モブに転生した俺。推しキャラのハピエンを拝むまで夜も眠れない

天宮叶

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推しが楽しそうだからいいんです!

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ノエルの目の前に片足をついて跪くと、瞳に柔らかな弧を描く。そうして、ノエルの片手を優しく掴み唇を近づける素振りをしてきた。
その一連の動作を目に焼き付けながら、ノエルはドキドキと高鳴る心臓を空いている方の手で押さえる。

「お前に出会えてよかった。ノエルの世界一になれて光栄だ」

目の前にいる推しがあまりにも輝きすぎていて直視できない。
現実なのかも定かではないほどに、今起きていることが理解できなかった。新手のスチルでも見せられているのだろうか?
音楽や人の声が響いているはずなのに、世界に二人きりになったかのような錯覚をしてしまう。

「ネ、ネイトっ、そのっ……突然どうしたの?」

顔を真っ赤にさせながら、キョロキョロと瞳を忙しなく動かす。相手を間違っていないだろうか。

「傍にあるものを大切にしなければならないと気付いただけだ」

ネイトの言葉はわかるようでわからない。眉を垂れさせて困り顔を向けると、クスリと笑われてしまう。立ち上がったネイトが、ノエルの腰を引き寄せてきてますます困惑してしまった。
再び音楽にあわせて踊り始める。どこか満足気なネイトの様子に、ノエルは苦笑いを零した。

(ネイトが楽しそうだからいいや)

結局その結論に至ってしまう。推しが笑っていればそれだけでノエルも満足できる。
くるりとその場で一回転すると、止まった瞬間目がしっかりと合う。ネイトの見つめる先が自分だという事実が、気恥ずかしくもある。
けれどその恥ずかしさも少しずつ薄れていき、最後には楽しさだけが胸を満たしてくれた。

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