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番外編
新婚旅行へ行こう 3
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「――まぁ、父さんは言い出したら聞かない人だからね」
帰宅した譲葉に現状を訴えると、呆れ混じりの苦笑いしか返ってこなかった。
「二泊三日ってトコに、一応気遣いを感じるよな。平気で一週間くらい学校休まされたことだって、昔はあったし」
一緒に話を聞いていた柊も、譲葉に同意して頷いた。彼は小学三年生になり、かなり身長が伸びていた。もうひなこともほとんど目線が変わらない。
「……突拍子のない人だけど、ひなこさんに喜んでほしくて、何でもしてあげたい気持ちになってるんだと思う。迷惑かもしれないけど、そこだけは分かってあげてほしい」
戸惑うひなこを宥めるように背中を撫でたのは、茜だった。柊に身長を追い抜かれたことを密かに気にしているのだが、彼も小学六年生の平均身長は十分にある。
どんどん成長していく子ども達に、嬉しい反面、不甲斐ないやら寂しいやら。
頼れる男になっていくのは将来的にも望ましいことなのだが、義理の母としてはもう少し役に立ちたいし頼りにされたいのに、これでは立場が逆だ。ずっと年下の茜に優しく諭され、何とも情けない気持ちになる。
――雪人さんが好意で言ってることは、分かってるんだけどね……。
今日は久しぶりに楓もいるので、家族全員揃っての食卓になる。夕食のメニューも少しだけ力を入れていた。
チーズを包んだハンバーグと、付け合わせのマッシュポテト。トマトとブロッコリーとじゃがいもを、サラダ用のハーブチキンと一緒にグリルした、ガッツリおかず系の温野菜サラダ。
スープは急遽、楓の好きなカボチャのポタージュにした。サクサクのクルトンと生クリームを飾るだけで、いつもよりほんの少し豪華な夕食に見える。
「みんなは旅行……賛成なの?」
できたての食事を協力し合ってテーブルに運びながら、ひなこは不安げに兄弟達を見回す。彼らはきょとんとして顔を見合わせた。
「父さんがイキナリおかしなこと言い出すのなんて、珍しくもないだろ。昔名古屋に行った時も、結構突然決まったよな」
「あぁ、一応誘う形だったけど、断ったところで絶対強行されていただろうね」
「……でもあれも、家族の交流を深めようっていう気遣いだったよ。既に打ち解けていたから、旅行に意味があったのかについては疑問だけど」
何気に全否定している茜にちょっと引いてしまったが、あれには年少組の知らない理由が確かにあったことを思い出した。
当時のひなこと雪人は、まだ契約結婚という関係だった。
それを楓と譲葉に打ち明ける機会として、家族旅行が計画されたのだ。
同じことを考えていたのか、譲葉とバッチリ目が合った。
「……あの人なりに、深い理由があるんじゃないかな? 父さんはそこまで考えなしじゃないよ。たぶん」
『きっと、あの時と同じように』。彼女の澄んだ瞳は、ひなこにそう語りかけていた。
高校生になって一層美しくなった彼女にアイコンタクトを送られると、何だかどぎまぎしてしまう。
譲葉の王子様ぶりはますます磨きがかかっており、留まるところを知らない。他校にまでファンクラブができているらしかった。
丁度食事の準備ができたタイミングで、何やら二人で密談していた雪人と楓がリビングに顔を出す。雪人はいつもの笑顔で、楓はなぜか無表情だ。
「お話、終わりました?」
「うん。内容は、いずれ話すよ。夫婦の間で隠し事はよくないからね」
別に構わないのに、と思いながらも、その心遣いにくすぐったい気持ちになる。ひなこは微笑みながら、自然と頷くことができた。
「――雪人さん。私、行きたいです、旅行」
「え?」
突然乗り気になったひなこに、雪人は目を瞬かせている。少し幼くなる表情が愛しくて、ゆっくりと笑みを深めた。
遠慮ばかりしていないで、今回は彼に思いきり甘えてしまおう。
「楽しみです。みんなで色んなところに行きましょうね」
◇ ◆ ◇
既に飛行機も押さえてあったらしく、出発の日までひなこは準備に追われた。
二泊三日ならば荷物はそう多くない。ただ、マカオの観光名所などを調べておきたかったのだ。
「マカオといえばカジノのイメージが強いかもしれないけど、元々ポルトガルの植民地だったからヨーロッパ調の街並みが綺麗だし、観光地もたくさんあるんだよ」
マカオに向け離陸した飛行機の中、両隣の席を確保した柊と茜に知識を披露する。
「大航海時代にポルトガルを出港した船が南アフリカ、インドとかを経由して、スパイス、ココナッツミルクなんかを持ち込んだんだって。だからマカオ料理は、複雑な風味が特徴みたい」
元々の文化にポルトガルの文化が混ざり合い、街並みと同じく独特の進化を遂げているらしい。ひなこは既に食べたいものをチェック済みだった。
「ポークチョップバーガーっていうのが地元の定番で、街を歩けばどこにでも売ってるみたい。色々進化してて、バンズにオニオンが練り込まれてたり、お店によって味が全然違うんだって。カレーおでんも気になるよね。練り物とかお肉とか色んな具材があるんだけど、結構安いんだって。サーヨンっていうのも食べてみたいな。向こうの朝ごはんみたいな感じらしいけど、見た目はマラサダに似てるんだよ。軽いのにしっとりしてて、中はフレンチトーストみたいなんだって」
食べたいものは他にもある。アフリカンチキンは絶対押さえておきたいし、マカオタワー内で食べられるビュッフェも気になる。
「あ! あと、エッグタルト! これは絶対食べたいよね。情報誌だけじゃなくネットでも何軒かおいしいってトコ調べてあるから、ハシゴで食べ比べできたらいいな~」
キラキラと瞳を輝かせるひなこに、柊は頬杖をつきながら呆れた。
「まともな観光案内、前半だけじゃねーか。後半ただのグルメ情報になってねぇか?」
「……よく聞くと前半も、観光案内になってないと思う。ひなこさん、食べものへの情熱だけで沢山調べたんだね」
達観した茜の物言いに、さすがに何だか恥ずかしくなってくる。
これでは本当に、どちらが年上なのかという感じだ。茜は最近、特に大人びてきたような気がする。
「い、一応観光名所もちゃんとチェックしてあるんだよ。マカオタワーとか」
言い訳めいたことを口走るひなこに、通路の向こう側に座る譲葉が苦笑を浮かべた。
「ひなちゃん、それ、調べなくても分かるくらいマカオの定番じゃない? ひなちゃんが行きたいならついていくけどさ」
「うぅ……」
マカオタワー本体よりも、その中で行われるビュッフェのことを考えていたひなことしては、返す言葉がなかった。
それにしても、かなり急な予約だったはずなのに、家族六人が横並びになれる座席がよく空いていたものだと思う。
飛行機の造り自体がゆったりしているのか、足を伸ばせるいい席だ。
ひなこは、譲葉の隣に座る楓の横顔をチラリと盗み見る。彼はこちらの話に交じろうとせず、ぼんやりと前を向いていた。
あの日、食事をしている間もどこか上の空で様子がおかしかった。
今日の彼も同じ調子だ。落ち込んでいるようには見えないが、やけに静謐な表情。
――雪人さんと、話したあとからだった気がする……。
いずれ話すと雪人も約束してくれたのだから、詮索はよくない。けれど心情的に、このまま放っておくこともできなかった。
――どうしちゃったんだろう。って、私が気にするのも、余計なお世話なのかな。
雪人だって自分の息子のことなのだから、とうに気付いているだろう。それでも放っているのだから、ひなこもそれに倣うべきなのかもしれない。
日本の空の上で、ひなこは悩ましげなため息をついた。
帰宅した譲葉に現状を訴えると、呆れ混じりの苦笑いしか返ってこなかった。
「二泊三日ってトコに、一応気遣いを感じるよな。平気で一週間くらい学校休まされたことだって、昔はあったし」
一緒に話を聞いていた柊も、譲葉に同意して頷いた。彼は小学三年生になり、かなり身長が伸びていた。もうひなこともほとんど目線が変わらない。
「……突拍子のない人だけど、ひなこさんに喜んでほしくて、何でもしてあげたい気持ちになってるんだと思う。迷惑かもしれないけど、そこだけは分かってあげてほしい」
戸惑うひなこを宥めるように背中を撫でたのは、茜だった。柊に身長を追い抜かれたことを密かに気にしているのだが、彼も小学六年生の平均身長は十分にある。
どんどん成長していく子ども達に、嬉しい反面、不甲斐ないやら寂しいやら。
頼れる男になっていくのは将来的にも望ましいことなのだが、義理の母としてはもう少し役に立ちたいし頼りにされたいのに、これでは立場が逆だ。ずっと年下の茜に優しく諭され、何とも情けない気持ちになる。
――雪人さんが好意で言ってることは、分かってるんだけどね……。
今日は久しぶりに楓もいるので、家族全員揃っての食卓になる。夕食のメニューも少しだけ力を入れていた。
チーズを包んだハンバーグと、付け合わせのマッシュポテト。トマトとブロッコリーとじゃがいもを、サラダ用のハーブチキンと一緒にグリルした、ガッツリおかず系の温野菜サラダ。
スープは急遽、楓の好きなカボチャのポタージュにした。サクサクのクルトンと生クリームを飾るだけで、いつもよりほんの少し豪華な夕食に見える。
「みんなは旅行……賛成なの?」
できたての食事を協力し合ってテーブルに運びながら、ひなこは不安げに兄弟達を見回す。彼らはきょとんとして顔を見合わせた。
「父さんがイキナリおかしなこと言い出すのなんて、珍しくもないだろ。昔名古屋に行った時も、結構突然決まったよな」
「あぁ、一応誘う形だったけど、断ったところで絶対強行されていただろうね」
「……でもあれも、家族の交流を深めようっていう気遣いだったよ。既に打ち解けていたから、旅行に意味があったのかについては疑問だけど」
何気に全否定している茜にちょっと引いてしまったが、あれには年少組の知らない理由が確かにあったことを思い出した。
当時のひなこと雪人は、まだ契約結婚という関係だった。
それを楓と譲葉に打ち明ける機会として、家族旅行が計画されたのだ。
同じことを考えていたのか、譲葉とバッチリ目が合った。
「……あの人なりに、深い理由があるんじゃないかな? 父さんはそこまで考えなしじゃないよ。たぶん」
『きっと、あの時と同じように』。彼女の澄んだ瞳は、ひなこにそう語りかけていた。
高校生になって一層美しくなった彼女にアイコンタクトを送られると、何だかどぎまぎしてしまう。
譲葉の王子様ぶりはますます磨きがかかっており、留まるところを知らない。他校にまでファンクラブができているらしかった。
丁度食事の準備ができたタイミングで、何やら二人で密談していた雪人と楓がリビングに顔を出す。雪人はいつもの笑顔で、楓はなぜか無表情だ。
「お話、終わりました?」
「うん。内容は、いずれ話すよ。夫婦の間で隠し事はよくないからね」
別に構わないのに、と思いながらも、その心遣いにくすぐったい気持ちになる。ひなこは微笑みながら、自然と頷くことができた。
「――雪人さん。私、行きたいです、旅行」
「え?」
突然乗り気になったひなこに、雪人は目を瞬かせている。少し幼くなる表情が愛しくて、ゆっくりと笑みを深めた。
遠慮ばかりしていないで、今回は彼に思いきり甘えてしまおう。
「楽しみです。みんなで色んなところに行きましょうね」
◇ ◆ ◇
既に飛行機も押さえてあったらしく、出発の日までひなこは準備に追われた。
二泊三日ならば荷物はそう多くない。ただ、マカオの観光名所などを調べておきたかったのだ。
「マカオといえばカジノのイメージが強いかもしれないけど、元々ポルトガルの植民地だったからヨーロッパ調の街並みが綺麗だし、観光地もたくさんあるんだよ」
マカオに向け離陸した飛行機の中、両隣の席を確保した柊と茜に知識を披露する。
「大航海時代にポルトガルを出港した船が南アフリカ、インドとかを経由して、スパイス、ココナッツミルクなんかを持ち込んだんだって。だからマカオ料理は、複雑な風味が特徴みたい」
元々の文化にポルトガルの文化が混ざり合い、街並みと同じく独特の進化を遂げているらしい。ひなこは既に食べたいものをチェック済みだった。
「ポークチョップバーガーっていうのが地元の定番で、街を歩けばどこにでも売ってるみたい。色々進化してて、バンズにオニオンが練り込まれてたり、お店によって味が全然違うんだって。カレーおでんも気になるよね。練り物とかお肉とか色んな具材があるんだけど、結構安いんだって。サーヨンっていうのも食べてみたいな。向こうの朝ごはんみたいな感じらしいけど、見た目はマラサダに似てるんだよ。軽いのにしっとりしてて、中はフレンチトーストみたいなんだって」
食べたいものは他にもある。アフリカンチキンは絶対押さえておきたいし、マカオタワー内で食べられるビュッフェも気になる。
「あ! あと、エッグタルト! これは絶対食べたいよね。情報誌だけじゃなくネットでも何軒かおいしいってトコ調べてあるから、ハシゴで食べ比べできたらいいな~」
キラキラと瞳を輝かせるひなこに、柊は頬杖をつきながら呆れた。
「まともな観光案内、前半だけじゃねーか。後半ただのグルメ情報になってねぇか?」
「……よく聞くと前半も、観光案内になってないと思う。ひなこさん、食べものへの情熱だけで沢山調べたんだね」
達観した茜の物言いに、さすがに何だか恥ずかしくなってくる。
これでは本当に、どちらが年上なのかという感じだ。茜は最近、特に大人びてきたような気がする。
「い、一応観光名所もちゃんとチェックしてあるんだよ。マカオタワーとか」
言い訳めいたことを口走るひなこに、通路の向こう側に座る譲葉が苦笑を浮かべた。
「ひなちゃん、それ、調べなくても分かるくらいマカオの定番じゃない? ひなちゃんが行きたいならついていくけどさ」
「うぅ……」
マカオタワー本体よりも、その中で行われるビュッフェのことを考えていたひなことしては、返す言葉がなかった。
それにしても、かなり急な予約だったはずなのに、家族六人が横並びになれる座席がよく空いていたものだと思う。
飛行機の造り自体がゆったりしているのか、足を伸ばせるいい席だ。
ひなこは、譲葉の隣に座る楓の横顔をチラリと盗み見る。彼はこちらの話に交じろうとせず、ぼんやりと前を向いていた。
あの日、食事をしている間もどこか上の空で様子がおかしかった。
今日の彼も同じ調子だ。落ち込んでいるようには見えないが、やけに静謐な表情。
――雪人さんと、話したあとからだった気がする……。
いずれ話すと雪人も約束してくれたのだから、詮索はよくない。けれど心情的に、このまま放っておくこともできなかった。
――どうしちゃったんだろう。って、私が気にするのも、余計なお世話なのかな。
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