いつか愛した欠片

愛川佳乃

文字の大きさ
2 / 16

同情から始まっても

しおりを挟む


『彼氏いるの?』

「いや、居ません。バツ1成り立てで
今は、とりあえず仕事頑張らなきゃって感じで。」

私より4歳年上。
十代で結婚して、お子さんも4人。
落ち着いてるというか、安定しているというか、彼の同世代の男の人と比べると
包容力があった。

毎週、3人はお店にやってきて
私も大貴くん達とお酒を飲む事が楽しかった。

『マリ、大貴の事、気に入ってるでしょ?』

口に手を添えて、私の耳元で囁いたのは
コウちゃん。

「え?う、うん。まぁ、楽しいけど特別、そうゆう感じでもないんだけど…」

『本当?じゃあ、俺、今度、同伴誘っても良い?』

「(笑)うん。もちろん」

仲良く過ごしてた。
特別、男女を感じさせる訳でもなく
常連さんに守られてるスナック特有の
フレンドリーな関係。

そんな中
店は、バレンタインイベントで集客狙っていた土曜日

いつもの3人組は大貴くん無しで
二人で店にやってきた。

「あれ?二人?珍しいねぇ。大貴くんは?」

コウちゃんに訊ねると
言葉をつまらせた。

「何かあったの?」

コウちゃんは
言葉を選びながら言った。

『実はね、大貴、奥さん亡くなって…うーん、しばらく飲みには来れないと思う…』

まだ幼い子が4人もいるのに

心配だった。
酔うと時々話す奥さんの事や子供の話

家庭的な印象が強かったから。

店が終わり
ミーティングの後、ママから声がかかった

『聞いた?大貴くんの奥さん亡くなったって、心臓発作だったみたいだよ。まーちゃん達も、もちろん心配してるんだけどさ、まだ子供も小さいのに大丈夫かな…可哀想だよね…』

まーちゃんというのは、ママの男。
大貴くんとは地元の先輩後輩で
大貴くんも、慕ってる人だった。

先輩の彼女がママを努めているからと
集まる人達が絶えない
まーちゃんは人望がある人柄だった。

ただ、有りがちだが
私とママは仲が悪かった。

美人ママに嫉妬する
チーママ。
そう見えていた事は間違いないだろう。

でも、私は中間管理職を真っ当に努めていた。

アイドル気質のママは
誰からも愛されていたいタイプ

私を嫌っていたのも知っていた。

ママの男である、まーちゃんは
普段、私の事を良く聞いていないのだろう

『おまえ、チーママだろ?ママの補佐出来ないなら辞めろよ。おまえの店じゃないだろ?あんまり調子に乗るなよ』

帰り際に、こんな台詞を残していく日は
珍しくなかった。

そんな流れで
お客様の中でも
ママ派、チーママ派に分かれ
担当のお客様がかぶる事がなかったのはやりやすかった。

大貴くん達は
どちらかというと、私の担当だった。

先輩の女に手は出せないからね。

同伴やアフター
花見などの集まりにも
私が
呼ばれていた。

子ども達も花見に連れて来ていて
一緒に遊んだ事があった。

コウちゃんから奥さんが亡くなった事を聞いてから1ヶ月が過ぎようとしていた

心配だったけど
心情を思うと、私からは連絡が出来なかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

処理中です...