最強暗殺者は落ちこぼれ学園生

りう

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二十七話

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「何してるんですか？」
　もう一度レアンはノーランに聞いた。
「な、なんでもいいだろ！」
「まぁ、いいけど。えっと……スルバイズさんの家来さん。留めてすみません。どうぞ」
「は、はい……」
　家来は呆気にとられたように言った。そしてそそくさと出ていく。
「じゃあ、ししょ……じゃなくて、校長先生から決闘の許可をもらったので、訓練場に行きましょう」
　そしてレアンは呆然としているノーランに背中を向け、生徒会室を後にした。

「おい、準備はいいか？落ちこぼれ」
「いつでも」
　そしていつでも動けるように下へ重心を落とす。
　レアンはそんな構えをしたノーランをみて、思った。
（隙ありすぎじゃん）
　レアンは少々訝しげな顔をする。
　前レアンをいじめていた、タイラーのほうがマシだった。
（これくらいの人が最上階に住む優等生なんて……）
　レアンはそっとため息をついた。
「早く構えを取れよ！」
　そう怒鳴るノーランにレアンは言った。
「構えなんて、ないよ」
「は？授業でやってるじゃんか！」
「あのねぇ……」
　レアンはため息をついた。
「魔術師は暗殺者の仕事だよ？なんでわざわざ構えをとって敵に『これから襲います』って教えなきゃいけないの？」
「う……」
　レアンの言うことが最もだったのでノーランは口をつぐんだ。
「じゃ、じゃあなんで学園で構えを教えてるんだよ！」
「動きやすいようにだよ。実技で生徒が怪我したらその先生の責任だからね。でも実際は無意味だよ」
「無駄じゃねえか！」
「どんまい」
　ノーランは驚くべき事実を教えられてやけくそになり、襲ってきた。
　まず近寄ってきながら魔法の連射。
　レアンは軽く避けた。
　そしてレアンは風魔法を使ってノーランを吹き飛ばした。
「うわぁぁぁぁ！！」
　そして、壁にぶつかる。
「ぐはっ！」
　そしてうずくまる。
「……大丈夫？」
　レアンは正直びっくりしていた。
　優等生なら壁にぶつかる前に自分で対処できると思っていたのだ。なのに情けなく悲鳴を上げるなんて。
「まじか……」
　しばらくうずくまったノーランは魔法で鉄の棒を作り、それを杖に立ち上がった。
「てめえ……痛い目遭うぞ？」
「なぜですか？決闘でしょう？」
「俺の家、公爵だそ？」
「だからなんでしょう？……もしかして、その父親って、テオドールさん？」
「なっ……」
「亡くなりましたよね。どうしたんだろ」
「なぜ知ってる？！」
「似てるからですよ。テオドールさんとあなた」
「死んだこと、公表されてないだろ！」
「ああ……そうだっけ。やっちゃったな……」
「なぜ知ってる？！言え！」
　そして、後ろのヒルズを一瞬見る。ヒルズは安心させるように頷いた。
「僕が殺・し・た・か・ら・、ですよ」
　ヒルズは目を見開く。周りもざわめく。
「魔術師を甘い仕事だとは思わないでください。魔術師あんさつしゃはこういう仕事です。ただでお金がもらえるなんて、思わないでくださいね」
　ノーランは俯いていた。怒りで手が震えているようだった。
「お前が、父上を……許さない……」
　そして後ろを見る。そこにいた家来に合図をする。家来は頷くと、奥の人に合図した。すると魔術が使えると思わしき人たちが来た。レアンの周りをたくさんの人が囲む。
「無礼者を殺・せ・！！」
「「おーー！」」
　そして構える。
「構えは必要ないって言ったのに……」
　ため息をつき、レアンは殺気を飛ばす。
「うっ……」
「くっ……」
　その殺気にレアンのまわりを囲んでいる人たちは思わず一歩後退した。
　そして、
　レアンの魔力が爆発した。
　どがぁぁぁぁん！！
　爆音がし、とんでもない光が出た。
　これはレアンがつくったもの。体内の魔力を放出させながら、それを高圧力で圧縮させ、爆発させるのだ。
「うわっ！！」
　そしてこの技術はとんでもない爆音と光がともなう。最悪、聴力と視力が失われるほどに。
　そして周りがバタバタと倒れた。
　観客席には見えないように幻影魔法を使っていた。
「な、何が起きたの？！」
　そして耳を押さえ、目を固くつむっているノーランに言った。
「あなたのお父さんは陛下を殺そうとした」
　ノーランは目を開け、叫んだ。
「そんなこと、あるわけ無い！！」
「あるわけ無い、って、なんで言えるんですか？彼は最後に自白しましたよ。そして諦めることなく、僕と戦い、死にました」
「そんなわけ無いだろ！そんな、わけ……」
　ノーランは俯いて、声を殺して、泣き始めた。
　その時、レアンは息を呑み、そっと後退した。
　理由は、ノーランの魔力が暴走していたから。
　魔力は本人の感情でかなり左右される。ノーランは今、負の感情に囚われている。そのせいで、魔力を制御しきれなくなり、さきほどレアンが起こしたような魔力の爆発が、本・人・の・体・内・で・行われる。つまり、暴走したら、本人は死ぬ、ということだ。
　彼の体内で魔力が暴れまわっているのがわかる。
　レアンはそっと深呼吸をして、俯いてるノーランのもとへ歩いていった。

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