「っ、馬鹿者め!」
「全員助けたい!わがままだってわかってるよ!」
それでもファリスも助けたかった。こんな形で終わらせるなんて許さない。
彼にはちゃんと責任を取らせる。
あと半分でネイトの元に辿り着くというところで、アズラが目の前に現れた。傷が深いのかフラフラだ。それでも足止めをしようとする彼の姿に唇を噛み締めた。
魔族にとって魔王の存在はそれほどまでに大切なものなのだろうか……。
「アズラそこを退け!」
牙をむき出しにしたカエラムが命令する、アズラはその場に両膝を着くと、フードを取り去り真っ直ぐにこちらへ視線を向けてきた。
「……考えていたんだ。俺は魔王に忠誠を誓っているのか、それともあなただからついていこうと思ったのかを」
「アズラ……君は……」
魔族にも家族がいて、心があって、仲間がいる。
敵としてしか描かれていない魔族たちの背景はきっと人間と大して変わらないのだろう。
カエラムによって生み出された存在。だから気持ちや心なんてないと決めつけていた。本当は違うのに。
「この傷を負わされたとき、俺はまだ死ねないと思った。俺の命を捧げられるのは魔王様にだけだと……。だからカエラム様が人間につくというのなら俺は降伏する」
ノエルは瞳を丸く開くと、ぎゅっと拳を握りしめた。彼はカエラムに忠誠を誓っているのだと理解した瞬間、警戒の糸が少しだけ溶ける。
「その忠誠心を我は高く評価しておる。傷が深い。休んでいろ」
カエラムは少しだけ労るような声音で話しかけると、すぐにアズラから視線をそらした。膝をついたアズラが頷いたのを確認して、ノエルは再び走り出す。
いろんな人の思いが交差していた。
(ネイトっ、お願いだから俺に気づいて!)
そう願いながら足を動かし続ける。黒い靄に支配されたネイトは、理性を失っているようにすら見えた。
「ネイト!!!!」
ファリスに向かって魔力のこもった手を振り下ろそうとしていたネイトが、ノエルの声に反応して手を止めた。
振り返ったネイトは、真っ赤な瞳にノエルの姿を映し出す。片側の青い瞳だけが人間だったネイトの面影を残している。
黒かった髪は銀色に変わり、本当に別人のような姿だ。
「ネイト、俺のことがわかる?」
「……ノエル、なのか?」
ゴミを捨てるかのようにファリスから手を離したネイトがノエルに近づいてくる。
怖くはない。ただ、底知れない闇がネイトの心を蝕んでいく様子がはっきりとわかって、胸が苦しくてたまらなかった。
こんなにも辛い思いをさせてしまったことが悲しくて、申し訳なくてたまらない。
「そうだよ。ノエルだよ。俺は生きてるんだ」
目の前で立ち止まったネイトがノエルのことを抱きしめてきた。
冷たい体温に驚いてしまう。まるで心が凍りついてしまったかのようだ。
「っ、ノエルッ、あぁ……よかった……」
震える声音で名前を呼ばれて、ノエルは泣きたい気持ちになった。誰よりも繊細で、不器用な彼を傷つけてしまった。
不用心だった自分に怒りを覚える。
強く強く抱きしめられると、ネイトの存在をはっきりと感じられる。別人のように変化してしまっても、ネイトはノエルのよく知る彼のまま。
「名残惜しいが待っていてくれ。お前を傷つけた者に同等以上の苦しみを与えなければならないからな」
ノエルから体を離したネイトが不穏なことを口走った。
予想していたため驚きはしない。このまま魔王化したネイトを受け入れてしまったら、きっと世界は彼によって征服され、辿る道はファリスの言っていたメリバエンドかバッドエンドだ。
それはネイトの望む本当の幸せではないことをノエルは知っていた。だから、彼を闇から救い出したい。
「そんなことしなくていいんだよ!俺は生きているし、ファリスもアズラもなにもできないよ。捕らえて然るべき罰を与えるんだ。それで十分じゃないのかな?」
魔物を町に放ち、伯爵夫人を誘拐し傷を追わせた罪は償わなければならない。けれどそれは然るべき機関で下されるべきことだ。ネイトが直接手を下すことではない。
それにそんなことをしてほしくはなかった。
ノエルの知っているネイトに戻って欲しい。必死に抗い続けてきた彼の最後がこんな終わり方なんて許せない。
「なぜ否定するんだ?ノエルは私の味方だと言ってくれただろう?」
「そうだよ。俺はいつだってネイトの味方だ。だから君の呪いを払いに来たんだ」
ずっと違和感を感じていた。
前魔王だったカエラムも元は人間だ。最愛の人の復讐のために残虐の限りを尽くしたけれど、今のカエラムからはまったくそれを感じさせられない。
まるで憑き物が落ちたかのようだった。
──もしも呪いに意思があるとしたら……。
弱った感情に漬け込み魔王を生み出す呪い。そんなものがあるとしたら、今目の前に存在するネイトは操られていることになる。
「ネイトを返してもらう」
「気づいていたのか」
ネイトが歪な笑みを浮かべた。残虐で、人の心などありはしないような闇深い形相に全身が震えてしまいそうになる。
けれどここで呪いを絶たなければ、次の魔王が現れ続ける。カエラムが魔王になったのも、憎悪から生まれたこの呪いが悪さをしていたからなのだろう。
「この体を手に入れるのには手こずらされた、だが人は闇には逆らえない。お前は私を呪いだというが、私は人から生まれる憎しみや悲しみを増幅させる手伝いをしているだけだ。そうすれば簡単に魔王を生み出すことができる」
ノエルの首に手をかけたネイトが歪に笑う。
苦しくて眉を寄せる。壁に押し付けられて背が痛んだ。
ネイトはこんなことをしない。目の前にいるのはネイトではない。それに、彼の心の奥に暖かな光が残っていることがわかる。
「っ、ネ、イト……俺はネイトのこと信じているよ」
首を掴む腕にしがみつくと、強く強く願った。
──ネイトから出ていけ!そしてこの世界から永遠に消えて!
淡い緑の光が目の前を照らす。それは老人から与えられた二つめの贈り物の力だった。
「まさかこの力は!?なぜお前が治癒の魔力を宿している!!クッ!離せ!!」
慌てた様子でノエルから離れようとするネイトに必死にしがみつく。
ありったけの治癒の魔力を注ぎ込む。呪いは治癒魔法で解くことができる。そして闇は光の魔力で払える。
ノエルは治癒に光を重ねた。
「離せと言っているだろう!!」
ノエルを腕から引き離そうとして、ネイトがノエルに向かって空いている手を振り上げた。殴られてもかまわなかった。
打たれても、傷つけられても、ネイトを救い出すまでは絶対に離れるつもりなどない。
「グッ、なんだ!?なぜ腕が動かない?」
突然ネイトが動きを止めた。まるでなにかに動きを封じられているかのようだ。
(ネイトだ!ネイトが助けてくれているんだ!!)
ノエルの魔力を正面から受けたことで呪いが弱りつつあるのかもしれない。奥に押し込まれて封じられていた本来のネイトが戻りつつあるのだろう。
内側から感じる愛おしい人の魂の輝き。それを感じながら、ノエルは残った力をすべて放出した。
「ネイト、一緒に屋敷に帰ろう」
泣き笑いを浮かべる。
ノエルに愛おしいという気持ちを教えてくれたのはネイトだ。
冷たい態度で人を寄せ付けないけれど、本当は誰よりも周りを大切にできる人。他人のために自分を犠牲にできるくらい心が綺麗な人。
ネイトは世界で一番素敵な人だって知っている。そんなネイトが世界の滅亡なんて望むはずがない。
外からノエルが魔力を注ぎ込み、内側から本当のネイトが呪いを封じ込めようと戦っていた。
夫夫ならどんな困難だって乗り越えられる。
独りじゃない。孤独は消え去った。
「ネイト愛している」
ネイトの胸元を掴み顔を近づけた。唇を重ね合わせて、強く抱きしめる。
一際強い光が二人を包み込んだ。
ネイトから溢れていた闇が光に取り込まれて消えていく。
「やめろおおお!!!!」
呪いの断末魔の叫びが木霊したと同時に、光が塵となって弾けた。
ネイトの体から力が抜けて、ノエルが押し倒すような形で地面へと倒れる。
「っ……ネイト大丈夫!?」
ネイトの顔を見ると、肌の色がゆっくりと戻っていく。髪は魔王の魔力によって色素が変化してしまったのか銀髪のまま戻ることはなかった。
元に戻っていくネイトの姿を見つめながら安堵感が溢れてきた。
「ノエル……私は……」
「ネイトっ、元に戻ったんだね?俺っ、おれ……ッ、よかったぁ……」
体を起こしたネイトに抱きついて喜びの涙を散らす。
ぼんやりとしていたネイトも、ようやく自分の魔王化が解けたことを理解したのか、ノエルのことを抱きしめ返してくれた。
「っ、ノエル生きていたんだな……君が刺された瞬間、意識が呪いに……っ、」
「ごめんねっ……。待ってるって約束したのに……」
「いいんだ……。ノエルが無事に戻ってきてくれただけで十分だ」
ボロボロと涙が出てきて止まらない。
こんなにも誰かのことを思って泣いたことなんてなかった。あのまま魔王になってしまうのではないかと心配でたまらなかったし、救い出せるのか不安でしかたなかった。
こうして再会を噛み締めていると、この瞬間が奇跡のようにすら感じられる。
「ノエル、ありがとう」
「えへへ、どういたしまして」
確かめ合うようにまたキスをする。
大好きで愛おしい推しが帰ってきた。それが嬉しくてたまらない。
「それしか俺にはできないんだ!ファリスも助けないと!」
「っ、馬鹿者め!」
「全員助けたい!わがままだってわかってるよ!」
それでもファリスも助けたかった。こんな形で終わらせるなんて許さない。
彼にはちゃんと責任を取らせる。
あと半分でネイトの元に辿り着くというところで、アズラが目の前に現れた。傷が深いのかフラフラだ。それでも足止めをしようとする彼の姿に唇を噛み締めた。
魔族にとって魔王の存在はそれほどまでに大切なものなのだろうか……。
「アズラそこを退け!」
牙をむき出しにしたカエラムが命令する、アズラはその場に両膝を着くと、フードを取り去り真っ直ぐにこちらへ視線を向けてきた。
「……考えていたんだ。俺は魔王に忠誠を誓っているのか、それともあなただからついていこうと思ったのかを」
「アズラ……君は……」
魔族にも家族がいて、心があって、仲間がいる。
敵としてしか描かれていない魔族たちの背景はきっと人間と大して変わらないのだろう。
カエラムによって生み出された存在。だから気持ちや心なんてないと決めつけていた。本当は違うのに。
「この傷を負わされたとき、俺はまだ死ねないと思った。俺の命を捧げられるのは魔王様にだけだと……。だからカエラム様が人間につくというのなら俺は降伏する」
ノエルは瞳を丸く開くと、ぎゅっと拳を握りしめた。彼はカエラムに忠誠を誓っているのだと理解した瞬間、警戒の糸が少しだけ溶ける。
「その忠誠心を我は高く評価しておる。傷が深い。休んでいろ」
カエラムは少しだけ労るような声音で話しかけると、すぐにアズラから視線をそらした。膝をついたアズラが頷いたのを確認して、ノエルは再び走り出す。
いろんな人の思いが交差していた。
(ネイトっ、お願いだから俺に気づいて!)
そう願いながら足を動かし続ける。黒い靄に支配されたネイトは、理性を失っているようにすら見えた。
「ネイト!!!!」
ファリスに向かって魔力のこもった手を振り下ろそうとしていたネイトが、ノエルの声に反応して手を止めた。
振り返ったネイトは、真っ赤な瞳にノエルの姿を映し出す。片側の青い瞳だけが人間だったネイトの面影を残している。
黒かった髪は銀色に変わり、本当に別人のような姿だ。
「ネイト、俺のことがわかる?」
「……ノエル、なのか?」
ゴミを捨てるかのようにファリスから手を離したネイトがノエルに近づいてくる。
怖くはない。ただ、底知れない闇がネイトの心を蝕んでいく様子がはっきりとわかって、胸が苦しくてたまらなかった。
こんなにも辛い思いをさせてしまったことが悲しくて、申し訳なくてたまらない。
「そうだよ。ノエルだよ。俺は生きてるんだ」
目の前で立ち止まったネイトがノエルのことを抱きしめてきた。
冷たい体温に驚いてしまう。まるで心が凍りついてしまったかのようだ。
「っ、ノエルッ、あぁ……よかった……」
震える声音で名前を呼ばれて、ノエルは泣きたい気持ちになった。誰よりも繊細で、不器用な彼を傷つけてしまった。
不用心だった自分に怒りを覚える。
強く強く抱きしめられると、ネイトの存在をはっきりと感じられる。別人のように変化してしまっても、ネイトはノエルのよく知る彼のまま。
「名残惜しいが待っていてくれ。お前を傷つけた者に同等以上の苦しみを与えなければならないからな」
ノエルから体を離したネイトが不穏なことを口走った。
予想していたため驚きはしない。このまま魔王化したネイトを受け入れてしまったら、きっと世界は彼によって征服され、辿る道はファリスの言っていたメリバエンドかバッドエンドだ。
それはネイトの望む本当の幸せではないことをノエルは知っていた。だから、彼を闇から救い出したい。
「そんなことしなくていいんだよ!俺は生きているし、ファリスもアズラもなにもできないよ。捕らえて然るべき罰を与えるんだ。それで十分じゃないのかな?」
魔物を町に放ち、伯爵夫人を誘拐し傷を追わせた罪は償わなければならない。けれどそれは然るべき機関で下されるべきことだ。ネイトが直接手を下すことではない。
それにそんなことをしてほしくはなかった。
ノエルの知っているネイトに戻って欲しい。必死に抗い続けてきた彼の最後がこんな終わり方なんて許せない。
「なぜ否定するんだ?ノエルは私の味方だと言ってくれただろう?」
「そうだよ。俺はいつだってネイトの味方だ。だから君の呪いを払いに来たんだ」
ずっと違和感を感じていた。
前魔王だったカエラムも元は人間だ。最愛の人の復讐のために残虐の限りを尽くしたけれど、今のカエラムからはまったくそれを感じさせられない。
まるで憑き物が落ちたかのようだった。
──もしも呪いに意思があるとしたら……。
弱った感情に漬け込み魔王を生み出す呪い。そんなものがあるとしたら、今目の前に存在するネイトは操られていることになる。
「ネイトを返してもらう」
「気づいていたのか」
ネイトが歪な笑みを浮かべた。残虐で、人の心などありはしないような闇深い形相に全身が震えてしまいそうになる。
けれどここで呪いを絶たなければ、次の魔王が現れ続ける。カエラムが魔王になったのも、憎悪から生まれたこの呪いが悪さをしていたからなのだろう。
「この体を手に入れるのには手こずらされた、だが人は闇には逆らえない。お前は私を呪いだというが、私は人から生まれる憎しみや悲しみを増幅させる手伝いをしているだけだ。そうすれば簡単に魔王を生み出すことができる」
ノエルの首に手をかけたネイトが歪に笑う。
苦しくて眉を寄せる。壁に押し付けられて背が痛んだ。
ネイトはこんなことをしない。目の前にいるのはネイトではない。それに、彼の心の奥に暖かな光が残っていることがわかる。
「っ、ネ、イト……俺はネイトのこと信じているよ」
首を掴む腕にしがみつくと、強く強く願った。
──ネイトから出ていけ!そしてこの世界から永遠に消えて!
淡い緑の光が目の前を照らす。それは老人から与えられた二つめの贈り物の力だった。
「まさかこの力は!?なぜお前が治癒の魔力を宿している!!クッ!離せ!!」
慌てた様子でノエルから離れようとするネイトに必死にしがみつく。
ありったけの治癒の魔力を注ぎ込む。呪いは治癒魔法で解くことができる。そして闇は光の魔力で払える。
ノエルは治癒に光を重ねた。
「離せと言っているだろう!!」
ノエルを腕から引き離そうとして、ネイトがノエルに向かって空いている手を振り上げた。殴られてもかまわなかった。
打たれても、傷つけられても、ネイトを救い出すまでは絶対に離れるつもりなどない。
「グッ、なんだ!?なぜ腕が動かない?」
突然ネイトが動きを止めた。まるでなにかに動きを封じられているかのようだ。
(ネイトだ!ネイトが助けてくれているんだ!!)
ノエルの魔力を正面から受けたことで呪いが弱りつつあるのかもしれない。奥に押し込まれて封じられていた本来のネイトが戻りつつあるのだろう。
内側から感じる愛おしい人の魂の輝き。それを感じながら、ノエルは残った力をすべて放出した。
「ネイト、一緒に屋敷に帰ろう」
泣き笑いを浮かべる。
ノエルに愛おしいという気持ちを教えてくれたのはネイトだ。
冷たい態度で人を寄せ付けないけれど、本当は誰よりも周りを大切にできる人。他人のために自分を犠牲にできるくらい心が綺麗な人。
ネイトは世界で一番素敵な人だって知っている。そんなネイトが世界の滅亡なんて望むはずがない。
外からノエルが魔力を注ぎ込み、内側から本当のネイトが呪いを封じ込めようと戦っていた。
夫夫ならどんな困難だって乗り越えられる。
独りじゃない。孤独は消え去った。
「ネイト愛している」
ネイトの胸元を掴み顔を近づけた。唇を重ね合わせて、強く抱きしめる。
一際強い光が二人を包み込んだ。
ネイトから溢れていた闇が光に取り込まれて消えていく。
「やめろおおお!!!!」
呪いの断末魔の叫びが木霊したと同時に、光が塵となって弾けた。
ネイトの体から力が抜けて、ノエルが押し倒すような形で地面へと倒れる。
「っ……ネイト大丈夫!?」
ネイトの顔を見ると、肌の色がゆっくりと戻っていく。髪は魔王の魔力によって色素が変化してしまったのか銀髪のまま戻ることはなかった。
元に戻っていくネイトの姿を見つめながら安堵感が溢れてきた。
「ノエル……私は……」
「ネイトっ、元に戻ったんだね?俺っ、おれ……ッ、よかったぁ……」
体を起こしたネイトに抱きついて喜びの涙を散らす。
ぼんやりとしていたネイトも、ようやく自分の魔王化が解けたことを理解したのか、ノエルのことを抱きしめ返してくれた。
「っ、ノエル生きていたんだな……君が刺された瞬間、意識が呪いに……っ、」
「ごめんねっ……。待ってるって約束したのに……」
「いいんだ……。ノエルが無事に戻ってきてくれただけで十分だ」
ボロボロと涙が出てきて止まらない。
こんなにも誰かのことを思って泣いたことなんてなかった。あのまま魔王になってしまうのではないかと心配でたまらなかったし、救い出せるのか不安でしかたなかった。
こうして再会を噛み締めていると、この瞬間が奇跡のようにすら感じられる。
「ノエル、ありがとう」
「えへへ、どういたしまして」
確かめ合うようにまたキスをする。
大好きで愛おしい推しが帰ってきた。それが嬉しくてたまらない。
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