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推しは世界一!
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心が落ち着きを取り戻した頃、二人は会場へと戻った。
丁度ワルツが流れ始めると、男女のペアが会場内で好きに踊り始める。目の前を揺れる色とりどりのドレスを見つめていると、現実感が薄れていく。
「踊れるのか?」
「俺は……」
ダンスなど踊ったこともない。視線を彷徨わせると、ネイトがおもむろにノエルの手を取ってきた。
「来い」
「えっ、わっ!」
手を引かれて、距離が縮まる。先程まで穏やかな心地で抱き合っていたのに、今は心臓がやけにうるさい。頭一つ分は背の高いネイトを見上げる。宝石のように美しい瞳に、顔を赤く染めたノエルの姿が映し出されていた。
「力を抜け」
「む、無理だよ……」
繋いだ手が熱い。ネイトから香る薔薇の花のような香りは、前世でキャラクターモチーフとして販売されていた香水と同じ香り。そんなことにすら気が付いてしまうほどに、二人の距離は近い。
「仕方ないやつだ」
腰に手が添わされる。
そのままゆっくりとワルツのリズムを足で刻む。ノエルも合わせるように足を動かす。自然と踊れているのは、転生する前に本物のノエルが踊れていたからかもしれない。
「ノエル、お前は私が怖くはないのか?」
「怖いわけないよ。ネイトがどんな姿になったとしても俺はネイトをずっと好き」
「……好き?」
「あ……いや、そのっ……」
何度も好きだと言葉にしてきたはずだ。けれど、咄嗟に出たその言葉は今までとは意味合いが異なってしまう気がして慌てる。
ようやくネイトが心を許し始めてくれたというのに、気持ちを伝えたらまた距離が開いてしまうかもしれない。それだけは避けたかった。
咄嗟に言い訳を考えてみるも、上手い言葉が見つからず黙り込んでしまう。
気まずく感じて目をそらそうとしたとき、ネイトが顔を寄せてきて驚いた。
「お前は私の心を揺らすのが上手い」
「ネ、ネイト?」
顔を離したネイトの口角が上がっているのに気が付いて、ノエルは言葉をつまらせた。その表情は、いつもエアリスにだけ向けられていたものと似ている。けれど、そこに哀しみは含まれていない気がした。
穏やかに音楽は流れていく。楽器の重なり合う音を耳に入れながら、ノエルはネイトへと真っ直ぐに目を向ける。そらしては駄目だと気がついたから。
感情が溢れてきて恥ずかしくなったとしても、ずっと大好きな推しを視界に入れておきたい。そうしていなければネイトの微かな表情の変化や、感情の起伏を見逃してしまう。
「俺ね、ネイトと出会えて本当に幸せだよ。だから最近沢山話せるようになって嬉しいんだ。ネイトの思ってることを知ることができるから」
「私のことを知っても面白みなどないだろう。他にも出来た人間は多くいる」
ワンテンポ、足を踏み出すたびに会話が進んでいく。
「俺の旦那様は世界一だって知らないの?」
満面の笑みで伝える。
そうすると、ネイトが目を丸くして言葉をつまらせたのがわかった。
(へんなこと言っちゃったかな?)
反応に困っていると、唐突にネイトが歩みを止めた。まだ曲は流れている。疑問に感じて首を傾げる。
丁度会場の真ん中辺り。多くの人が踊り続ける。その中で、立ち止まった二人は見つめ合う。
先に動いたのはネイトだった。
丁度ワルツが流れ始めると、男女のペアが会場内で好きに踊り始める。目の前を揺れる色とりどりのドレスを見つめていると、現実感が薄れていく。
「踊れるのか?」
「俺は……」
ダンスなど踊ったこともない。視線を彷徨わせると、ネイトがおもむろにノエルの手を取ってきた。
「来い」
「えっ、わっ!」
手を引かれて、距離が縮まる。先程まで穏やかな心地で抱き合っていたのに、今は心臓がやけにうるさい。頭一つ分は背の高いネイトを見上げる。宝石のように美しい瞳に、顔を赤く染めたノエルの姿が映し出されていた。
「力を抜け」
「む、無理だよ……」
繋いだ手が熱い。ネイトから香る薔薇の花のような香りは、前世でキャラクターモチーフとして販売されていた香水と同じ香り。そんなことにすら気が付いてしまうほどに、二人の距離は近い。
「仕方ないやつだ」
腰に手が添わされる。
そのままゆっくりとワルツのリズムを足で刻む。ノエルも合わせるように足を動かす。自然と踊れているのは、転生する前に本物のノエルが踊れていたからかもしれない。
「ノエル、お前は私が怖くはないのか?」
「怖いわけないよ。ネイトがどんな姿になったとしても俺はネイトをずっと好き」
「……好き?」
「あ……いや、そのっ……」
何度も好きだと言葉にしてきたはずだ。けれど、咄嗟に出たその言葉は今までとは意味合いが異なってしまう気がして慌てる。
ようやくネイトが心を許し始めてくれたというのに、気持ちを伝えたらまた距離が開いてしまうかもしれない。それだけは避けたかった。
咄嗟に言い訳を考えてみるも、上手い言葉が見つからず黙り込んでしまう。
気まずく感じて目をそらそうとしたとき、ネイトが顔を寄せてきて驚いた。
「お前は私の心を揺らすのが上手い」
「ネ、ネイト?」
顔を離したネイトの口角が上がっているのに気が付いて、ノエルは言葉をつまらせた。その表情は、いつもエアリスにだけ向けられていたものと似ている。けれど、そこに哀しみは含まれていない気がした。
穏やかに音楽は流れていく。楽器の重なり合う音を耳に入れながら、ノエルはネイトへと真っ直ぐに目を向ける。そらしては駄目だと気がついたから。
感情が溢れてきて恥ずかしくなったとしても、ずっと大好きな推しを視界に入れておきたい。そうしていなければネイトの微かな表情の変化や、感情の起伏を見逃してしまう。
「俺ね、ネイトと出会えて本当に幸せだよ。だから最近沢山話せるようになって嬉しいんだ。ネイトの思ってることを知ることができるから」
「私のことを知っても面白みなどないだろう。他にも出来た人間は多くいる」
ワンテンポ、足を踏み出すたびに会話が進んでいく。
「俺の旦那様は世界一だって知らないの?」
満面の笑みで伝える。
そうすると、ネイトが目を丸くして言葉をつまらせたのがわかった。
(へんなこと言っちゃったかな?)
反応に困っていると、唐突にネイトが歩みを止めた。まだ曲は流れている。疑問に感じて首を傾げる。
丁度会場の真ん中辺り。多くの人が踊り続ける。その中で、立ち止まった二人は見つめ合う。
先に動いたのはネイトだった。
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