モブに転生した俺。推しキャラのハピエンを拝むまで夜も眠れない

天宮叶

文字の大きさ
51 / 53

推しと過ごせる幸せに感謝

しおりを挟む
◇◇◇

 伯爵家の屋敷についたのは騒ぎが起こってから二日後の夜のことだった。
 魔獣による進行は奇跡的に負傷者が出なかったそうだ。街に魔獣が踏み込んでくる前に処理することができたそうで、残党もファリスとアズラが捕まったことで消えてしまった。
 ネイトとノエルはお互いの無事と気持ちを確かめるかのように、寝室に入るやいなや深いキスを交わした。
 性急に服を脱がせ合うと、ベッドになだれ込む。
 足先を絡め、肌同士が重なり合う感覚に酔いしれる。全身がお互いを求め合うように熱を持ち、ノエルの蜜穴はすでに期待するようにヒクついている。

(ちゃんとネイトが目の前にいるんだ)

 存在を確かめたくて何度もキスをして、広い背に腕を回す。

「ネイト、あぁっ」

 ペニスを手のひらで包み込まれ、上下にしごかれる。
 ネイトが魔王になった瞬間は不甲斐なさや絶望で立ち止まりそうになった。それでも大切な人の心を守り抜くために立ち止まってはいられなかった。
 ネイトが魔王として誰かを傷つけてしまったらきっと後悔する。
 心優しい彼が自己嫌悪に苛まれて苦しむ姿だけは見たくなかった。

「ネイト大好きだよ」
「っ、私もだ。どれだけ心配したか……今はノエルの存在を確かめさせてほしい」

「いくらでも確かめてっ。沢山ネイトを刻み込んでほしい」

 触れられただけでビクビクと反応を示してしまう。
 背筋を指先で撫でられて「ひゃっ」と高い声が出た。驚かされた仕返しにネイトのペニスを握り込むと、微かに息を呑む音が聞こえてきた。
 それに気を良くして、ペニスを刺激する。自分のよりも倍は大きいペニスに触れていると欲情してしまう。

「ネイトに気持ちよくなってほしい」

 リードされるばかりでは嫌だ。
 そう思い、体を丸めてネイトの昂ぶったペニスへと顔を近づけた。舌先で筋をなぞり、それから亀頭のみぞやカリを舐める。

「っ、そんなことをどこで覚えてくるんだ」
「ん……気持ちいい?」

 上目遣いで尋ねると、ネイトが熱を含む手で優しく頭を撫でてくれる。それが心地よくて猫のように目を細めた。

「上手だ。気持ちいい」

 目尻を赤く染めながら欲を帯びた視線を送ってくるネイトのことが愛おしくてたまらない。
 ゆっくりと口内にペニスを咥え込むと、中でさらに硬度を増したのがわかった。大き過ぎてうまく口内に収められない。
 そんなノエルの必死な姿を、ネイトは欲情してほんのりと赤くなった瞳で見つめてくる。それが恥ずかしくて、片手で顔を隠した。その手を取られて、手のひらにキスをされる。

「我慢できない」

 ノエルを引き離したネイトが、勢い良く覆い被さってきた。
 首筋に甘噛みをされると、まるで所有物だと言われているように感じられてドキドキしてしまう。
 香油を垂らされて、指が容赦なく蜜穴へと挿入された。弱い部分を把握されているせいで、簡単に快楽を拾い上げてしまう。

「はぁんっ、ネイトそこやだぁ」

 気持ちがよすぎて頭がぼやぼやとしてきた。
 嫌だと言いながらも、ねだるように腰を揺らしてしまう。恥ずかしいのに止められない。
 もっともっとネイトを感じたかった。
 もう二度と自分の手からこぼれ落ちていく恐怖を味わいたくはない。

「ネイトのことをもっと沢山感じていたい。これから先もずっと、俺にネイトのことを教えて」
「……そんなに不安にならなくても大丈夫だ。もう二度とノエルを怖がらせたりしない」
「っ、うん……大好きだよネイト」

 そういった次の瞬間、指先がノエルの前立腺を刺激した。

「あぁっ!!」

 全身が素直に快感を受け入れてペニスの先端から欲を吐き出す。
 ネイトがノエルをうつ伏せにして腰を上げさせると、背後から蜜穴とペニスを同時に扱いた。
 目の前を星が散る。

「あ、あぅ、あぁ~~!またイッチャっ……」
「いいぞ。身を任せていればいい」
「あ、ン!ンンッ!!」

 腰から太ももにかけてが痙攣したかのようにビクビクと小刻みに震える。それと同時にノエルは純白のシーツに欲望をぶちまけた。
 精液が染みを作っていく。けれどそんなことを気にしている余裕はない。

「今入れたら極上の心地だろうな」
「まってっ、今はッ、ム……あ、あ、アァ!」

 指を引き抜いたネイトが制止も聞かず、ノエルの中に肉棒を突き立てた。
 奥を刺激されて、先端からとろとろと愛液が漏れ出た。
 こうして繋がっているときだけ感じられる特別な繋がりが好きだ。余裕のなさを表すようにネイトが微かに荒い息を吐き出している。
 その音や熱量がノエルの心を震わせ、愛おしさを増加させた。

「好きっ、大好き」
「私もだ。ノエルが私の心を救ってくれた日から、私のすべてはお前のものだ」

 腰を打ち付けながら、顔や首筋にキスを落とされる。愛情と快楽の狭間で思考を揺らしながら、ノエルはネイトの存在をしっかりと心に刻みこむ。
 向かい合うと、抱きしめ合いながら二人で一緒に快楽へ溺れていった。
 何度も深いキスをして、愛おしさを織り交ぜながら名前を呼ぶ。
 こんなふうに推しとまじわる日が来ることなど想像したこともなかった。ノエルの中にあったネイト像は、クールで愛情深い一途な人。けれど、ネイトと長く付き合ううちに、自分の理想の外に飛び出した、全く知らない彼のことを知ることができた。

(もっともっと俺の知らないネイトのことを知りたい。教えてほしい)

 夫夫として過ごしていれば、いくつでも新しい彼の姿を見つけられるはずだ。そのたびにきっともっとネイトのことを好きになる。
 知らないことがないくらい長い時間を共に過ごしたい。
 けれど知らないことがなくならないでほしいとも思う。
 そうすれば、何年先になっても新しい好きや愛しさを見つけて更新できるから。

「ネイト、もっとほしいッ」
「ノエルの中は気持ちいいっ。私ももっとお前がほしい。全然足りない」

 勢い良く肌のぶつかり合う音が部屋を満たす。
 好きだと伝えれば、愛していると返ってくる。
 そのやりとりを飽きるほどに繰り返しても、胸の奥に溜まった愛おしさは少しも減りはしない。

「俺っ、ネイトのことが好きすぎておかしくなっちゃうよ……」

 ポロポロと涙を流すと、ネイトが愛おしさを溢れさせるように眉をハの字にして微笑みを浮かべた。

「あまり可愛いことを言わないでくれ。優しくできなくなる」
「だってッ、好きで好きでたまらないんだ。アァ!!奥ッ、だめぇ!」
「煽るなと言っているだろう」

 腰を掴まれて一方的に揺すぶられる。ただ与えられる行為を受け入れながら、幸福に身を浸す。
 気持ちいい。愛おしい。尊い──。

(幸せにしたいのに、幸せをもらってるのは俺の方だ)

 一際強い律動を感じた。
 ノエルの最奥にペニスを押し付けたネイトが、苦しげに息を吐き出す。触れている肌が汗でしっとりと濡れている。
 最奥に吐き出された欲を感じながら、ノエルも何度目かの射精をした。
 ゆっくりと意識が落ちていく。

「ネイト、俺……ようやくぐっすり眠れそうだ」
「あぁ、無理をさせてしまった。好きなだけ眠るといい」

 額に唇を寄せられた。
 抱きしめられて、頬を胸元にくっつけて目を閉じる。
 朝になったらきっと、綺麗な寝顔の推しを見ることができるだろう。

「おやすみ。ネイト」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

呪われた辺境伯は、異世界転生者を手放さない

波崎 亨璃
BL
ーーー呪われた辺境伯に捕まったのは、俺の方だった。 異世界に迷い込んだ駆真は「呪われた辺境伯」と呼ばれるレオニスの領地に落ちてしまう。 強すぎる魔力のせいで、人を近づけることができないレオニス。 彼に触れれば衰弱し、最悪の場合、命を落とす。 しかしカルマだけはなぜかその影響を一切受けなかった。その事実に気づいたレオニスは次第にカルマを手放さなくなっていく。 「俺に触れられるのは、お前だけだ」 呪いよりも重い執着と孤独から始まる、救済BL。 となります。

だから、悪役令息の腰巾着! 忌み嫌われた悪役は不器用に僕を囲い込み溺愛する

モト
BL
2024.12.11~2巻がアンダルシュノベルズ様より書籍化されます。皆様のおかげです。誠にありがとうございます。 番外編などは書籍に含まれませんので是非、楽しんで頂けますと嬉しいです。 他の番外編も少しずつアップしたいと思っております。 ◇ストーリー◇ 孤高の悪役令息×BL漫画の総受け主人公に転生した美人 姉が書いたBL漫画の総モテ主人公に転生したフランは、総モテフラグを折る為に、悪役令息サモンに取り入ろうとする。しかしサモンは誰にも心を許さない一匹狼。周囲の人から怖がられ悪鬼と呼ばれる存在。 そんなサモンに寄り添い、フランはサモンの悪役フラグも折ろうと決意する──。 互いに信頼関係を築いて、サモンの腰巾着となったフランだが、ある変化が……。どんどんサモンが過保護になって──!? ・書籍化部分では、web未公開その後の番外編*がございます。 総受け設定のキャラだというだけで、総受けではありません。CPは固定。 自分好みに育っちゃった悪役とのラブコメになります。

転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?

米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。 ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。 隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。 「愛してるよ、私のユリタン」 そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。 “最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。 成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。 怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか? ……え、違う?

【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!? ※表紙のイラストはたかだ。様 ※エブリスタ、pixivにも掲載してます ◆この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」もあります。そちらも気になったら覗いてみてください。 ◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います

神様の手違いで死んだ俺、チート能力を授かり異世界転生してスローライフを送りたかったのに想像の斜め上をいく展開になりました。

篠崎笙
BL
保育園の調理師だった凛太郎は、ある日事故死する。しかしそれは神界のアクシデントだった。神様がお詫びに好きな加護を与えた上で異世界に転生させてくれるというので、定年後にやってみたいと憧れていたスローライフを送ることを願ったが……。  2026/01/09 加筆修正終了

【完結】義妹(いもうと)を応援してたら、俺が騎士に溺愛されました

未希かずは(Miki)
BL
第13回BL大賞 奨励賞 受賞しました。 皆さまありがとうございます。 「ねえ、私だけを見て」 これは受けを愛しすぎて様子のおかしい攻めのフィンと、攻めが気になる受けエリゼオの恋のお話です。 エリゼオは母の再婚により、義妹(いもうと)ができた。彼には前世の記憶があり、その前世の後悔から、エリゼオは今度こそ義妹を守ると誓う。そこに現れた一人の騎士、フィン。彼は何と、義妹と両想いらしい。まだ付き合えていない義妹とフィンの恋を応援しようとするエリゼオ。けれどフィンの優しさに触れ、気付けば自分がフィンを好きになってしまった。 「この恋、早く諦めなくちゃ……」 本人の思いとはうらはらに、フィンはエリゼオを放っておかない。 この恋、どうなる!? じれキュン転生ファンタジー。ハピエンです。 番外編。 リナルド×ガルディア。王族と近衞騎士の恋。 ――忠誠を誓った相手を、愛してはいけないと思っていた。切ない身分差、年の差の恋。恋の自覚は、相手が成人してからになります。

処理中です...