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第44話 転生エルフ(108)、精神魔法を学ぶ。
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「ところで、この精神汚染魔法に関してはずいぶんと興味深いな。俺も完全に理解したわけではないけども、要するにこの水晶に魔族が共鳴する魔力を流せばいいわけだ」
村出身の魔族たちに掛けられた精神汚染魔法は、鑑定魔法上ではデバフのステータスとして映し出されていた。だがグルゲアにそれはない。
「ふむふむ、今の所君は何らかの精神汚染魔法も受けていないんだね」
グルゲアに対して詳細な鑑定魔法をかけてみる。
逃げられない、防げない、隠せない。3拍子揃っているからかこちらも落ち着いて魔法をかけられる。
「ふんっ、当たり前だ。そこらの田舎魔族とは違って俺は内地で育った純粋な魔族だ。魔王様への忠誠心ならば誰にも負けん。何を問われようと俺は一切不利益は吐かん、屈しないからな!」
縄で縛られた状態で正座するグルゲア。
あれから数十分も経たずして意識を取り戻した瞬間に威勢が良くなっている。困ったものだ。
「そうかい。それを聞いて安心したよ」
ということはグルゲア自身はステータスに関わらず、誰からの魔法のデバフもないわけだ。
次にグルゲアから取り上げた水晶をよく観察してみる。
「これは魔石かな?」
某国にある龍の巣の側だったり、瘴気が噴出して誰も近寄れなような湿地帯の一部だったり。
人間界でも限られた場所にしかないと言われる代物だ。。
魔族領域にはこんなアイテムが汎用化されているのか。
ガリウス君の持つ財力でさえ手に入らなかった代物。
正直羨ましい限りだ。
おおよそこれは、魔法の増幅装置の効果があるようだね。
魔法そのものは、基本的に《回復魔法》と《闇属性魔法》、その上で古代魔術の《拘束魔法》と《狂魔化魔法》を掛け合わせたってところかな。
瘴気に充てられすぎた魔獣たちが自我を失い凶暴化すると起こる《狂魔化》現象。
人間界で突然変異的に現れたら、複数の冒険者ギルドが束になって討伐するレベルの大事だ。
魔族領域の魔道書を読んでいて、それが『魔法』にすらなっていることには驚いたものだ。
どこに使い道があるかと思えばこんな風にも使うのか。新発見の連続だ。
人の心を安定化させて、心に闇を入れやすい状態にする。その次に魔族の力を暴走させる狂魔化状態を作り出し、服従するために拘束する――と。
魔法の仕組みをおおまかに分解するとこういうことか。
どんなに難しい魔法でも冷静にバラしてみれば、案外簡単な魔法の組み合わせだったりすることもある。
なるほど理屈には叶っている。
「な、何をさっきからブツブツと言っているのだ貴様は!? まぁいい、この縄を解いてくれ。今ならこの俺自らウーヴァ様に、貴様の登用を推薦しよう。ダークエルフにしては妙に肌が白いようだが、魔王軍は実力主義でしかない。その力があれば魔王軍の中でもよっぽど中枢に入り込めるだろう。共に世界を征服し、人間共を駆逐しようぞ――って、何を嫌そうな顔をしているのだ!」
「そんな面倒なことするわけないじゃないか。俺の900年が潰れてしまうよ」
全く、その900年を平穏にするためにわざわざこうして今後魔王の復活をしないように出向いてきたってのに。
でも、実際に来てみたらいいこともあった。
人間界に出回らなくて、なかなかこっちまでまわってこない魔道書だとか、知らない魔法もたくさんあったのだからね。
それに――。
「こういう機会に恵まれたのはありがたい。何せ思う存分、君で魔法を試せるんだから」
回復魔法と闇属性魔法の配合は半分ずつ。
狂魔化魔法は、昨日読み込んだ魔道書の通りに……と。
そして最後は拘束魔法を流し込む――と。
「な、何を言っているんだ貴様! これは崇高な魔族のみが使える魔法だ! 水晶は正確な魔力が伝わらんと機能せんのだぞ! たかだか一介のダークエルフごときが――」
ポゥッ。
「おぉ、こんな感覚なんだ。これで出来てるのかな?」
水晶が光った。
それはそれは赤黒く、グルゲアの持っていた光よりも更に赤黒くて――。
「これを流せば君を堕とせるってことだ」
なるほど、これが精神汚染魔法。
やはり魔族領域は人間界とは違ったやり口で魔法を使っているみたいだから新鮮だ。
光を見たグルゲアの目の色が変わった。
「や、やめろ、やめてくれ、く、くるな……ッ!?」
縋るように水晶に手を伸ばす。
「これまで君もそれをやってきたんだろう。むりやり魔王への忠誠を誓わせ、自らの手で故郷を襲わせ、心を奪って。そうやって、今度は君が俺に協力してほしいな」
水晶に入れて混ぜ込んだ魔力をグルゲアに宛がった。
「――お、俺が、俺で、なくな……る……!」
ポツリと消え入るように呟いたものが、彼自身の最後の言葉だったのかもしれない。
青白く輝いていた角の色は光を失い、代わりに淡い紅が浮かび上がった。
「――ぁ」
グルゲアの目はトロンとまどろみの中に眠った。
一切の抵抗感のなくなったグルゲアが再び目を開ける。
そこには抵抗感や悲壮感もなく、ただただ従順なグルゲアの姿があった。
「……何なりとお申し付け下さい、リース様」
人が変わったかのように忠実になったグルゲアを見て、この魔法の濫用はやめておこう。
そう強く誓った。それはそれとして、彼にはまだ問いたださなければならないこともあるしね。
「じゃ、遠慮無く。魔王復活のために洗脳しようとした所はロァド村だけではないはずだ。そこの場所へと案内してくれるだけでいい」
魔王復活のために、自領地の魔族達を犠牲にするなんて馬鹿げたことは絶対に避けなくてはならない。
何も知らないジン君達によって、罪の無い魔族たちの命が散らされないように――。
-------------------------------
ここから先2~3週間ほどこちらのサイトでは休載します。
この先の展開があるはありますが、少し気に食わない所も多いので手直ししきれて満足する出来になったら再び上げていきます。
村出身の魔族たちに掛けられた精神汚染魔法は、鑑定魔法上ではデバフのステータスとして映し出されていた。だがグルゲアにそれはない。
「ふむふむ、今の所君は何らかの精神汚染魔法も受けていないんだね」
グルゲアに対して詳細な鑑定魔法をかけてみる。
逃げられない、防げない、隠せない。3拍子揃っているからかこちらも落ち着いて魔法をかけられる。
「ふんっ、当たり前だ。そこらの田舎魔族とは違って俺は内地で育った純粋な魔族だ。魔王様への忠誠心ならば誰にも負けん。何を問われようと俺は一切不利益は吐かん、屈しないからな!」
縄で縛られた状態で正座するグルゲア。
あれから数十分も経たずして意識を取り戻した瞬間に威勢が良くなっている。困ったものだ。
「そうかい。それを聞いて安心したよ」
ということはグルゲア自身はステータスに関わらず、誰からの魔法のデバフもないわけだ。
次にグルゲアから取り上げた水晶をよく観察してみる。
「これは魔石かな?」
某国にある龍の巣の側だったり、瘴気が噴出して誰も近寄れなような湿地帯の一部だったり。
人間界でも限られた場所にしかないと言われる代物だ。。
魔族領域にはこんなアイテムが汎用化されているのか。
ガリウス君の持つ財力でさえ手に入らなかった代物。
正直羨ましい限りだ。
おおよそこれは、魔法の増幅装置の効果があるようだね。
魔法そのものは、基本的に《回復魔法》と《闇属性魔法》、その上で古代魔術の《拘束魔法》と《狂魔化魔法》を掛け合わせたってところかな。
瘴気に充てられすぎた魔獣たちが自我を失い凶暴化すると起こる《狂魔化》現象。
人間界で突然変異的に現れたら、複数の冒険者ギルドが束になって討伐するレベルの大事だ。
魔族領域の魔道書を読んでいて、それが『魔法』にすらなっていることには驚いたものだ。
どこに使い道があるかと思えばこんな風にも使うのか。新発見の連続だ。
人の心を安定化させて、心に闇を入れやすい状態にする。その次に魔族の力を暴走させる狂魔化状態を作り出し、服従するために拘束する――と。
魔法の仕組みをおおまかに分解するとこういうことか。
どんなに難しい魔法でも冷静にバラしてみれば、案外簡単な魔法の組み合わせだったりすることもある。
なるほど理屈には叶っている。
「な、何をさっきからブツブツと言っているのだ貴様は!? まぁいい、この縄を解いてくれ。今ならこの俺自らウーヴァ様に、貴様の登用を推薦しよう。ダークエルフにしては妙に肌が白いようだが、魔王軍は実力主義でしかない。その力があれば魔王軍の中でもよっぽど中枢に入り込めるだろう。共に世界を征服し、人間共を駆逐しようぞ――って、何を嫌そうな顔をしているのだ!」
「そんな面倒なことするわけないじゃないか。俺の900年が潰れてしまうよ」
全く、その900年を平穏にするためにわざわざこうして今後魔王の復活をしないように出向いてきたってのに。
でも、実際に来てみたらいいこともあった。
人間界に出回らなくて、なかなかこっちまでまわってこない魔道書だとか、知らない魔法もたくさんあったのだからね。
それに――。
「こういう機会に恵まれたのはありがたい。何せ思う存分、君で魔法を試せるんだから」
回復魔法と闇属性魔法の配合は半分ずつ。
狂魔化魔法は、昨日読み込んだ魔道書の通りに……と。
そして最後は拘束魔法を流し込む――と。
「な、何を言っているんだ貴様! これは崇高な魔族のみが使える魔法だ! 水晶は正確な魔力が伝わらんと機能せんのだぞ! たかだか一介のダークエルフごときが――」
ポゥッ。
「おぉ、こんな感覚なんだ。これで出来てるのかな?」
水晶が光った。
それはそれは赤黒く、グルゲアの持っていた光よりも更に赤黒くて――。
「これを流せば君を堕とせるってことだ」
なるほど、これが精神汚染魔法。
やはり魔族領域は人間界とは違ったやり口で魔法を使っているみたいだから新鮮だ。
光を見たグルゲアの目の色が変わった。
「や、やめろ、やめてくれ、く、くるな……ッ!?」
縋るように水晶に手を伸ばす。
「これまで君もそれをやってきたんだろう。むりやり魔王への忠誠を誓わせ、自らの手で故郷を襲わせ、心を奪って。そうやって、今度は君が俺に協力してほしいな」
水晶に入れて混ぜ込んだ魔力をグルゲアに宛がった。
「――お、俺が、俺で、なくな……る……!」
ポツリと消え入るように呟いたものが、彼自身の最後の言葉だったのかもしれない。
青白く輝いていた角の色は光を失い、代わりに淡い紅が浮かび上がった。
「――ぁ」
グルゲアの目はトロンとまどろみの中に眠った。
一切の抵抗感のなくなったグルゲアが再び目を開ける。
そこには抵抗感や悲壮感もなく、ただただ従順なグルゲアの姿があった。
「……何なりとお申し付け下さい、リース様」
人が変わったかのように忠実になったグルゲアを見て、この魔法の濫用はやめておこう。
そう強く誓った。それはそれとして、彼にはまだ問いたださなければならないこともあるしね。
「じゃ、遠慮無く。魔王復活のために洗脳しようとした所はロァド村だけではないはずだ。そこの場所へと案内してくれるだけでいい」
魔王復活のために、自領地の魔族達を犠牲にするなんて馬鹿げたことは絶対に避けなくてはならない。
何も知らないジン君達によって、罪の無い魔族たちの命が散らされないように――。
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この先の展開があるはありますが、少し気に食わない所も多いので手直ししきれて満足する出来になったら再び上げていきます。
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