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探し物
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繍房へ着くと何やら周りがざわついていることに気がついて月鈴と顔を見合せた。
「何かあったの?」
「皇帝陛下が人を探してるんですって」
月鈴が近くにいた子に尋ねるとそう返事が返ってきて、私は眉を寄せた。
人を探してる?
嫌な予感が頭をよぎった。
「どんな人を探しているの?」
尋ねるとその子は、項に歯型のある女官だと答えた。その瞬間、絶望という2文字が頭に浮かんで弾ける。
まさかあの夜の男が皇帝陛下だった?
1番最悪な結果に頭を抱える。
そうこうしている間にも皇帝陛下の命を受けた宦官たちがこちらへと向かっているだろう。
「……月鈴ごめんっ!」
「え、蘭玉!?」
私はそれだけ言うとその場から勢いよく駆け出した。
できる限り人通りの少ない道を選んで進んでいくと、目的の人物が後宮の出口の門の前に立っていた。
「龍兄さんっ!」
「おお、蘭玉どうした」
従兄弟の楊 龍が挨拶してくれてそれに軽く返事を返してから、頼みがあると切り出した。
「そんなに慌ててどうしたんだよ」
「兄さんにしか頼めないんだよ。何も聞かないで私の言う通りにしてくれるだけでいいから」
「おいおい、そんな事言われてもなにをしようとしてるか聞かされないと承諾なんて出来ないぞ」
困った様子の兄さんに私も困った顔を向けてしまう。事情を説明しようにもそんな時間も余裕もないのだ。
「兄さん、私、牢に入りたいんだ!」
「はあ!?」
「2日、いやっ、1日でいい!お願いっ、私のこと牢に入れて!!」
「蘭玉、お前頭でも打ったのか?」
「時間が無いんだよ!お願いだよ」
「いや……だが……」
渋る兄さんについ焦れてしまう。
早くしないと、この道も宦官達がよく使う場所だから見つかってしまうかもしれない。
「ならっ、苦役をする場所があるでしょう!そこに入れて」
「あのなあ……」
「時間が無いんだよっ!後で説明をするから」
「……絶対だからな」
「うんっ!」
結局折れてくれた兄さんにお礼を伝える。
そして、逃げるための決心を固めた。
苦役をする場所は王宮内の身分の低いものが働く場所に設置されている。基本的に罪を犯した人間等が入れられる所だから治安は良くない。けれど流石にあそこまでは調べたりしないはずだから、逃げるならあそこか牢しかないのだ。
「行くぞ」
「うん」
兄さんがそう言って私の腕を掴んで歩き出したから、私もそれに従って歩き出す。
人通りの少ないところを避けてくれているようであまり人とは出くわさずに済んだ。
そのまま苦役所の前で門番をしている衛兵に兄さんが説明をし始める。
「こいつが私の持ち物を盗もうとしたのだ。こんなやつ早くここに放り込んでくれ」
「……しかし、命令がなければ開けることは出来ないのです」
「なんだと?仕方ない。これで美味い酒でも飲んでこい」
「……どうぞお通りください」
兄さんが金銭を渡すと衛兵がすんなり道を開けてくれた。そうしたら兄さんが私を門の中へと放り投げて、私は地面に尻もちを着いた。
「このこそ泥めっ!次会ったらタダじゃ置かないからなっ!!おい、ここをしっかり見張れよ!それから、私が来たことは内密になっ」
「勿論です」
そう言い残して兄さんは門の前から立ち去ってしまった。
それを確認して、立ち上がると心の中でお礼を言って苦役所の奥へと進んでいく。
兎に角今は息を殺して過ごすしかない。
「何かあったの?」
「皇帝陛下が人を探してるんですって」
月鈴が近くにいた子に尋ねるとそう返事が返ってきて、私は眉を寄せた。
人を探してる?
嫌な予感が頭をよぎった。
「どんな人を探しているの?」
尋ねるとその子は、項に歯型のある女官だと答えた。その瞬間、絶望という2文字が頭に浮かんで弾ける。
まさかあの夜の男が皇帝陛下だった?
1番最悪な結果に頭を抱える。
そうこうしている間にも皇帝陛下の命を受けた宦官たちがこちらへと向かっているだろう。
「……月鈴ごめんっ!」
「え、蘭玉!?」
私はそれだけ言うとその場から勢いよく駆け出した。
できる限り人通りの少ない道を選んで進んでいくと、目的の人物が後宮の出口の門の前に立っていた。
「龍兄さんっ!」
「おお、蘭玉どうした」
従兄弟の楊 龍が挨拶してくれてそれに軽く返事を返してから、頼みがあると切り出した。
「そんなに慌ててどうしたんだよ」
「兄さんにしか頼めないんだよ。何も聞かないで私の言う通りにしてくれるだけでいいから」
「おいおい、そんな事言われてもなにをしようとしてるか聞かされないと承諾なんて出来ないぞ」
困った様子の兄さんに私も困った顔を向けてしまう。事情を説明しようにもそんな時間も余裕もないのだ。
「兄さん、私、牢に入りたいんだ!」
「はあ!?」
「2日、いやっ、1日でいい!お願いっ、私のこと牢に入れて!!」
「蘭玉、お前頭でも打ったのか?」
「時間が無いんだよ!お願いだよ」
「いや……だが……」
渋る兄さんについ焦れてしまう。
早くしないと、この道も宦官達がよく使う場所だから見つかってしまうかもしれない。
「ならっ、苦役をする場所があるでしょう!そこに入れて」
「あのなあ……」
「時間が無いんだよっ!後で説明をするから」
「……絶対だからな」
「うんっ!」
結局折れてくれた兄さんにお礼を伝える。
そして、逃げるための決心を固めた。
苦役をする場所は王宮内の身分の低いものが働く場所に設置されている。基本的に罪を犯した人間等が入れられる所だから治安は良くない。けれど流石にあそこまでは調べたりしないはずだから、逃げるならあそこか牢しかないのだ。
「行くぞ」
「うん」
兄さんがそう言って私の腕を掴んで歩き出したから、私もそれに従って歩き出す。
人通りの少ないところを避けてくれているようであまり人とは出くわさずに済んだ。
そのまま苦役所の前で門番をしている衛兵に兄さんが説明をし始める。
「こいつが私の持ち物を盗もうとしたのだ。こんなやつ早くここに放り込んでくれ」
「……しかし、命令がなければ開けることは出来ないのです」
「なんだと?仕方ない。これで美味い酒でも飲んでこい」
「……どうぞお通りください」
兄さんが金銭を渡すと衛兵がすんなり道を開けてくれた。そうしたら兄さんが私を門の中へと放り投げて、私は地面に尻もちを着いた。
「このこそ泥めっ!次会ったらタダじゃ置かないからなっ!!おい、ここをしっかり見張れよ!それから、私が来たことは内密になっ」
「勿論です」
そう言い残して兄さんは門の前から立ち去ってしまった。
それを確認して、立ち上がると心の中でお礼を言って苦役所の奥へと進んでいく。
兎に角今は息を殺して過ごすしかない。
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