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2.元恋人に似ている彼
一ヶ月くらい引きずっていたけれど、案外俺はメンタルが強かったらしい。独り身の生活も悪くはないと思い始めてきた。
でも、一点だけ問題がある。
七年の間、秀次に抱かれ続けて、開発され尽くした俺の体は疼いて仕方ないのだ。
「……男専用のデリとか頼るしかねーのかな」
こんな、可も不可もないような平凡なβでも相手にしてくれるのなんて、そういうところしか思い浮かばない。今更になって、秀次はよく俺と七年も恋人やってたよなって思った。
適当なサイトを検索しながら、なんとなく目に止まった人の写真をタップする。
紹介欄には二十四歳αと書かれてあった。どことなく目元や雰囲気が秀次に似ていると思って、気がつくと、指が勝手に電話番号をタッチしていた。
あとは簡単。すぐに電話は繋がって、あっさり予約が取れてしまった。人気No.1で、なかなか予約は取れないけど、その日はたまたま空いていたらしい。
電話を切ると、突端現実に引き戻される。
「……なにやってんだろ」
秀次に似たαを選ぶなんて、未練がましくて自分のことが嫌になる。
平気だと思い込んでいるだけで実際は心に余裕なんてない。
悲しみを洗い流すみたいに風呂に入って、中も綺麗にして、デリの人が来るのを待つ。
三十分くらいして、チャイムが鳴り、玄関を開けたら、写真で見た彼が立っていた。
「こんにちは。伊豆川 幸也様でしょうか。ご予約頂いた海斗です」
「あ、はい……。あの、中どうぞ」
おずおずと部屋の中へと招き入れる。
写真で見るよりも何倍も美形だ。秀次よりもかっこいいかも。でもやっぱり、少しタレ目ガチの瞳がそっくりだと思う。
緊張でガチガチのままベッドへと腰掛ける。海斗も隣に座り、更に緊張で鼓動が早くなった。
(やっぱりやめておけばよかっただろうか……)
ふと、不安感が胸を覆ったとき、そっと手を握られて緊張を解すみたいにマッサージをされた。
優しく手のひらを指の腹で揉まれて、心地良さに目を細める。
「これすると、大抵のお客さんはリラックスしてくれるんですよ」
確かに彼はマッサージが上手い。めちゃくちゃ気持ちがいいし、緊張も多少薄れた気がする。
それに、隣からシトラス系のスッキリとした香水の匂いが漂ってきて、すごく癒されるんだ。
俺の身体から力が抜けたのに気がついた海斗が、また優しく肩に触れてきた。そのままベッドに寝かされて、キスをされる。
秀次の激しいキスとは違う。ゆっくり、俺のペースに合わせるようなキス。
身体の至る所を撫でられて、本番はなしだから、満足するまで沢山イカしてもらって、あっという間に時間が来てしまった。
抱きしめられて、温かな体温に触れていると、現実と夢の狭間がわからなくなる。もっと触れていたい。
人肌が恋しかったのかな俺……。
秀次が居なくなってから、誰かに甘えるなんてしたことがなかった。だから、彼の手が俺の肌を滑り、宝物のように頭を撫でて、甘い言葉を囁いてくれることに酷く心が満たされてしまう。
「また、呼んでくださいね」
帰るとき、彼に言われた一言に自然と頷いていた。出ていったあとの、扉の閉まる音がやけに大きく耳に残って、物悲しい。
でも、一点だけ問題がある。
七年の間、秀次に抱かれ続けて、開発され尽くした俺の体は疼いて仕方ないのだ。
「……男専用のデリとか頼るしかねーのかな」
こんな、可も不可もないような平凡なβでも相手にしてくれるのなんて、そういうところしか思い浮かばない。今更になって、秀次はよく俺と七年も恋人やってたよなって思った。
適当なサイトを検索しながら、なんとなく目に止まった人の写真をタップする。
紹介欄には二十四歳αと書かれてあった。どことなく目元や雰囲気が秀次に似ていると思って、気がつくと、指が勝手に電話番号をタッチしていた。
あとは簡単。すぐに電話は繋がって、あっさり予約が取れてしまった。人気No.1で、なかなか予約は取れないけど、その日はたまたま空いていたらしい。
電話を切ると、突端現実に引き戻される。
「……なにやってんだろ」
秀次に似たαを選ぶなんて、未練がましくて自分のことが嫌になる。
平気だと思い込んでいるだけで実際は心に余裕なんてない。
悲しみを洗い流すみたいに風呂に入って、中も綺麗にして、デリの人が来るのを待つ。
三十分くらいして、チャイムが鳴り、玄関を開けたら、写真で見た彼が立っていた。
「こんにちは。伊豆川 幸也様でしょうか。ご予約頂いた海斗です」
「あ、はい……。あの、中どうぞ」
おずおずと部屋の中へと招き入れる。
写真で見るよりも何倍も美形だ。秀次よりもかっこいいかも。でもやっぱり、少しタレ目ガチの瞳がそっくりだと思う。
緊張でガチガチのままベッドへと腰掛ける。海斗も隣に座り、更に緊張で鼓動が早くなった。
(やっぱりやめておけばよかっただろうか……)
ふと、不安感が胸を覆ったとき、そっと手を握られて緊張を解すみたいにマッサージをされた。
優しく手のひらを指の腹で揉まれて、心地良さに目を細める。
「これすると、大抵のお客さんはリラックスしてくれるんですよ」
確かに彼はマッサージが上手い。めちゃくちゃ気持ちがいいし、緊張も多少薄れた気がする。
それに、隣からシトラス系のスッキリとした香水の匂いが漂ってきて、すごく癒されるんだ。
俺の身体から力が抜けたのに気がついた海斗が、また優しく肩に触れてきた。そのままベッドに寝かされて、キスをされる。
秀次の激しいキスとは違う。ゆっくり、俺のペースに合わせるようなキス。
身体の至る所を撫でられて、本番はなしだから、満足するまで沢山イカしてもらって、あっという間に時間が来てしまった。
抱きしめられて、温かな体温に触れていると、現実と夢の狭間がわからなくなる。もっと触れていたい。
人肌が恋しかったのかな俺……。
秀次が居なくなってから、誰かに甘えるなんてしたことがなかった。だから、彼の手が俺の肌を滑り、宝物のように頭を撫でて、甘い言葉を囁いてくれることに酷く心が満たされてしまう。
「また、呼んでくださいね」
帰るとき、彼に言われた一言に自然と頷いていた。出ていったあとの、扉の閉まる音がやけに大きく耳に残って、物悲しい。
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