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推しに寄り添いたい
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招待状が届いたのは、薔薇園で話をしてから一週間が経った頃だった。ノエルとネイト宛に届いたそれには、エアリスの誕生日を祝うパーティーに参加してほしいという内容が書かれてあった。
執務室に呼び出されたノエルは、難しい表情を浮かべたネイトから招待状を手渡される。ソファーに腰掛けると内容を確認し、表情の意味を悟る。
「参加しよう」
「……どのみち断ることはできないだろう」
「そうだよね」
王太子夫妻からの招待だ。伯爵であるネイトには断ることなどできないだろう。それにネイトだって本当はエアリスに会いたいはず。
「大切な人の誕生日だもの。沢山お祝いをしてあげようよ」
「そうだな」
微かにため息をこぼしたネイトに、ノエルは笑みを返した。けれど内心、複雑でもある。誕生日パーティーの日付がノエルの誕生日と同じだったからだ。
ノエルとエアリスは偶然にも同じ誕生日。本当は一言でいいからネイトに祝ってほしい。けれどあえて伝えることはしなかった。
ネイトのことを煩わせたくはない。それに、形だけの夫婦だ。そこまで求めてしまうのは違うと思った。
立ち上がったネイトが、ノエルの隣へと腰掛ける。
「どうしたの?」
「んー……色々と疲れた」
ポスリとノエルの肩に頭を乗せてくるネイト。体温が伝わってきて、緊張でうまく呼吸できない。心音が徐々に早まっていて、バレてしまわないか心配になった。
「少しだけこうしていてもいいか?」
「……うん」
ネイトのエアリスへ向けている感情を想像すると、ノエルは辛い気持ちになる。きっと言葉にできない本音がいくつもあるのだろう。自身の心の中だけに留めて、吐き出すことができない。それはきっと生地獄のように辛い日々だ。
彼を支えてあげたい。
接するたびに、ノエルの中に強い感情が芽生えていく。ネイトには必要ないと言われるのかもしれない。それでもノエルはネイトのことを見守っていたかった。
「俺はネイトの傍にいるよ」
膝に置かれている手を取り、優しく撫でる。
ゆっくりと瞳を閉じたネイトが「ありがとうノエル」と呟いたのが聞こえてきた。心音は鳴り止まない。ゆっくりと深呼吸をしながら、ノエルも「どういたしまして」と返した。
執務室に呼び出されたノエルは、難しい表情を浮かべたネイトから招待状を手渡される。ソファーに腰掛けると内容を確認し、表情の意味を悟る。
「参加しよう」
「……どのみち断ることはできないだろう」
「そうだよね」
王太子夫妻からの招待だ。伯爵であるネイトには断ることなどできないだろう。それにネイトだって本当はエアリスに会いたいはず。
「大切な人の誕生日だもの。沢山お祝いをしてあげようよ」
「そうだな」
微かにため息をこぼしたネイトに、ノエルは笑みを返した。けれど内心、複雑でもある。誕生日パーティーの日付がノエルの誕生日と同じだったからだ。
ノエルとエアリスは偶然にも同じ誕生日。本当は一言でいいからネイトに祝ってほしい。けれどあえて伝えることはしなかった。
ネイトのことを煩わせたくはない。それに、形だけの夫婦だ。そこまで求めてしまうのは違うと思った。
立ち上がったネイトが、ノエルの隣へと腰掛ける。
「どうしたの?」
「んー……色々と疲れた」
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「少しだけこうしていてもいいか?」
「……うん」
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接するたびに、ノエルの中に強い感情が芽生えていく。ネイトには必要ないと言われるのかもしれない。それでもノエルはネイトのことを見守っていたかった。
「俺はネイトの傍にいるよ」
膝に置かれている手を取り、優しく撫でる。
ゆっくりと瞳を閉じたネイトが「ありがとうノエル」と呟いたのが聞こえてきた。心音は鳴り止まない。ゆっくりと深呼吸をしながら、ノエルも「どういたしまして」と返した。
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