3 / 10
第二王子とお出かけと言う名の地獄
しおりを挟む
私はその日、あの日の仕返しということで少しだけリュアンに意地悪してやろうと考えていた。
だけど、度が過ぎていたのかもしれない。
「なんでもいうこと一つ、聞いてくださいね?だって、僕にこんな格好させたんですから」
そう笑顔で言うリュアン。でもその笑顔は王子様スマイルなどではなくて、背後に真っ黒なオーラ出しまくりのブラックスマイルだ。
なぜこんなことになったのか。
その事の発端一はまず、あれしかないだろう。
話は朝に戻る。
私とリュアンが約束していた平民たちのお祭り。でもそれは延期となってしまった。
もちろんその原因は私が捻った足だ。
帰ってからすぐに冷やしたため大事には至らなかったけど、ここはやはりお嬢様。
怪我をしているのに出かけてはダメという事で、延期になってしまったと言うわけだ。
だけど、幸い?なのか分からないが、平民のお祭りは一週間に続いて行われるので、最後のお祭りにいこうとリュアンが言ってくれたので、お言葉に甘えることにした。
そしてそれが今日だ。
用意しておいた平民の服に着替え、両親にバレないよう、執事のセバスチャンに馬車乗り場まで送ってもらった。
「お嬢様、お気をつけください」
セバスチャンにはくれぐれもと言われ送り出された。まぁ大丈夫だろうと私は待ち合わせの場所まで向かう。
そして、そこで待っていたリュアンが振り返る。
リュアンの髪色に合わせて白色のウィッグを見繕った。
赤色のポンチョがついた可愛らしい平民の服はとても似合っている。
そして、ひらりと揺れる焦げ茶色のスカートも。
「リュアン様、お待たせしました。とてもお似合いですわ」
そう言って微笑むと、リュアンもニッコリと微笑み返して…は、くれなかった。
ブスッと拗ねたような顔をしている。
「あなたの笑顔が見れて嬉しい心境と、女装をさせられていると言う状況にどう対応すればいいのかわりません」
そう言ったリュアンはとても可愛らしい女の子にしか見えない。そう、私がリュアンに用意した服は女物である。
「すみません、リュアン様。手違いで」
「へぇ、手違い。どのような手違いでこんな事になるのか知りたいところですね」
そうニッコリ微笑んだリュアンは怒っているのかもしれない。いや、確実に怒っている。目が笑っていないからだ。正直言って相当怖い。
「けど、仕方ないですね。今日はせっかくのお祭りだし、楽しみましょう」
「そ、そうですわね」
良かった、あのまま威圧で殺されるかと思っていた私は気持ちを切り替え、リュアンの手を引いた。
まず私たちが向かったのは、街で人気のカフェだ。
列に並びながら、ふと疑問に思ったことを聞いてみる。
「リュアン様、甘いものはお好きでしたか?何も考えず連れてきてしまって…」
「好き…というほどではないですけど、甘いものは食べれます」
「そうなんですか?でも、ここのパフェは美味しいから、きっとリュアン様も気に入ると思いますよ!」
「美味しい…?ルミエラ様、来たことがあるのですか?」
「あっ…」
つい喋ってしまったけれど、そう、実は私はここに何度か食べに来ている。ルミエラの記憶だけれど、パフェは本当においしかった。
「はい、たまに」
「そうなんですか、じゃぁ今度また一緒に来ましょうね?」
ニコッと有無を言わさない笑顔で言われ、私は頷くしかなかった。
数分たち、やっとカフェに入れた私達は、パフェを注文した。
私はお気に入りのイチゴのパフェで、リュアンはフルーツのパフェを頼んだ。
そして、パフェが運ばれてくると、リュアンはスプーンで一口掬ってこっちに差し出して来た。
「え?」
「口開けてください。ほら」
また微笑まれ、近づいてくるスプーンに仕方なく口を開けて、パフェを食べた。
マンゴーが甘くて、バニラのアイスもとっても美味しい。
「あっ、わたくしのも一口どうぞ」
そう言って、私はパフェを一口掬い、リュアンに差し出す。
リュアンはあーんと口を開け、食べた。
「美味しいです」
そう言ったあと、リュアンは、自分のパフェを私に食べさしたスプーンで食べた。
そして、そのあと私は遅れて気づいた。これって…
「間接キス、ですね」
そう、それだ。
「っ~…!!」
悪魔のように微笑むリュアンに返す言葉もない。恥ずかしすぎて顔から火が噴きそうだ。
「あれ、食べないんですか?」
そう悪魔のように微笑みながら聞かれ、また確信犯は私をからかっている。
つまり、私にも間接キスしろということだ。
でも、からかわれたままなんて悔しすぎる。
のってやろうじゃないかその挑発ををと私は恥ずかしさを抑えイチゴのパフェを頬張った。
きっと睨むように見るとニコニコと微笑まれた。
そんなこんなでパフェを食べ終わり、カフェを出たあと私達は今日の目的、中央広場へと向かった。
「すごい…」
そう声が漏れてしまったみたいだ。
それもそうだ。いつ見ても綺麗な街だったけれど、色とりどりの花でそこら中が綺麗に飾られている。
広場では平民の人達が楽しそうにダンスを踊っている。
ダンスといっても、社交ダンスではないけれど、みんなが楽しそうに自由に踊っている。まるで、空を駆ける鳥のように。自由に羽を伸ばして。
羨ましいと、思った。
「ルミエラ様?」
ぼーっと見とれていて、リュアンに声をかけられはっと気がついた。
「すみません、なんでしょうか?」
「あの屋台に行って見ませんか?」
そう言われて、リュアンが指差す方向を見ると、その屋台には遠目だが、髪飾りや小物等が置いてあるように見える。
「はい、是非」
さっきの感情を悟られないように、にこりと愛想笑いをしてその屋台へ向かった。
思った通り、そこには髪飾りや他にはアクセサリー、小物がたくさん売ってあった。
「リュアン様も髪飾りなどをつけるのですか?似合うとは思いますが…」
そういうと、眉をひそめられた。
「なぜあなたはそういう思考になるんですか?とりあえず、否定だけはしておきます」
なんだ、違うのかと思いながら私は屋台にあるものをじーっと眺めていた。
「何か欲しいものはありますか?」
「いえ、特には。わたくし、昔からこういったものにあまり興味がなくて。服なども流行のものを着ていますの。選ぶのは侍女に任せておりますし」
実際、ルミエラもあまり興味はなかったからだ。今言った通り、ルミエラはドレスなど、アクセサリーも全て侍女に選ばせ、その日着るドレスも侍女が決めていた。
じゃぁ、ルミエラは何に興味があったのか。それは言わずもがな、ウィルニーにだ。
小さい頃から決められた許嫁だったが、ルミエラにとってウィルニーは初恋の相手だった。
どこに惚れたかなんてそこまで知らないけれど。
「ルミエラ様は何に興味があるのですか?」
唐突に、ではないけれど、そう聞かれて返答に困った。だって私は今興味あるものが分からないから。
「そう、ですね…特には」
「じゃぁ」
瞬間、風が強く吹き、散った花びらが舞った。
そしてそれと同時にこの悪魔は囁く。
「僕に興味を持って?」
また笑いながら、悪魔のように。
どうしてこうもタイミングがいいものだろうか。しかもどうして今敬語を抜くんだろうか。
そんなこと今言われてしまえば…
ときめかないはずがない。
とも言い切れない。
私はそもそも精神年齢で言えば25歳だ。今の実年齢は17歳だけれど、精神年齢はだ。
いつまでも一回りくらい歳下の男の子に口説かれてときめくだろうか。
ときめくかもしれないけどそもそも攻略対象者に言われても全然嬉しくない。だってヒロイン関わってくるかもしれないし。そもそも、学園あるの忘れてたし。そうだよ、学園だよ。どうしよ。
とりあえず今は、逃げるか。
そう思考回路が働き、私の中で警報が鳴り響く。
「ゴメンナサイ」
片言で言い終えた私はそのあと猛ダッシュして人混みに紛れ、リュアンを撒いた。
とりあえず今は考えたい。ゆっくり。今すぐ状況整理しなければ頭が追いつかない。
彼女は昔からそうだった。
強がりでプライドが高くて、優しくて。
でもそんな彼女に惹かれていたわけじゃない。惹かれ始めたのは、つい最近のことだから。本当に、つい最近。
どんどん歳を重ねるごとに高慢になる彼女。原因は兄さんにあると僕は初めから知っていた。
一途な彼女は決して兄さん以外の男になんか目もくれたこともなくて、じっと見つめ続けてきた。
でもそれも儚く終わってしまった。
突然現れた平民の女の子に兄さんを取られ、婚約破棄を言い渡されて。
でも彼女は気づいていない。
兄さんはまだ貴女を好きだってことに。
まぁ、そんなの僕には微塵も関係のないことだからどうでもいいのだけど。
でも今はどうしようもなく彼女が欲しい。
婚約破棄を言い渡されていけしゃぁしゃぁとしていて、そのまま帰っていくかと思ったら帰り方が分からず道に迷っていて。
でも彼女は取り繕って僕に会いに来だなんていう。
嘘をつく彼女が異様に可愛く見えた。
階段でつまずいて、その挙句抱っこされて恥ずかしがっていて。
僕は今まであんなにも可愛い生き物も知らなかったし。
そもそも、他人自体に興味がなかったけど、興味が湧いた。
もっと知りたい。自分のものにしたい。そんな独占欲が湧いてきて。
「あーぁ、逃げられちゃった」
後ろ姿を見ながら思う。
彼女はいつのまにこんなに変わったのだろうと。
「探しに行かなきゃね。泣きべそかくまえに」
僕はまた笑った。
この笑みはもちろん、悪いことを考えてる時の笑み。
「はぁ…」
重~い溜め息を吐く。
話を整理しよう。
まず第一の問題。
学園があったことだ。学園で断罪というのがなくて良かったけれど、そもそもまだ卒業していない。あと二年だ。
二年も我慢なんてしていられないに決まっている。死亡フラグのオンパレードだ。
そんな中、どう過ごせというんだろう。あれか、授業サボるかもういっそのこと退学したほうがいいと?
でもそれは絶対両親が、お父様とお母様が認めてくれないだろうし。
とりあえず、保留。
第二の問題は、ウィルニーの弟であり、ヒロインの攻略対象者であるリュアン。
これほど厄介な存在はいないとも言える。
彼の言動はもう全く意味がわからない。
「僕に興味をもって?は?無理だよ、無理無理。持とうとしても、死亡フラグが…はぁ…」
彼が一体それをどういう意味で言ったのかは心底つきかねるけど、とりあえずはこのお祭り以降関わらないようにすることが大事だろう。
これ以上関わって得なこと一つないし。
これもとりあえず、保留。
もう保留にしかできないし。どう解決しろと?
いっそ平民にでもなる?じゃぁ、どうやって生きていこう。特技とかないし。
もうだめだ。お手上げ。
「なぁ姉ちゃんそこで何してんだ?」
「若い娘がこんなところで1人はあぶねーぜ~?」
この世界は本当に間が良すぎる。
振り返ると、二人組のガリとデブというなんとも対照的な二人がいた。
ここは無視していこうと背を向けた私に、「おいおい、連れねーなー」と私のうでを掴んできた。
「やめてください。人を呼びますよ」
きっと睨み付けると、私の腕を掴んでいるガリはデブに目配せをした。
次の瞬間、地面に押し倒され、口を手で塞がれ、手を腰に巻いてあったリボンで拘束された。
「んー!んー!!」
抵抗しようとするけれど意味がなく、びりっと服を破られた。
もし私がヒロインだったんなら、ここでかっこよく攻略対象者が合わられてヒーローの如く助けてくれたかもしれない。
でも、私は悪役令嬢だから。
誰も助けになんてきてくれない。
こんな人気のない場所に来なければ良かった。なんて後悔してももう遅い。
スカートの中に手が侵入してきた。
あぁ、もうやだ。なんて思ったその時。
私の上に馬乗りになっていたガリの頭がストンと地面に落ちた。
あまりの驚きに私は目を見開く。
血がダラダラと流れ、私の肌を赤が染める。
そう、私は悪役令嬢。
だから、ヒーローなんてこない。
その証拠に今、私の目に映るのは、赤く染まった剣を持った大柄の盗賊達だ。
デブの男は恐れおののき逃げ出した。
私は恐怖に動くことさえできずに、大柄の剣をふるった男は、私に顔を近づけてきた。
「ひっ…」
体がガタガタと震える。
「なんだ、いい女じゃねぇか。アジトに連れて帰るぞ。お楽しみは…」
私の目を見なが男は「その後だ」舌舐めずりしながらそう言った。
「やっ…!いや!」
男が私を立ち上がらせ連れていこうとするが、必死に抵抗した。
「誰か、助け…むぐっ…!?」
助けを呼ぼうとしたけれど、口と目を布でふさがれた。
あぁ、本当にレイプエンドで人生終わっちゃうの?
生理的な涙が流れ始めたその時、なにが起こったのか男の呻き声が聞こえたかと思ったら私の体が引っ張られ、また浮遊感に襲われた。
誰かにまたお姫様抱っこされている。
どこかに降ろされ、目と口の布を取られ、腕の拘束を解いてくれた。
目の前には、リュアンがいた。
…なんだこの乙女ゲーム展開は。
けど、ありがとう。
「やっぱり泣きべそかいてる」
リュアンは案の定だと言うように微笑み、頭を優しく撫でられた。
「ほら、泣き止んでください」
「別に、泣いてなんかっ」
「下手な嘘はいいですから。まだ泣いてるし」
くすくすと笑ってハンカチで私の涙を拭き取った。
「怖かったですよね?一人にしてごめなさい」
リュアンがそう言ったかと思ったら、私は抱きしめられた。そのことに、一瞬で涙が引っ込んだ。
「ちょっ、リュアン様!」
そう言って肩を押して離そうとしたら、手を掴まれて、至近距離で「元気になってよかったです」と王子様スマイルを私に向けた。
「あなたが泣いてると僕も辛いですから」
そう微笑むけど、いや嘘でしょ。じゃぁなんで今笑ってんだよって話なのだけれど。
「あの、ありがとうございました」
「いえ。今日はもう、帰りましょうか」
「えっ、でもお祭り…」
「こんなことがあった後ですし、やめておきましょう。あなたの身の安全が第一です」
いや、あなたの身の安全の方が第一でしょうに。
「分かり、ました」
もう少しだけお祭り楽しみたかったと思ったけれど、あんなことがあった後だし、たしかに…。
「大丈夫です。来年もう一度一緒に行きましょう」
「えっ、あっ、はい」
また、さらりと約束を取り付けられてしまった…。
「あっ、すみません、気づかなくて」
そう言われ、赤色のポンチョを渡してきた。
「え?あの…?」
不思議そうにしていると、リュアンがトントンと自分の方の胸元を叩く。そう言われ、自分の胸元を見てみて忘れていた。そういえば、男二人に服を服を破かれてはだけている。
「あ、ありがとうございますっ」
さっと受け取って顔の熱を誤魔化すよう にポンチョを羽織った。
またリュアンがクスクスと笑っていたと言うことは、言わずもがなの話。
そして、いきなりだが、冒頭に至る。
「なんでも一つ、言うこと聞いてくださいね?僕にこんな格好させたんですから」
そうニッコリ微笑み、「それから」と続ける。
「勝手に走って行って心配かけたお詫びです」
「え?いや、あの…」
「言うこと、聞いてくれますよね?」
「へ?あ、はい…」
「じゃぁ、またお出かけしましょう。こうやって‘‘二人きり’’で」
二人きりをわざわざ強調するリュアン。
「もちろん、カフェに行くのは別の話ですからね?」
意地悪く微笑んだリュアンは私の手を取り、「帰りましょう?僕のお姫様」と手を引いた。
だけど、度が過ぎていたのかもしれない。
「なんでもいうこと一つ、聞いてくださいね?だって、僕にこんな格好させたんですから」
そう笑顔で言うリュアン。でもその笑顔は王子様スマイルなどではなくて、背後に真っ黒なオーラ出しまくりのブラックスマイルだ。
なぜこんなことになったのか。
その事の発端一はまず、あれしかないだろう。
話は朝に戻る。
私とリュアンが約束していた平民たちのお祭り。でもそれは延期となってしまった。
もちろんその原因は私が捻った足だ。
帰ってからすぐに冷やしたため大事には至らなかったけど、ここはやはりお嬢様。
怪我をしているのに出かけてはダメという事で、延期になってしまったと言うわけだ。
だけど、幸い?なのか分からないが、平民のお祭りは一週間に続いて行われるので、最後のお祭りにいこうとリュアンが言ってくれたので、お言葉に甘えることにした。
そしてそれが今日だ。
用意しておいた平民の服に着替え、両親にバレないよう、執事のセバスチャンに馬車乗り場まで送ってもらった。
「お嬢様、お気をつけください」
セバスチャンにはくれぐれもと言われ送り出された。まぁ大丈夫だろうと私は待ち合わせの場所まで向かう。
そして、そこで待っていたリュアンが振り返る。
リュアンの髪色に合わせて白色のウィッグを見繕った。
赤色のポンチョがついた可愛らしい平民の服はとても似合っている。
そして、ひらりと揺れる焦げ茶色のスカートも。
「リュアン様、お待たせしました。とてもお似合いですわ」
そう言って微笑むと、リュアンもニッコリと微笑み返して…は、くれなかった。
ブスッと拗ねたような顔をしている。
「あなたの笑顔が見れて嬉しい心境と、女装をさせられていると言う状況にどう対応すればいいのかわりません」
そう言ったリュアンはとても可愛らしい女の子にしか見えない。そう、私がリュアンに用意した服は女物である。
「すみません、リュアン様。手違いで」
「へぇ、手違い。どのような手違いでこんな事になるのか知りたいところですね」
そうニッコリ微笑んだリュアンは怒っているのかもしれない。いや、確実に怒っている。目が笑っていないからだ。正直言って相当怖い。
「けど、仕方ないですね。今日はせっかくのお祭りだし、楽しみましょう」
「そ、そうですわね」
良かった、あのまま威圧で殺されるかと思っていた私は気持ちを切り替え、リュアンの手を引いた。
まず私たちが向かったのは、街で人気のカフェだ。
列に並びながら、ふと疑問に思ったことを聞いてみる。
「リュアン様、甘いものはお好きでしたか?何も考えず連れてきてしまって…」
「好き…というほどではないですけど、甘いものは食べれます」
「そうなんですか?でも、ここのパフェは美味しいから、きっとリュアン様も気に入ると思いますよ!」
「美味しい…?ルミエラ様、来たことがあるのですか?」
「あっ…」
つい喋ってしまったけれど、そう、実は私はここに何度か食べに来ている。ルミエラの記憶だけれど、パフェは本当においしかった。
「はい、たまに」
「そうなんですか、じゃぁ今度また一緒に来ましょうね?」
ニコッと有無を言わさない笑顔で言われ、私は頷くしかなかった。
数分たち、やっとカフェに入れた私達は、パフェを注文した。
私はお気に入りのイチゴのパフェで、リュアンはフルーツのパフェを頼んだ。
そして、パフェが運ばれてくると、リュアンはスプーンで一口掬ってこっちに差し出して来た。
「え?」
「口開けてください。ほら」
また微笑まれ、近づいてくるスプーンに仕方なく口を開けて、パフェを食べた。
マンゴーが甘くて、バニラのアイスもとっても美味しい。
「あっ、わたくしのも一口どうぞ」
そう言って、私はパフェを一口掬い、リュアンに差し出す。
リュアンはあーんと口を開け、食べた。
「美味しいです」
そう言ったあと、リュアンは、自分のパフェを私に食べさしたスプーンで食べた。
そして、そのあと私は遅れて気づいた。これって…
「間接キス、ですね」
そう、それだ。
「っ~…!!」
悪魔のように微笑むリュアンに返す言葉もない。恥ずかしすぎて顔から火が噴きそうだ。
「あれ、食べないんですか?」
そう悪魔のように微笑みながら聞かれ、また確信犯は私をからかっている。
つまり、私にも間接キスしろということだ。
でも、からかわれたままなんて悔しすぎる。
のってやろうじゃないかその挑発ををと私は恥ずかしさを抑えイチゴのパフェを頬張った。
きっと睨むように見るとニコニコと微笑まれた。
そんなこんなでパフェを食べ終わり、カフェを出たあと私達は今日の目的、中央広場へと向かった。
「すごい…」
そう声が漏れてしまったみたいだ。
それもそうだ。いつ見ても綺麗な街だったけれど、色とりどりの花でそこら中が綺麗に飾られている。
広場では平民の人達が楽しそうにダンスを踊っている。
ダンスといっても、社交ダンスではないけれど、みんなが楽しそうに自由に踊っている。まるで、空を駆ける鳥のように。自由に羽を伸ばして。
羨ましいと、思った。
「ルミエラ様?」
ぼーっと見とれていて、リュアンに声をかけられはっと気がついた。
「すみません、なんでしょうか?」
「あの屋台に行って見ませんか?」
そう言われて、リュアンが指差す方向を見ると、その屋台には遠目だが、髪飾りや小物等が置いてあるように見える。
「はい、是非」
さっきの感情を悟られないように、にこりと愛想笑いをしてその屋台へ向かった。
思った通り、そこには髪飾りや他にはアクセサリー、小物がたくさん売ってあった。
「リュアン様も髪飾りなどをつけるのですか?似合うとは思いますが…」
そういうと、眉をひそめられた。
「なぜあなたはそういう思考になるんですか?とりあえず、否定だけはしておきます」
なんだ、違うのかと思いながら私は屋台にあるものをじーっと眺めていた。
「何か欲しいものはありますか?」
「いえ、特には。わたくし、昔からこういったものにあまり興味がなくて。服なども流行のものを着ていますの。選ぶのは侍女に任せておりますし」
実際、ルミエラもあまり興味はなかったからだ。今言った通り、ルミエラはドレスなど、アクセサリーも全て侍女に選ばせ、その日着るドレスも侍女が決めていた。
じゃぁ、ルミエラは何に興味があったのか。それは言わずもがな、ウィルニーにだ。
小さい頃から決められた許嫁だったが、ルミエラにとってウィルニーは初恋の相手だった。
どこに惚れたかなんてそこまで知らないけれど。
「ルミエラ様は何に興味があるのですか?」
唐突に、ではないけれど、そう聞かれて返答に困った。だって私は今興味あるものが分からないから。
「そう、ですね…特には」
「じゃぁ」
瞬間、風が強く吹き、散った花びらが舞った。
そしてそれと同時にこの悪魔は囁く。
「僕に興味を持って?」
また笑いながら、悪魔のように。
どうしてこうもタイミングがいいものだろうか。しかもどうして今敬語を抜くんだろうか。
そんなこと今言われてしまえば…
ときめかないはずがない。
とも言い切れない。
私はそもそも精神年齢で言えば25歳だ。今の実年齢は17歳だけれど、精神年齢はだ。
いつまでも一回りくらい歳下の男の子に口説かれてときめくだろうか。
ときめくかもしれないけどそもそも攻略対象者に言われても全然嬉しくない。だってヒロイン関わってくるかもしれないし。そもそも、学園あるの忘れてたし。そうだよ、学園だよ。どうしよ。
とりあえず今は、逃げるか。
そう思考回路が働き、私の中で警報が鳴り響く。
「ゴメンナサイ」
片言で言い終えた私はそのあと猛ダッシュして人混みに紛れ、リュアンを撒いた。
とりあえず今は考えたい。ゆっくり。今すぐ状況整理しなければ頭が追いつかない。
彼女は昔からそうだった。
強がりでプライドが高くて、優しくて。
でもそんな彼女に惹かれていたわけじゃない。惹かれ始めたのは、つい最近のことだから。本当に、つい最近。
どんどん歳を重ねるごとに高慢になる彼女。原因は兄さんにあると僕は初めから知っていた。
一途な彼女は決して兄さん以外の男になんか目もくれたこともなくて、じっと見つめ続けてきた。
でもそれも儚く終わってしまった。
突然現れた平民の女の子に兄さんを取られ、婚約破棄を言い渡されて。
でも彼女は気づいていない。
兄さんはまだ貴女を好きだってことに。
まぁ、そんなの僕には微塵も関係のないことだからどうでもいいのだけど。
でも今はどうしようもなく彼女が欲しい。
婚約破棄を言い渡されていけしゃぁしゃぁとしていて、そのまま帰っていくかと思ったら帰り方が分からず道に迷っていて。
でも彼女は取り繕って僕に会いに来だなんていう。
嘘をつく彼女が異様に可愛く見えた。
階段でつまずいて、その挙句抱っこされて恥ずかしがっていて。
僕は今まであんなにも可愛い生き物も知らなかったし。
そもそも、他人自体に興味がなかったけど、興味が湧いた。
もっと知りたい。自分のものにしたい。そんな独占欲が湧いてきて。
「あーぁ、逃げられちゃった」
後ろ姿を見ながら思う。
彼女はいつのまにこんなに変わったのだろうと。
「探しに行かなきゃね。泣きべそかくまえに」
僕はまた笑った。
この笑みはもちろん、悪いことを考えてる時の笑み。
「はぁ…」
重~い溜め息を吐く。
話を整理しよう。
まず第一の問題。
学園があったことだ。学園で断罪というのがなくて良かったけれど、そもそもまだ卒業していない。あと二年だ。
二年も我慢なんてしていられないに決まっている。死亡フラグのオンパレードだ。
そんな中、どう過ごせというんだろう。あれか、授業サボるかもういっそのこと退学したほうがいいと?
でもそれは絶対両親が、お父様とお母様が認めてくれないだろうし。
とりあえず、保留。
第二の問題は、ウィルニーの弟であり、ヒロインの攻略対象者であるリュアン。
これほど厄介な存在はいないとも言える。
彼の言動はもう全く意味がわからない。
「僕に興味をもって?は?無理だよ、無理無理。持とうとしても、死亡フラグが…はぁ…」
彼が一体それをどういう意味で言ったのかは心底つきかねるけど、とりあえずはこのお祭り以降関わらないようにすることが大事だろう。
これ以上関わって得なこと一つないし。
これもとりあえず、保留。
もう保留にしかできないし。どう解決しろと?
いっそ平民にでもなる?じゃぁ、どうやって生きていこう。特技とかないし。
もうだめだ。お手上げ。
「なぁ姉ちゃんそこで何してんだ?」
「若い娘がこんなところで1人はあぶねーぜ~?」
この世界は本当に間が良すぎる。
振り返ると、二人組のガリとデブというなんとも対照的な二人がいた。
ここは無視していこうと背を向けた私に、「おいおい、連れねーなー」と私のうでを掴んできた。
「やめてください。人を呼びますよ」
きっと睨み付けると、私の腕を掴んでいるガリはデブに目配せをした。
次の瞬間、地面に押し倒され、口を手で塞がれ、手を腰に巻いてあったリボンで拘束された。
「んー!んー!!」
抵抗しようとするけれど意味がなく、びりっと服を破られた。
もし私がヒロインだったんなら、ここでかっこよく攻略対象者が合わられてヒーローの如く助けてくれたかもしれない。
でも、私は悪役令嬢だから。
誰も助けになんてきてくれない。
こんな人気のない場所に来なければ良かった。なんて後悔してももう遅い。
スカートの中に手が侵入してきた。
あぁ、もうやだ。なんて思ったその時。
私の上に馬乗りになっていたガリの頭がストンと地面に落ちた。
あまりの驚きに私は目を見開く。
血がダラダラと流れ、私の肌を赤が染める。
そう、私は悪役令嬢。
だから、ヒーローなんてこない。
その証拠に今、私の目に映るのは、赤く染まった剣を持った大柄の盗賊達だ。
デブの男は恐れおののき逃げ出した。
私は恐怖に動くことさえできずに、大柄の剣をふるった男は、私に顔を近づけてきた。
「ひっ…」
体がガタガタと震える。
「なんだ、いい女じゃねぇか。アジトに連れて帰るぞ。お楽しみは…」
私の目を見なが男は「その後だ」舌舐めずりしながらそう言った。
「やっ…!いや!」
男が私を立ち上がらせ連れていこうとするが、必死に抵抗した。
「誰か、助け…むぐっ…!?」
助けを呼ぼうとしたけれど、口と目を布でふさがれた。
あぁ、本当にレイプエンドで人生終わっちゃうの?
生理的な涙が流れ始めたその時、なにが起こったのか男の呻き声が聞こえたかと思ったら私の体が引っ張られ、また浮遊感に襲われた。
誰かにまたお姫様抱っこされている。
どこかに降ろされ、目と口の布を取られ、腕の拘束を解いてくれた。
目の前には、リュアンがいた。
…なんだこの乙女ゲーム展開は。
けど、ありがとう。
「やっぱり泣きべそかいてる」
リュアンは案の定だと言うように微笑み、頭を優しく撫でられた。
「ほら、泣き止んでください」
「別に、泣いてなんかっ」
「下手な嘘はいいですから。まだ泣いてるし」
くすくすと笑ってハンカチで私の涙を拭き取った。
「怖かったですよね?一人にしてごめなさい」
リュアンがそう言ったかと思ったら、私は抱きしめられた。そのことに、一瞬で涙が引っ込んだ。
「ちょっ、リュアン様!」
そう言って肩を押して離そうとしたら、手を掴まれて、至近距離で「元気になってよかったです」と王子様スマイルを私に向けた。
「あなたが泣いてると僕も辛いですから」
そう微笑むけど、いや嘘でしょ。じゃぁなんで今笑ってんだよって話なのだけれど。
「あの、ありがとうございました」
「いえ。今日はもう、帰りましょうか」
「えっ、でもお祭り…」
「こんなことがあった後ですし、やめておきましょう。あなたの身の安全が第一です」
いや、あなたの身の安全の方が第一でしょうに。
「分かり、ました」
もう少しだけお祭り楽しみたかったと思ったけれど、あんなことがあった後だし、たしかに…。
「大丈夫です。来年もう一度一緒に行きましょう」
「えっ、あっ、はい」
また、さらりと約束を取り付けられてしまった…。
「あっ、すみません、気づかなくて」
そう言われ、赤色のポンチョを渡してきた。
「え?あの…?」
不思議そうにしていると、リュアンがトントンと自分の方の胸元を叩く。そう言われ、自分の胸元を見てみて忘れていた。そういえば、男二人に服を服を破かれてはだけている。
「あ、ありがとうございますっ」
さっと受け取って顔の熱を誤魔化すよう にポンチョを羽織った。
またリュアンがクスクスと笑っていたと言うことは、言わずもがなの話。
そして、いきなりだが、冒頭に至る。
「なんでも一つ、言うこと聞いてくださいね?僕にこんな格好させたんですから」
そうニッコリ微笑み、「それから」と続ける。
「勝手に走って行って心配かけたお詫びです」
「え?いや、あの…」
「言うこと、聞いてくれますよね?」
「へ?あ、はい…」
「じゃぁ、またお出かけしましょう。こうやって‘‘二人きり’’で」
二人きりをわざわざ強調するリュアン。
「もちろん、カフェに行くのは別の話ですからね?」
意地悪く微笑んだリュアンは私の手を取り、「帰りましょう?僕のお姫様」と手を引いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが
侑子
恋愛
十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。
しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。
「どうして!? 一体どうしてなの~!?」
いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。
皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。
さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。
しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。
それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる