最強暗殺者は落ちこぼれ学園生

りう

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二十三話

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「あー……やっとおわった……」
 レアンはベットに倒れ込んだ。
 今日の授業はいつもよりニ倍ほど長く感じた。
「眠い……」
 そして目を閉じる。するとすぐにレアンは眠りについてしまった。


「……あ……朝か……」
 レアンは上体を起こす。
 まだ眠り足りなく、ぼーっとしていた。
「起きなきゃ……」
 そして布団たら這い出る。グーッと伸びをして着替え始める。
 制服に着替え終わり、レアンはキッチンでいつものサンドイッチを作った。
 サンドイッチを食べようとテーブルに座ろうとしたとき、誰かがレアンの部屋の前で立ち止まった気配がした。
「……なんだろう」
 その気配の主はわかっている。
 しかしその人はレアンのドアをノックするか迷っているようだった。
「マヤさん、どうぞ。ドア、開いていますよ」
 そう声をかけるとやっとドアが開いた。
「おはようございます」
「ええ、おはようございます、レアンくん」
「何か僕に用事ですか?」
「はい」
 レアンは頷いて、マヤに座るよう、促した。
「いえ、立ったままで構いません」
「紅茶を入れますので、座ってください」
「……では」
 そしてストンと座る。
「あ、マヤさん、テーブルのサンドイッチもよかったら」
「じゃぁ、遠慮なく」
 そしてサンドイッチを咥える。
「……!美味しい……レアンくんって、料理がうまいんですね」
「ありがとうございます。作れるものはたかが知れていますが。今のところ、サンドイッチとシチューが作れます。今、ハンバーグを習得中です」
「好きなんですか?料理」
「ええ。楽しいですし」
「女の子のような趣味ですね」
「花が好きなことも」と言うつぶやきをレアンはきちんと聞いていた。
「ディランにもよく言われます」
「でも、いいんじゃないんでしょうか。私はいいと思います」
「そうですか、嬉しいです」
 そしてレアンは紅茶を入れ終わり、マヤのところに持ってきた。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
 そして優雅に飲む。
「美味しい!レアンくんって、紅茶を入れるのもうまいんですね」
「ありがとうございます」
 そしてマヤが飲み終わるのを待ってからレアンは口を開いた。
「僕になんのようでしょうか」
「私が生徒会長なのはご存知ですか?」
「はい。もちろん」
 学園の三年生の最優秀生徒が務める生徒会長。マヤは学校の中で最も優秀な生徒なのだ。
「あなたを生徒会に入ってもらいたいのです」
 レアンは沈黙した。
「だめですか?」
「僕は暗殺者です」
「ええ」
「あまり人に知られたくない。それに僕は最下階に住んでいる落ちこぼれ。たくさんの生徒が反対しますよ」
「しかしあなたの実力を知っている人もかなりいます。前校長との戦いを見た生徒たちはきっと賛成しますよ」
「そうとは限らないと思いますが」
「実は……あなたを生徒会に入れてほしいという生徒が多数いるのです」
「……なぜ?」
「あなたのような実力者が入らないのは意味がわからない、と一人の生徒が言っていました」
「ちなみにその人は?」
「ヒルズ・ハイズガードです」
「……殿下……」
 レアンはため息をついた。
 ヒルズ・ハイズガードは、この国の第三王子。レアンとも長い付き合いがある。このようにヒルズはたまにレアンをからかう。このように大事にしながら。レアンが魔術師になりたての頃は王宮中を巻き込んでいた。
「意地悪ではないと思いますよ」
「え?」
「かなり真剣に話されていました。『レアンのような人が生徒会に入ることで、最下階に住んでいる人が、蔑まれなくなるたんじゃないか』と。私もそう思います。なのであなたが断るのを承知できました」
「ではなぜ、部屋のドアをノックするのをためらったのですか?」
 マヤは顔を伏せた。
「お、男の子の部屋に入るのが、その……は、初めてで……」
「えっと……」
 どう反応すればいいのかわからないレアン。
「では、生徒会のことは考えておきます。殿下やマヤさんの気持ちもわかりますから」
「お、お願いします……えっと……で、では、朝早くに失礼しました!」
 ガバッと頭に勢いよく下げ、小走りで出ていこうとした。
「あ、マヤさん」
「は、はい」
「次からは遠慮なく来てくださっても構いませんから」
「あ、わかりました。じゃ、また学園で」
「はい」
 レアンはマヤを見送り、空になったサンドイッチの皿をに先程お茶を入れる際、一緒に作ったサンドイッチをおき、同じく空っぽの紅茶のカップを片付けた。
「……マヤさん、妙に戸惑って、どうしたんだろう……?」
 レアンは首を傾げながらそう呟いた。
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