天使のような悪魔の王子様に翻弄されまして

絡繰 傀儡

文字の大きさ
2 / 10

婚約破棄を完了したのはいいけれど

しおりを挟む
 「お前との婚約を破棄にする」
 そう宣告された只今、私はあることを思い出した。あること、とは前世のことだ。
 私は乙女ゲームが好きだったということを除けば普通のOLだった。25歳という若さで、トラックにひかれて死んでしまったが。
 そして気がつけば今。いや、本当はこのご令嬢としての記憶もあった。だけれど、それは自分のようで自分ではない別人。だから、私の意識は今目覚めたと言えるのだろう。
 私は乙女ゲームの悪役令嬢、ルミエラ・メルカリアに転生したのだ。
 そして、今私に婚約破棄を言い渡したのが、婚約者のウィルニー・パトビア。
 「おい、答えろルミエラ」
 そう、ウィルニーが答えを迫る。
 確か、この展開がゲームの中でもあった。確かバッドエンドの結末だったはずだ。
 私(ルミエラ)は婚約破棄を断った後、他の女をえらんだことに激怒し、尚且つその怒りの矛先を、この乙女ゲームの主人公であるイアナ・ロマンヌへと向けたのだ。
 怒りが頂点に達していた私、もといルミエラはウィルニーの剣鞘から剣を抜き出し、そのままイアナに刺そうとした。
 そもそもウィルニーも王子とはいえど、厳しい教育の上、そこらの騎士よりも格段に強いのに、武器である剣を抜かれる事自体おかしいのだが。
 話を戻すと、剣を奪い取ったルミエラはイアナを殺そうとし、ウィルニーがそれをかばって死んでしまう。その後私は監獄に入れられて、囚人達にレイプエンド。イアナもウィルニーがいなくなってしまった悲しさを他の者達では埋めきれず、結局自殺してしまった。
 そして今、その判断が私に委ねられているというわけだ。
 私の答えはもちろん…
 「はい。分かりました」
 これだ。
 レイプエンドなんて真っ平御免だし、そもそもウィルニーは美形だけれど興味はない。
 私はこの乙女ゲームにハマっていたけれど、私が必死で稼いだお金を全てつぎ込んでいたのは若くして騎士団長の座に就いたクールオブビューティー&ツンデレという最強コンボのカナン・ハルベルトだ。
 ウィルニーの側でいつも護衛していて、今もすぐ近くに控えている。
 「なっ…ほ、本当か?本当に、承諾するのか!?」
 「は?そうですが…」
 カナンのことを考えていたらウィルニーが急に確認の声を上げてきたので、間抜けな声を出してしまった。
 というか、何故こんなに驚いているのだろう。
 「…っ分かった。これで…お前と俺はもうなんの関係もない。本当にお前はそれでいいんだな」
 その問いに私は即答で「はい」と答えた。
 「…!!!」
 何か大いにショックを受けている様子のウィルニー。自分で言い出したのになんだというのだろう。もしかして今更公爵令嬢との婚約をたち、そのあとすぐに平民のイアナと婚約を結ぼうとしていた事の重大さに気がついたのだろうか。
 そもそも少し考えればわかる事なのだけれど、貴族と平民ならまだしも、ウィルニーは王子であるため、平民と結婚するということがあってはならないと分かっているだろうに。
 結婚はできるだろうが、だけれどそれまでの道がきっと険しいだろう。両親にも反対され、そもそもイアナ自身が王族と結婚するなどおこがましいと周りから相当の罵倒を受けることになるだろう。
 私はウィルニーをプレイしていないからウィルニーの人間性や性格を知らないけれど、そこまでの危険を冒してまで好きになれる相手だろうか。
 まぁ、乙女ゲームでど真ん中飾ってるのだからそれはいいキャラしてるのだろうとは思うけれど。
 高校からの友達はウィルニーをプレイしていて、一つ間違えただけでバッドエンドになってしまったとか、やっとハッピーエンドになったとか聞いていたけれど。
 だから、そんなに詳しくウィルニーについて私は知らない。
 ともかく、私の死亡フラグは回避できたはずだ。もうレイプエンドはほとんど死亡したもの同然なのだから。それを避けれたから、安心だ。
 「じゃぁ、わたくしはこれで失礼しますね」
 ウィルニー達に淑女の礼をしてからすぐに外に出ようとした…けれど、それは無理だった。
 乙女ゲームでは一部しか見ていなかったお城も今や全て現実に在るものだから、出方も知らない。ルミエラの記憶でも、私は頻繁には王城に来れなかったわけだし。いくら婚約者と言えども、立場をわきまえなければいけなかったから。
 カッコつけて歩いてきてしまったことが恥ずかしい。
 こんな時に限ってお付きのものは付いていないし、生憎周りには誰もいない。
 あぁ、ここでカナンが来てくれればいいのに。
 と思っていたその時。
 「どうしたんですか、義姉様」
 天使のような笑顔、もとい悩殺スマイルを向ける青年が上の階の手摺に肘をついて、手に顔を置きながらこちらを見下げている。
 赤色の瞳は、宝石、例えるならルビーのよう。白髪の絹のようなサラサラとした髪は輝いている。そして、幻覚か微笑む姿の周りにはキラキラと光が散っている気がした。
 彼は元婚約者ウィルニーの弟、そして第二王子でもあるまさに天使といっても過言ではない青年、リュアン・パトビアだ。
 「リュアン様」
 「こんにちは。今日は兄さんに会いに来ていたんですよね。ところで、兄さんは?」
 「あっ…えっと…」
 婚約破棄のことを話してもいいのだろうかと悩んでいたら、何故か唐突にリュアンがクスクスと笑いだした。
 「そう困らないでください。知ってますから。兄さんが婚約破棄を言い渡したんですよね」
 「は、はい…そうです」
 「実は僕、見てたんです」
 ふふっと愛らしく笑ったあと、私の目をまっすぐと見ながら、「それにしてても」と笑顔を浮かべてはいるものの隙を見せないようにそう声を発した。
 「どうして義姉様…いえ、ルミエラ様はこんなところにいるんですか?」
 「いえ、その…」
 「もしかして、迷っちゃいましたか?」
 確信を突かれてどきりとしたけれど、すぐにリュアンは「そんなわけないですよね」と言い直した。
 「じゃぁ、ルミエラ様は…」
 手摺に肘をつくのをやめて背を伸ばし、唇に人差し指をあてて、目をつぶったリュアン。多分考えているのだろう。
すると、パチリと目を開けて歩き出した。
 美しい微笑を浮かべながら、広い階段をコツコツと足音を立てながら降りてきた。
 私の近くまできたけど、止まりそうにもなく、どんどんと近づいてくる。
 無意識に後ずさりをしてしまい、いつのまにか私は自分の意識がありながらも後ろへと後退していた。
 そして、ついに壁に背中があたり、そして顔のすぐ横に手がおかれ、閉じ込められた。
 世に言う、壁ドーンというやつだ。でも、壁ドンにしてはあまりに自然にやられすぎたし、ドンではなくもう手がつかれた効果音はスッだった。
 「僕を探していましたか?」
 そう耳元で囁かれる。
 中性的で高い声が少し低めになり、甘さを含ませていて、耳が少し痺れた。
 必死に平常心を保つ。乙女ゲームではカナンのかっこいい一面を何万回といって繰り返し見てきた。
 大丈夫、カナンの方がかっこいい。カナンの方がかっこいい。
 ほら、と意を決して伏せていた目を上げ、リュアンの瞳を見つめる。
 ニッコリと笑っているけれどやっていることは大胆だ。見た目からてっきりピュアな王子様だとばかり思っていたけれどどうやら違うらしい。
 でも、大丈夫だ。私なら平常心を保てる…はず。
 「なんて、違いますよね」
 そう目を伏せながらリュアンは言った。
 けれど、私はすぐに「いえ、リュアン様に会いに来たんですっ」と焦りながら言った。
 「え?」
 すると、驚いたように伏せた目を見開いて私をまじまじと見つめている。
 「どうしてですか?」
 ていうか、この格好のままでいるの!?誰かに見られたらどうするわけ?婚約破棄されたばっかの公爵令嬢が今度は第二王子を誑かしてるなんて噂が立ったら…と青ざめそうになったが、今はそれどころではなかった。
 今はリュアンに会いにきたという口実を考えなければいけない。確か、前にも一度リュアンと話したはずだった。
 なんだっただろう…
 確か…
 「あの…平民達のお祭りに連れて行って下さると言っていましたよね?私を、連れて行って下さりませんか?」
 「別に構いませんが、でもどうしてそれをこんな時に?」
 こんな時、確かにそれもそうだ。
 ウィルニーに婚約破棄を宣告され、そしてそれを受け入れたばかり。それなのに、お祭りに連れて行ってなんて可笑しな話だ。でも。
 「それは、ウィルニー様に婚約破棄を言われたのが辛くて…。でも、それがウィルニー様にとっての幸せなら私は喜んで受け入れようと思ったんです。
 でも、やっぱりウィルニー様のことが忘れられなくて。
 お祭りに行って悲しいことも忘れたいと思ったのです。ダメでしょうか?」
 多分、これなら大丈夫のはず。
 「そういうことでしたか…」
 リュアンはそれを聞いてなぜか残念そうに眉をたれ下げながら、私の横についた手を外した。
 そして、すぐにキラキラとした笑顔、通称王子様スマイルを浮かべたリュアンは、「じゃぁ明日、お忍びで二人きりで行きましょうか」そう言った。
 「あっ、じゃぁ私が服を用意いたします。リュアン様は大変だと思いますし。じゃぁ、また明日」
 「送って行きます。ついて来てください」
 ニッコリ微笑んだリュアンは、片膝を床について私の手を取ると手の甲にキスを落とした。
 キスを落とした後、すくりと立ち上がったリュアンは、そのまま私の手を取りながら、歩き始めた。
 私が来た道を歩き、そして、途中で曲がると、そこを真っ直ぐ行けば階段があった。
 階段を降りながら、死亡フラグも回避でき、明日のリュアンとの祭りも終われば私の平和な日常が訪れると呑気に考えていたその時、うっかりドレスの裾に躓いてしまった。もう片方の足で支えようと思ったが、出した足を捻ってしまい、結局意味なく前に倒れた。しかも前向きにだ。
 あぁ、どうしてこうも悪役令嬢は死亡フラグが多いんだろうか、それともたんに私のドジのせいだろうかと諦め目をつぶったその瞬間、私のお腹に手が回り、後ろに引っ張られた。その後に誰かに包み込まれ、倒れるのを防いだ。
 諦めていたため、またも気を抜いていた私は、「ひゃっ…!?」とへんな声をあげてしまった。
 ちゃんと階段に立ったとき、恥ずかしさに口を抑える。
 すると、リュアンが「大丈夫ですか?」と顔を覗き込んで来た。
 さっきの変な声を聞かれてしまったかもしれないプラス足を捻ったのがばれたらどうしようという恥ずかしさに、頬に熱が帯びるのが分かって、そのまま「大丈夫です…」と返した。
 そして、そのまま歩き出そうとしたけれど、でも出来なかった。捻った方の足に鈍い痛みが走ったからだ。
 「怖いですか?」
 「いや…あの…」
 でも、歩かないと足を捻ったのを気づかれてしまうと痛みを我慢して歩こうと思ったその時、浮遊感に急に襲われて、足が上がった。
 「きゃぁっ!?」
 リュアンがわたしを抱き上げた。しかも女子が夢見るお姫様抱っこだ。
 「ちょ…ちょっと、あの…リュアン、様?」
 「どうかしましたか?」
 気のせいか、アワアワしているわたしを見て楽しんでいるかのように笑みを浮かべるリュアンはさながら悪魔のようだ。
 「いえ、あの下ろしていただけませんか!?」
 「だって、足を捻ったのですよね?無理して歩くのは良くないですよ」
 ニコッと笑ってそう言いのけたリュアン。
 私が足を捻ったことに気づいていたらしい。ということは、全部わかった上で
 「怖いですか?」なんて聞いてきたリュアンは確信犯だ。
 「っひどい…」
 「ふふっ、何か言いましたか?」
 ご機嫌のリュアンは聞こえてるにもかかわらず、余裕綽々の笑みで私に笑いかける。
 その日は、結局馬車の場所までリュアンにお姫様抱っこされたまま連れていかれた。
 目撃者がなんとまぁ、奇跡とも言える、誰もいなかったことに感謝だ。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが

侑子
恋愛
 十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。  しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。 「どうして!? 一体どうしてなの~!?」  いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

処理中です...